彼女の場合~ひろみさんへのアンサーnoteを書いてみることにした。
気づけば、2018年から誰かに走らされているような状態でした。昨年末までの私は今よりずっと多忙で血の気が多くて、誰かの言動に怒ったり、安堵したり、喜んだり。過剰な感情に、自分自身が振り回されてたな。
だから彼女が、わたしのnoteに反応してnoteに書いてくれた11月。「ああ、これは応えねば」と思いながら、あれよあれよと、あっという間に2か月が過ぎてしまいました。
以下が、ひろみさんの書いてくれた文章。
そうそう、7,8年前だけどよく覚えている。あれは新丸ビルでおこなわれた石井かほり監督の映画公開記念イベントでした。京都「増田徳兵衛商店」の社長と、石川「数馬酒造」の社長が来て、石井監督と鼎談をしてたなあ。トークライブの後みんなで飲みましょう、となって出会ったのがひろみさんとAさん。あの頃は右も左も分からないなりに日本酒が大好きで。同性の日本酒仲間がいなかったから、印象的で刺激的な時間でした。
その後、たしかに3人で渋谷に飲みに行ったことがありました。人生経験豊富なお姉さんふたりがカッコよく見えて、少し肩肘張って酒をすすっていたわたし。でも内心、その場に混じれたことが少々誇らしかったのです。中学生の輪に、小学生が一人入れてもらったような感覚。今思えば青臭い話ですがね。
あれから虚勢を張り続けて、「日本酒ライター」と名乗り記事を書かせてもらって、転がるように脱サラして今に至ります。計画的なAさんと違って、わたしは望んで独立したわけでは決してありませんでした。当時働いていた渋谷の会社でセクハラに遭い、解決を目指す先でパワハラに遭い、壮絶な戦いの中で病んだ頃には、日本酒しか残っていなかったんです。転職して、別の会社でもう一度すぐ経理職に就く気力は残されていませんでした。「よし!これで平日の昼間だって酒蔵や飲食店へ取材にいけるぞ!」と言い訳できることは、真っ暗な心の中に灯された唯一の光だったし、何者でもない自分を許せる場所でした。
だから、
女性が日本酒業界で生きていくことは、本当に大変だと思う。想像しうる何十倍も何百倍も大変なんだろうと思う。2人は自分たちの力で切り開いて自分の道を作っている。<Ato Hiromi氏noteより引用>
と、ひろみさんには言ってもらったけれど。
日本酒業界じゃなくても、随分と生きにくかったから。わたしにとって書けば読んでもらえて、ダメだったら仕事が来ない。飲食店なら…真摯にお客様と向き合っていればまた来てくれる。ーーこの分かりやすい世界は癒しですらありました。真面目に仕事をしていれば、直下型で見下されることもありません。それだけで十分でした。
酒蔵さんたちは、どんなに会社が小さくとも、もともと公的な立場を持っていることも多く、地元や外部からの目線が集まりやすいので、ある一定の品格をお持ちの方が多い。だから優しい人も多いです。人としてなのか、ライターとして重宝してくれているのかはわたしにとって関係ない。程よい距離感を以て接してくれて、一生懸命に仕事できる環境、というのはありがたいものでした。
最後に。
心のどこかで彼女の生き方を、彼女が進んでいる道を羨ましいと思ったのはここだけの話しで。<Ato Hiromi氏noteより引用>
わたしは、ひろみさんの生き方が羨ましかった。結婚して出産して、育児をしながらも日本酒に関わっている暮らしは、ガツガツしてなくて満ち足りていて素敵だと思っていました。傍から見ると「女として」「母として」「妻として」「仕事人として」多くの喜びを手にしているように見えたから。そんな彼女がまさかわたしを「羨ましい」と思うなんて。まるで唯川恵の小説みたいだ。みんな必死で、今の暮らしに満足しながらも、心の端っこで誰かを少し羨んだり、憧れたりしながら生きているのかな。
あの日渋谷の居酒屋で、ひろみさんとAさんを前にちょこっと背伸びして飲んでいる自分に伝えたい。いま盲目的に好きになっている「日本酒」にいつか救われる日が来るから。「日本酒」に恩返ししたいと思う日が来るから。ただ思う存分「好きだ」と叫べばいいよ、と。
ひろみさん、もう一度あの夜の3人に出会わせてくれてありがとう。
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