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関友美の連載コラム「酒場の民である皆様、本年もありがとうございました。」(リカーズ12月号)

リカーズ連載日本酒コラム
「そうだ。日本酒を飲もう。」12月号

「酒場の民である皆様、本年もありがとうございました。」

よろしければ、ご高覧ください。

大変だった2021年も、今月で終わりです。12月とはいえ職場の忘年会とか、大規模パーティやフェスは中止なのかな。これを書いている時点ではわかりませんが。今まで当たり前だったものが、「本当に必要?」「その形式じゃなきゃだめ?」と問われ続ける日々でしたね。便利になった反面、辞めてみて改めて必要性に気がつくものもありませんでしたか?わたしにとっての「酒場」がソレでした。

今年の中頃、自律神経を失調して軽い鬱状態になりました。将来への不安、運動不足に加えて、ずっと同じ体制で心身が固まってしまったそうです。終了時間を見失い「もっともっと」と仕事し続けちゃって、オンとオフ(交感神経と副交感神経)の境目がなくなり、ずっとスイッチオンになったまま興奮状態。オフ状態が無いと胃・小腸が動かないから、食が細り痩せました。あれあれ、ガハハッと笑ってたあの頃のわたしはいずこへ。

すべてが無意味のようで、くだらないことに救われてたんだなぁ、と愛しく思い出されました。行きずりの人も交じって大笑いして鯨飲して、帰宅後「もう二度とお酒なんて呑まない…」とトイレに籠った魔物が棲む夜。仲間と熱く褒め讃え合った謎の夜更け。豪快にチャンポンして友と反省する朝。突然始まる日本酒飲み比べ会。そうそう、星野源も「くだらないの中に愛が。人は笑うように生きる。希望がないと不便だよな」って歌ってました。

お酒は家でひとりでも飲めるけど、酒場の“くだらない時間”に生かされていた訳です。全ての物事は表裏一体。息も吐くから吸えるし、休むから働ける。以前は酒場に向かう瞬間「さぁ今日の仕事は終わり!」と上手に切り替えていたのでしょう。不便な日々を戦ってきたのだな~と気づく頃には、長い自粛期間が明けて再び酒場に灯りがともっていました。「ただいま」と帰れる場所は、何よりありがたいものです。ひとりでいても孤独じゃない、酒場の雑踏が愛しいです。皆様のお店の営業再開を心より祝福し、ありがたく今日も黙食ならぬ、黙飲しに参ります。

まだまだ気を付けて行動しなければならない現在。それでも会いたい大切な人、大切な店、会えないけど気持ちを伝えたい人もいると思います。この時期の贈り物にオススメの日本酒をご紹介します。「福寿」「一生幸福」「来福」「開運」「富久錦」「福禄寿」「松の寿」・・・など縁起の良い銘柄の数々。感謝の想いを贈り物に託してみてはいかがでしょうか。本年もありがとうございました。また来年お会いしましょう。どうぞよいお年を!

以上


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