見出し画像

実家の売却に成功した話。

不動産・不動産投資のプロを自称して生きている私ですが、振り返って見る限り「実家という実需戸建の購入」については、「これは視野が狭かった」「あの時、ああしておけば…」と<目の上のたんこぶ>的な存在になっていました。

その微妙・絶妙であった人生で初めて購入した不動産について、(決済はまだだけど)無事に売却の売買契約締結まで漕ぎ着けることができました。

この喜びを文章として残せるのは、今の瞬間をおいて他には無いので、背景諸々綴ってみたいと思います。

そもそもの購入経緯

新卒当時の私は、借家(というか団地)住まいのファミリー。我が家にはそもそも「家を買う」という概念が存在しませんでした。

とはいえ、内定を頂いたのは<青い看板の大手売買仲介業者>

配属から半年も超えてくると、顧客属性からの予算感・世間一般的な住宅ローンの成否、営業エリアのマーケット感など、雰囲気は掴めてきます。


(あー、ウチも一応買えるのか…。)


そんなある秋口の頃、

建売分譲をしている不動産業者さんの来社がありました。

「15棟現場の最後3区画を売り切りたいのでご協力をお願いします」

埼玉エリアでパワービルダーとして名前を聞く、東栄住宅や一建設などではなく、都内に本拠地を置く開発業者さん、そして、建物もハウスメーカー施工という変わり種。

当初4000万超で販売されていたものについて何度か価格改定され、もう現場に人を残すのも勿体ないということで「売り切り」を狙って最後の営業に回っているところでした。

現地をサクッと下見するも「あー、建物の仕様はたしかにいい感じ、だけど場所とか全般微妙かなぁ」と、そんな感想。


そんなある週の日曜日。

朝イチで案内予定のお客様からTELがあり、ご案内予定がキャンセルに。午後がポッカリと空いてしまいました。

そのため、「家(新築戸建)眺めてみる?」と、両親を案内してみることに。

予算にあった新築戸建・マンションを複数案内してみたところ、「例の15棟現場の残り戸建」を気に入ってしまい「ここ良いんじゃない?」と。

まさかの「暇つぶし案内」から、本格購入に向けて動き出す事になりました。

車なんか買う気無いのに、ディーラーでシートに座ったら気に入っちゃったレベル…

でも本気。

具体的な購入

「売り切りたい」と言っていたので、ココは指してみようと、3600-3700万円付近の表示価格となっていましたが、こちらの提示した金額は

【3,400万円】

「あと100万、いや50万上がらないか…」と攻防はあったものの、妥協せずに押し切りました。

さて、価格は整ったとして、こちらの予算面。


新卒1年目。まだ収入証明書(源泉徴収票)が出る前で住宅ローンが組めるのか…。と、疑問には思いつつも、

諸先輩方のアドバイスから「年収見込証明書」を会社に発行してもらうことで、事前承認をクリア。(一部上場企業強し)

3,400万円のうち、2,300万円を住宅ローン、残りについては父親がちょうど定年退職のタイミングでしたので、その退職金を当てる形で捻出しました。

こんなタイミングと資金繰りで、

【新卒、家(新築戸建)を買う】

という、なかなかレアな人生初の不動産購入となりました。

自分と父親で2/3と1/3の共有です。

買うときに考えたこと

・将来結婚とかしたらこの家どうする?
(当時は彼女もいなくて、全く予定なし)
 →その時になって考えよう。持ってれば売れるかもだし。

・今の仕事を辞めたらどうする?
(それなりに体力的にも厳しかったから、心が折れる可能性も…)
 →月々の返済が7-8万だから、最悪バイトでもやってけるかな。

・戸建とマンションだと…
 →月々の維持費が戸建のほうが好み。

何だかんだいっても、やっぱり賃貸だと何も残らないから、買っちゃったほうがいいよね!と奮い立たせて進めました。


買ってから

<住めば都>の言葉通り、いや、それ以上に人生初の新築戸建の住心地・満足感はたまらないものがありました。

家の中を充実させていくのも、もちろん楽しいですが、なかでも1坪タイプのユニットバスにつかっているときには、「あー家買ったんだなぁ」と充実した全能感を強く得られたものです。


そんなこんなで歳月は過ぎていきます。


いくつかの転職を経て、7-8年前に妻と出会い、私は家を出ることになりました。

両親はそのまま住んでいますし、両親との関係も円満なままので、日々の生活に必要なものだけを持ち出し、それ以外は自分の部屋もそのままです。


2-3年ほど前から、「不動産マーケットのアッパー感」を感じだしたことから、「売れるときに売っておきたい」と行動に。

画像1

購入時にも仲介手数料を払っているので「ユーザー割引」も考え、青い業者さんに媒介を出してみます。

不動産クラスタ界隈の人には珍しくもありませんが、中古不動産の売買において「居住中」のままで販売するケースは少なく有りません。

・売却した資金を基に次の住まいを購入する
・売れたら賃貸とかに引っ越す
・売れたら老人ホームに入る 等々。

理由は様々ですが、

「どこかに引っ越す=金が出る

という話でもあるので、ギリギリまで持ち家を活用したいという売主のニーズはよくあるものです。

ただ…売主の資金面としては有利なこの「居住中」での販売活動、知ってはいましたが、やはり売れにくいです。


既に新築マンションや次の住まいを購入or賃貸済みで、完全に空家にしての売却のほうが、当然スムーズにいきます。

仲介業者のポジションにいる人間としても、

「あ、このお客様だったら、ココかココの物件がハマりそうだ!」と考えて案内候補物件を並べた際に、

A:新築戸建(当然空室) B:中古戸建(空室) C中古戸建(居住中)

と選択肢があれば、A>B>Cの優先度に落ち着くのは間違い有りません。

A・Bは殆どの場合、鍵が現地に設置してあったりで、フレキシブルに内覧を入れることができます。対して、居住中物件のCについては、売主(居住者)のアポを取ってからでないと内見できません。

加えて案内したところで生活感満杯、クローゼットなんかの収納も気軽にあけられるものではないので、買主候補のお客様も萎縮してしまったりで、思うように内覧、クロージングがやりにくいのが実情です。

媒介を出してから1年間ほどのうちに案内が入ったのは2件くらい。

あまりに少ないので、ちょっと自分でやってみるか…と。私自身不動産業者でもありますから、自分の勤務先の名前でレインズ登録してみたり、知り合いの業者に声をかけたりなど、若干の動きをしてみました。

そこから入った案内も2件くらい…。

(やっぱり『居住中』だと売れないよな)
(先に両親を賃貸に引っ越ししてもらって、売却したい…。)

こんな考えは当然持っていたのですが…。

空家への転機

昨年、妻法人で夏に購入した、さいたま市の一棟マンション、2DKでファミリー入居できるお部屋に空きが発生したため、両親に打診。

関田)「ちょっと狭いけど、どう?」
両親)「今の所、買い物が不便だったから全然イイ。」

こんな形で、今年の4月に両親の引っ越しも完了。

「空家」として、再びリバボーに媒介を出してみたのですが…。


送られてくる営業活動報告書の中身は

「お問い合わせ等はございませんでした。」の日々。


販売していた金額は3,280万円。(※数字はちょっと変えてます。)


埼玉県の郊外エリア、築15年ほどの中古戸建を

「ほぼ買った時の金額近くで出す」…

強気です。うん、正直安くはない。

問い合わせがないのは、まぁ分かる。

けれども、他の物件に問い合わせがきた顧客を案内ルートに挟んだり、何かしらのアクションをするかしないかは仲介業者次第なので、ちょっと動きがなさすぎる…。

担当)「2,800万円とか、3,000万円切ると反響もあるかと思うんですけど…」

関田)「分かるけど、それは売り切るときの金額だから、指値きたら考えるけど、まだ表の金額それにするのは嫌ですね。」

担当)「何かやり方を変えないとなんですが…」

関田)「んー、媒介変えるのが簡単なんだけどなぁ」

担当)「いや、それはちょっと…」

そんなやりとりをして数日経った頃。


とうの昔にそのセンターから異動している先輩と別件で電話。
その中で話題に出してみました。

関田)「まだ実家売れないんですケド。」
先輩)「リハ○ス任せてみたら?」
関田)「変わりますかね?」
先輩)「今、その営業所は二人所長体制で力入れてるよ。うち(リバプール)の1.5倍はやってるハズ」
関田)「おー。」

大手から大手への媒介変更、できる営業活動自体にどれだけ差があるのかはアレとして、変えてみるのも手かな…と考えていたとき。

営業)「お世話になっております。リハウスの○○です。物件の確認お願いしますー」と、

本業勤務先に弊社保有中の一棟モノへの物件有無の確認TELが入ります。

電話番号を見ると、埼玉エリア。

関田)「あれ、○○センターですか?」
営業)「はい、そうですけど…?」
関田)「売りたい戸建あるんですけど、相談に行っていいですか?」
営業)「もちろんです」

これもタイミングかと、休みの日に実家の掃除をして、リ○ウスに向かい、媒介契約書に記名押印。

画像2


その足でリバ○ルに向かって、

知っているセンター長と折衝。

関田)「切り替えお願いします。」
センター長)「え?どこ?リ○ウス?」
関田「はい、…だって案内いれてくれないんですモン」

こんな形で販売委任先を変更。

リハ○ス様から、
営業)「一応うちでも査定しますね」
と言われて、布石を打たれていたのは↓

画像3

関田)「ですよね…。分かるけれども、とりあえず3280万円のままで。」

はじめの1-2週ほどは特別な動きはなかったものの、

3-4週目にかけて、客付仲介業者経由の案内が1件、リハウス様での案内が1件と続けてご案内が入ります。

(媒介切り替えたから「やる気」パフォーマンスかな?)


そんな感覚で穿ってみていたら…

営業)「先日内見された他業者のお客様からお申込み入りそうです」
関田)「本当ですか?」

週が開けて

営業)「お申込み入りました。(3280万円に対して)3150万円なんですけど、まだ買い上がれそうです。3200万円で返そうと思います。」
関田)「3150万円でも全然OKです。よろしくお願いします。」

これが先々週くらい。

そして先日無事に契約日を迎えることができました。


成約価格【3200万円】


築15年ほど経過している埼玉郊外エリアでの中古戸建、

購入時3400万円から、引き算で考えれば-200万円ですが、

200万円÷15年÷12ヶ月と考えれば、月々1万円ほどで4LDKの居住スペースを活用できていたも同然。


もちろん、固都税や家具家電、購入・売却にかかる諸費用・修繕費用など、足が出る部分は多々あるとはいえ、最上級の着地が出来たのではないかと自負しております。

個人の不動産の売却については、「『いつまで売りきらなければならない』という時間的な成約が無い」というのは不動産投資でもよく言われるところですが、これは実需でも同様、「その金額で買ってくれる一人を見つけられれば勝ち」。それを証明できた案件といえるかもしれません。

仲介業者や買手候補からくる値下げ圧力、売れないのに出し続ける自分との戦いに対して、耐え続ける胆力は求められました。


不動産業界に長く身を置き、Twitterの不動産クラスタを日々眺めることで

「あぁ、都内(の湾岸エリアタワマン)で買っておけば…」とか、
「駅近マンションだったら値上がりの譲渡益が…」とか、
「シティタワー品川に応募しておけば!」とか、

夢想したのは事実です。

不動産マーケットについて俯瞰できる土台が出来てきたことで、「あの時(新卒時)に新築戸建を買ったのは、投資としては好ましくなかったかもしれない…」と、悩んだこともありました。

その都度、

・実需だから、プライスレスだもん!
・住宅ローンは確実に減ってるから大丈夫。
・最悪の場合、(妻子連れて)そこに戻れるし…。

と、自分を鼓舞していたのですが…。

新卒のその当時においては、「都内で買う」という発想も、そもそもの与信力も乏しかったので、それは仕方有りません。

そんな悩ましかった「新卒で買った新築戸建」、

ほぼ無傷で出口を迎えることが出来たのです!

本当にありがとうリハウス!

何やってたんだリバ○ル!


実際の所、客付仲介経由での案内→成約ですから、リハウスの担当者のパワーなのか、といえばアレですが、居住中の販売も入れると、延べ3年ほど売り続けていた物件媒介を切り替えて1ヶ月ほどで成約できたのですから、もうコレはパワーを感じざるを得ません。


関田)「(今までさんざ販売活動やりきってたはずの物件をこの短期間で決めるなんて)持ってますよねー!(笑)」

営業)「営業所の皆に言われました(笑)」

「運も実力の内」。彼の波に乗るしか有りません。

こちらは執筆及び不動産投資の糧になります!