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なにげない日常

 俺の名前は高嶺清麿、東西新聞の社会部に勤めている。隣の文化部では、究極のメニューを作るだかなんだかって企画で、経費をバカスカ使ってグルメ三昧だそうだ。その主犯は山岡士郎って人でたまに社会部にも出入りしている。
競合他社の帝都新聞が至高のメニューって名前で同じ企画で争っているそうだ。そしてその監修には海原雄山っていう文化人がついているらしい。
 駅に着く、適当に選んだ新聞を買い、そして電車に乗る。ここから約40分の読書タイムになる。俺は席に座りおもむろに新聞を読み始めた。「地上最強の生物・範馬刃牙vs史上最強の弟子・白浜兼一」のドリームマッチが大晦日にやるらしい。裏番組はダウンタウンの笑ってはいけないシリーズか、どっちを見るかな今から楽しみだ。紅白歌合戦は俺の好きなバンドの
The Birthdayが出るからそっちはそれだけみたいな、スラムダンクの映画で使われたラブ・ロケットをやるらしい。ふと、「11月も終わって、師走か〜1年も終わりだな」なんてオッサンみたいなことを思ってしまった。
 外の景色を見ながら、学生時代のことを思い出す。1000年に1度の魔界の王を決める戦いに参加していたときのことを思い出す。あのときは、1日1日の密度が濃かったな。今は心ときめくようなことも無くなったから、なおさらあのときが眩しく感じる。ガッシュは王様としてしっかりやれているのかな。なんて親心も出てくる。
 まどろんでいると到着駅のアナウンスが流れる。スッと立ち上がり電車を出る準備をする。
 そして今日もまた、なにげない日常が始まる。

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