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「ここができなかった」じゃなく「ここまでできた」ことが大切/卜部蘭①

前向きに捉えること。
それが大事なのはわかっています。
でも、焦りがあったり、気持ちが弱くなって、
真理を見失うのは、よくあること。
そんな時に改めて、支えてくれる誰かの声のおかげで、
大事なことに気付くことがあります。

“騙し騙し”やっていた状況

昨年11月末のクイーンズ駅伝前から、
脚を痛めていた卜部蘭選手。
最後の最後までトレーナーさんに見てもらった結果、
2区を走りきり、なんとか区間賞を獲得した彼女。
駅伝後は1週間ほど走らない期間を設けて、
様子を見ましたが、症状は良くはなりませんでした。

足の付け根の痛み、ハムストリングス
(太もも裏の筋肉)の突っ張る感覚が、
なかなか消えません。
「走れないことはなくて、“騙し騙し”やっている状況でした。100%ではなく、気を遣いながら走るのが、ずっと続いていた感じです」

その中でも、メンバーに選ばれて出場した、
今年2月上旬のアジア室内陸上。
万全ではなくても、1500mで
4位(4分21秒54)に入れたのは、
本人の学びにもなりました。

「初めての室内陸上で、(普段は春から試合だが)2月に試合があるのを今まで経験したことなくて、寒い時期に調子をあわせる難しさは学びました。日本選手権や他のレースも徐々に開催時期が早くなるので、スケジュールをどう組みたてるかなど、今までにない流れを経験できたのは大きかったです」

ただ、2月末に故障の原因がわかると、
さらに苦しい状況が続きます。

焦りの中でもらった言葉

2月末の練習中に、脚をつった感覚があり、
さらに怪我は悪化。
診断の結果、座骨の炎症が発覚。
その影響で神経が通っている、
他の場所にも痛みが出ていたとわかりました。

以降は、強度を落とした練習など、
できる限りのことを行う生活が続きます。
気持ちの面も、追い込まれる状況が続きました。

「日本選手権前にも、木南記念や兵庫リレーカーニバルなど色々大会があるので、そこに早く出られるように、という想いでやっていました。やっぱり、焦りもあって。取り組みの中で『今日これができなかった』とか『ここに痛みが出てしまった』とか、今振り返ると本当に”できないこと”に対して、焦っていたと思います」

そんな状況で救いになったのは、
トレーナーさんの言葉でした。

「とあるトレーナーさんから、『練習して痛みが出たからできなかった』じゃなくて『痛みが出たらそこでやめて、今日はここまでできた』を積み重ねて行ったらどうか、という言葉をいただいたんです。そこから気持ち的にも、減点方式から加点方式に変わり、マインド的に良くなっていきました」

「これができなかった」から
「今日はここまでできた」への捉え方の変化。
以降は色々なことを
前向きに捉えるようになっていったのです。

それは『なんにでも言えること』


卜部選手は、当時の心境を振り返ります。
「自分の中でも、これは本当に、この怪我に向き合うだけではなくて、”なんにでも言えることだな”って思ったんです。それを学べたし、考え方の大切さを再認識できました」

それからできる限り、
6月序盤の日本選手権出場に
向けて準備を重ねていきました。

「大会に出られるよう、本当に1日、1日、その時できることを積み上げていきました」

ただ、目標としていたいた日本選手権は、
体の状態を戻しきれず、
欠場という決断を下すのです。

➡VOL.2へ続く


文:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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