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ぼんやり浮かんできた「起業」という選択

僕が入社してから現在まで14年間、
ありがたいことに暇であったことがない。

年間通してお伺いする剪定、毎年何件もある庭造りなど、
このご時世恵まれていると感じる。
しかし言い方が良くないかもしれないが、
ずっと追われている感覚でいる。

僕はまだ30代で働き盛りなのでいいが、
父がもうすぐ70歳になる年齢で、やはり体力は落ちてきているのがわかる。
少し無理をすれば疲れて体調を崩しがちだし、
ずっと続けて頑張り続けるというのがもう無理になってきている。

そうなってくる前から、人が必要だから採用して育てないと、
と思い求人募集し、僕が代表になってから3人採用したが、
皆1年も経たずに辞めてしまった。
現在も体制は変わらず、時々応援の人が来てくれるくらい。

このままでは今まで大事にしていただいたお客様の剪定や
要望に応えることが難しくなる。
その間も草木は伸び、庭は荒れる。

だからと言って、地元の造園業者はどんどん廃業しており、
数少ない同業者は皆引っ張りだこでどこも同じように忙しい。
うちはできないので、と言って紹介できる状態では、とても無い。

ふと自分が本当にやりたいことはなんなのかと考える。
自分は剪定も好きだが、庭造りをもっとやっていきたいと考えている。
特に最近は、自分は石仕事が好きなんだなと認識している。
もちろん植栽も好きだ。

しかし今の状態では庭造りの方に振ってしまっては、
前途した通り抱えているお客様の対応ができない。
他に頼める人もいないので、路頭に迷ってしまうお客様もいるだろう。
もちろん剪定で忙しくなれば、庭造りの仕事はお待たせしてしまう事になる。

さらに言えば、市内にはほぼ剪定だけやっている同業者さんもいる。
その人は父と同世代だ。
父と同じように、無理できなかったり、調子が悪い部分もあるようで、
ペースダウンしてきている。
そこが抱えきれなかったお客さんが、うちに話が来たこともある。
もし近い将来、そこも廃業したら、と思うと、、

石松苑の仕事は、手間を惜しまない丁寧でセンスのいい仕事
(よくそう言われます)だと思っている。
しかし手間をかけて丁寧にやる仕事は、数はこなせない。
僕の力不足も多分にあるが、同じ意識で人を育てようと思っても、
簡単ではなかった。

そうこうしているうちに、時はどんどん経ってしまった。


そしてここにきて、剪定やメンテナンス専門の会社を作るべきでは、
と思い始めてきている。

石松苑には父や僕のアイデンティティが存分に入っている。
曲げられないこと、こだわりがあり、それを変えることは
自分でも他者でも容易ではない。
そして何より、そのこだわりは変えずに持ち続けていきたい。

しかし今ある問題は、これからも増え続けるであろう剪定分野を、
どうしていくかである。
この問題を解決しなければ、お客さんも困る、
そして何より、自分たちの身体が持たない。
石松苑としてやるべき仕事も十分にできなくなる。

自分は会社を立ち上げたわけではなく、
自営業から始まり、規模はあまり変わらず会社になったものを
引き継いだ身である。
完全なる家業をやっている状態だ。
しかし問題解決や目的達成のために立ち上げる会社
というのは全然意識や勝手が違う。
自分とは違う人格のものを作る感覚だと思う。

最近聴いた、comorebiデザインの伊集院君がやっている
「おえらいさん大学」というポッドキャストで、
僕の高校の先輩である合同会社おひさまの藤井さんが出演していた。

20以上の事業をやってらっしゃるのだが、
どんどん新しいことを始めていったから増えた、という流れではなく、
必要だと思ったことを会社で始めて行ったら自然と増えていった
ということだったそう(実際の言葉と違うかもしれませんがこんなニュアンスでした)。
今自分が会社を作らないといけないかも、と思っている感覚は
この感覚と似ているのかもしれないと思った。

会社を作ったところで、そもそも人手不足なので、
人材を探し育成して、、など、難しい事は沢山出てくると思うが、
なんとかしていかなければ。

地方の庭師の人、同じような悩みの方多いのではないかと思う。

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