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マイ・フェイバリット・ソングス 第41回~レベッカ

僕の青春期を彩ってくれたバンドですが、今でもよく聴いています。レベッカと言えばなんといってもNOKKOさんの歌声・存在感・詞の素晴らしさだと思いますが、僕は土橋安騎夫さんの大ファンです。彼の作るメロディラインやキーボードのアレンジ(特にどの曲も前奏が素晴らしい)には今でも胸を揺さぶられます。同時期、日本のキーボーディストとしては小室哲哉さんに注目が集まっていきますが、個人的には土橋安騎夫さんこそがカリスマでした。あくまでフロントのNOKKOさんをサポートする立ち位置で、ライブなどでもほとんど目立ったりしないんですが、そこがまたカッコいいんですよね。


『VOICE PRINT』(1984年)

デビュー・アルバム。とはいっても収録曲は6曲のみ。うち5曲を当時リーダーだった木暮武彦さんが作曲しています。(「瞳を閉じて」のみ土橋安騎夫さん作曲) よって木暮色の強いギター・ロックを中心とした楽曲群ですね。この頃は男性コーラスが目立っているのも特徴的です。シンディー・ローパーを彷彿とさせるNOKKOさんの魅力的な歌声は既に発揮されています。彼女の歌い方はのちにLINDBERGの渡瀬マキさんやJUDY AND MARYのYUKIさんをはじめ、多くの女性ボーカリストに多大な影響を与えていくことになります。


『Nothing To Lose』(1984年)

2nd. これも6曲のみ収録。5曲は木暮さんの作曲ですが、シングルの「ヴァージニティ」を土橋さんが作曲しています。僕はこの「ヴァージニティ」の前奏が大好きです。(正確に言うとベスト盤「The Best of Dreams」に収録されているリミックスバージョンの前奏が、邦楽曲のイントロとしては日本一というくらい好きです)また、このアルバムを最後にリーダーの木暮さんとドラムの小沼さんが脱退します。余談ですが、木暮さんは1990年にNOKKOさんと結婚するも3年で離婚。その後二人目の奥さんとの間にできたお子さんが現在女優の杉咲花さんですね。


『WILD & HONEY』(1985年)

3rd.  ここからキーボードの土橋安騎夫さんがリーダーとなり、ギターの古賀森男さんとドラムの小田原豊さんが加入します。作曲は全曲土橋さんとなり、これまでのギター・ロックからシンディー・ローパーやマドンナに影響を受けたシンセ・ポップのサウンドへと舵を切ります。これも6曲のアルバムですがオリコン6位を記録。マドンナの「Material Girl」を意識した初期の代表曲「ラブ イズ Cash」や、後のライブでも定番曲となる「ラブ パッション」「フリーウェイ シンフォニー」が収録されています。僕は「ラブ パッション」大好きですね。「WILD EYES」から間断なく始まるところは最高にカッコいいですし、恋のライバルとの戦いを女子プロレスにたとえた歌詞も素晴らしいです。またここから加入した小田原豊さんは僕が日本で最も好きなドラマーの一人。彼のドラムがレベッカのサウンドを確実に飛躍させています。(小田原さんは解散後も桑田佳祐さん・浜田省吾さん・佐野元春さん・尾崎豊さんなどのレコーディングやライブに参加。現在も活躍中です)


『REBECCA Ⅳ~Maybe Tomorrow~』(1985年)

4th. 先行シングル「フレンズ」の大ヒットをきっかけとしてオリコン1位を獲得したレベッカの代表的アルバム。9割方シングルでもいけそうなベスト盤並みの濃さなので、入口としてもおススメです。レベッカ最大の魅力であるNOKKOさんの歌声とティーンエイジャーの共感を捉える歌詞・土橋さんの生み出す美しいメロディラインが見事に開花しています。不朽の名曲「フレンズ」・恋のジェラシーが炸裂する「プライベイト ヒロイン」・輝くことを夢見る少女を描く「76th Star」(76年周期のハレー彗星のこと)といった代表曲をはじめ、OLの苛立ちを歌う「ボトムライン」・ビートルズへの愛を歌う「London Boy」、キャッチーな人気曲「ガールズ ブラボー!」美しいメロディの「Cotton Time」「Maybe Tomorrow」など名曲の数々。冒頭の「Hot Spice」とベースの高橋教之さんが作曲したインスト「光と影の誘惑」はレベッカの演奏力の高さを存分に味わえる曲です。曲順まで完璧な最強の一枚ですね。


『TIME』(1986年)

5th. ギターの古賀さんが脱退し、正式なメンバーが決まらぬまま様々なゲストギタリストが参加しています。個人的にはこのアルバムが一番好きですね。大好きな曲が満載です。まずは僕がレベッカの中で最も好きな「LONELY BUTTERFLY」。このメロディラインと歌詞の切なさは聴くたびに胸が震えます。この曲の詞をスタジオで深夜三時まで考えているときに、スタジオの外で米米CLUBが談笑していて、NOKKOさんが「すみません!ちょっとうるさいんですけど!」と怒ったというエピソードがあったそうです。(のちに石井竜也さんはそれを笑いのネタにしています) 他にもボーイミーツガールの素晴らしさを歌う「WHEN A WOMAN LOVES A MAN(女が男を愛する時)」・悩める少女たちへの応援歌「(it’s just a)SMILE」・ボディ・コンプレックスとOLの憂鬱を描く「CHEAP HIPPIES」も素晴らしい。「TIME」や「BOSS IS ALWAYS BOSSING」にはアフリカのテイストも感じられます。ラストの「NEVER TOLD YOU BUT I LOVE YOU」は繊細なインテリ青年への片思いというレベッカらしからぬテーマで宮原芽映さんが詞を書いているのですが、それをNOKKOさんが歌うことでなんとも斬新な世界が立ち上がるんですよね。この曲も大好きです。


『Poison』(1987年)

6th.  このアルバムは高校生のときにヘビロテしてましたね。全曲体に沁みこんでいます。最強のポップスバンドへ昇りつめたレベッカの自信が表れているかのようなアルバム。そしてレベッカ史上最も暗いアルバムといえるかもしれません。まず先行シングル「NERVOUS BUT GLAMOROUS」がヒットし、アルバムリリース後「MOON」がシングルカットされこれまた大ヒットとなりました。「MOON」はマドンナ「Papa Don’t Preach」を彷彿とさせ、ポリスの要素も入っている気がします。当時〈こわしてしまうのは~〉の直前に〈せんぱい・・・〉という心霊の声が入っているという都市伝説が話題になっていましたね。(2分14秒あたりで実際に聴こえます) 冒頭の「POISON MIND」は衝撃的な歌詞が特徴の毒舌ソング。「真夏の雨」はNOKKOさんの歌声が真骨頂を発揮している屈指のバラード。「TENSION LIVING WITH  MUSCLE」はまたまたボディ・コンプレックス(男子版)をテーマにしたような曲。「TROUBLE OF LOVE」はピアノとホーンセクションが印象的な50年代アメリカっぽい雰囲気の曲。マリリン・モンローを意識したような歌声が絶品です。女同士の友情を歌う「OLIVE」のアレンジのカッコよさにもシビれます。


『BLOND SAURUS』(1989年)
 
ラストアルバム。これは何故かサブスク配信されていません。LP盤もかなりレア(手に入れるのにけっこう苦労しました)なので、現在はCDで聴く他なさそうです。フランソワ・カーボキャンをプロデューサーに迎えています。アルバムタイトルにあるように「Blond Saurus」「Vanity Angel」「Cotton Love」には恐竜のイメージが盛り込まれています。すべての女性への応援歌「Super Girl」の歌詞には「CHEAP HIPPIES」のスーと「OLIVE」のオリーブが再登場します。また、「When You Dance With Me」はNOKKOさんが作曲した英語詞のダンス・ナンバー。ラストの「One Way Or Another」は「Vanity Angel」の英語バージョンですね。僕はこのアルバムだと「Cotton Love」と「Little Darling」が特に好きです。
 
 
※ちなみにオリジナルアルバム未収録のシングル「RASPBERRY DREAM」「MONOTONE BOY」「MOTER DRIVE」「One More Kiss」「LITTLE ROCK」は、数あるベスト盤やリミックス盤に収録されています。また、再結成シングル「神さまと仲なおり/HELLO TEENAGE」(2000年)と「恋に堕ちたら」(2017年)もアルバム未収録ですが、サブスクで聴くこともできます。
 

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