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詩2

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2016年7月以降にネットで発表した詩
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2017年1月の記事一覧

セクエンツィア

アナタはママの可愛いむすめ

ママはアナタの幸せだけを

こころの底から願っています

あたりまえのことでしょう

それが母親のつとめです

ママの作ったものを食べ

ママの買った服を着て

ママの決めた学校に進み

ママの選んだ職業の中から

アナタの将来を決めなさい

パパのように立派な学歴と

パパのように立派な仕事が

アナタにも向いてるのです

だから今は勉強なさい

プライドを高く持ち

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宙に浮く夕陽

東京駅に着いて

大勢の乗客が降りてゆく中

シートに座るひとりの青年が

「どなたか忘れてますよ!」

と声をあげる

青年の指先をたどると

向かいの座席に小さな紙袋がひとつ

みな一瞬振り返るも

「自分のじゃないな」といった顔で

黙ったまま降りてゆく

該当者不在の沈黙の中

青年の親切は宙に浮き

彼は頬を赤らめてうつむく

腑に落ちぬ思いでわたしも

電車を降りる

発車のベルが鳴る

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初詣

信仰というよりは習慣で

元日 近所の神社へ出向き

お賽銭を投げて 手を合わせ

そこで初めて

何をお願いしようかと迷う

仕事がうまくいきますように

人づきあいも順調に

無病息災 開運必勝 交通安全 

不朽の名作とは言わないまでも

少しはましなうたが書けますよう

そしてあの人が

どうか幸せでありますよう

どうも欲張りがすぎるなと

絞れずにいるうちにふと気づく

まだわたしには

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