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『鎌倉の小さな台所から』のこぼれ話

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鎌倉の古い家での暮らしを記録した映像日記におさまらなかったことたちを。
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夏至と歳月

 2023年の夏至が過ぎた。  まだこれから夏と秋と冬がくるのに、まだまだいっぱい変化がつまっているのに、今年はあと半分で終わる。今年とか来年とか区切らなくたってただ歳月がつづいていくにすぎないのだけれど、最近はそういうひとつの目安としての区切りがあることはいいことだな、と思っている。  なにせ人生は有限だから、区切りをなんとなくでも意識しながら、ちょっとしたプランというか見通しのようなものをぶらぶらぶさらげながら、前へすすんでいく感覚もわるくないな、と。  そういえば

地味飯のその先へ、ちいさな料理革命二〇二二

お昼に京都産のすずき三切れでトマトのアクアパッツァを作った。というとおしゃれな食べものを用意したみたいだけれど、冷蔵庫にあったキャベツ、にんじん、大根、カリフローレをじゃんじゃんのせて野菜ブイヨンと塩麹で煮込んだだけ。アクアパッツァってたしか貝とプチトマトが定番で入っているような気がするけれど今日はないし、さいごにカタカナ名の洋風な葉っぱを彩りとしてちらすような気もするけれどそれもないので、芯までりっぱな無農薬パクチーを刻んでぱっぱとのせる。 できあがったものを鉄のフライパ

たまには立ち止まって、じっくり未来の景色を想像してみる

 442年ぶりの天体ショーとうたわれた皆既月食の日の朝、Youtubeをしばらくお休みしよう、と決めた。そうなるまでの流れはもちろんあり、けれどいくつもの逡巡があり、なかなか決められないでいたのだけれど、その朝になぜかふと、じぶんの中になにかが落ちたようにすとんと自然にそう決めた。  あとで知ったのだけれど、月食には「何かを終わらせる」力があるらしい。変化や変革を象徴するという。だからか、と肩のちからが抜けた。完全に終わらせるわけではなく、しばしの休止なのだけれど、いちど手

暮らしとは、どうにもならないことのなかで精一杯生きようとする力のこと

体を壊したことで「暮らし」がはじまった 2020年の春から、体質改善のために始めた自然食のいいなと思うところをできるだけ多くの人に伝えたいと思ってYoutubeチャンネルを開設した。昨年夏に鎌倉に越してきてからは、食事だけにとどまらない、自然とともにある無理のない「暮らしのようす」をお届けするようになった。 同じような「暮らし」をテーマにした動画はYoutube上に沢山ある。同じ時代を生きるほかの人たちが、どう目覚め、どうごはんの支度をし、どう食べ、どう家をととのえ、どう