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バッティングセンター

人生で初めて行ったバッティングセンターは明治神宮外苑にあった。

会社の同期たちが行くと聞き、一緒に連れて行ってもらったのだ。

バッティングセンターなんてテレビでしか見たことがなくて、何日も前からワクワクしていたのを覚えている。

マシンの使い方どころかバットの持ち方、立ち位置すらよくわからず、同期に手取り足取り教えてもらった初打席は一球も当たらなかった。

この細い棒になぜあの小さいボールを当てられるんだ。みんなきれいにバットを振るのに、私は明らかにぎこちない。力みまくってる。

ボールを当てるだけでも難しいのにこれをさらに遠くに飛ばすなんて。

悔しいからもう一打席やってみたかったけど、手のひらが痛くなってきてしまい、それ以上無理だった。

でも帰りに信濃町の駅前で飲んだ、冷えひえの中ジョッキは最高に美味しかった。

                            *****

あれから20数年。
息子のバッティングセンター行きに付き添うようになるとは、あの頃思いもしなかった。

息子のバッティングの様子を見つつ、周りを見ると小さい子から大人までいろんな人がいて、誰もがただ黙々とバットを振ってる。時折響く快音が身体に染みる。

大学生かな?高校生かな?あの子はうちの子と同じくらいかな、上手いなぁ。なんて眺めてるのはとても楽しい。ジロジロ見ると悪いのでそーっと。

息子はまずまずの出来。でも息子自身が満足してるとは限らない。誉めたものか、放っといたものか。そんなことを考えながら息子がどうするのか様子を見守る。

そろそろ帰るって言い出すかな。

私もまたいつか、打ちたいな。

息子たちから全力でダメ出しされそうだけど…ね。


野球好きな母が日々感じたことを綴ってます。何かのお役に立てたら幸いです。