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漫画の凄さに気付かされた名作

子供の頃から読書が好きで、暇さえあれば本を読んでいた。

夜も何か本を読んでからでないと眠れず、私の枕元には読みかけの本がいつもあった。

本が好きなのに、何故か漫画にはあまり手を出さなかった。漫画の活字量が少なく思え、何となく物足りなく感じていたからだ。

そんな漫画への偏見を一発で吹き飛ばしたのが「スラムダンク」。

人生で初めて、どハマりした本

高校生の頃、どこだったか。待合所のようなところでたまたま手に取った週刊少年ジャンプ。そこに連載中だったのがスラムダンクだった。

小学校でミニバスをやっていたこともあって何となくバスケのイラストに目が止まり読み出した数ページで一気に引き込まれた。

一コマ一コマ丁寧に描かれた登場人物たちの動きや表情が文字以上のメッセージを伝えてくる。フォント遣いも面白いし、「・・・!」という記号のみの描写からも気持ちが溢れ出ている。

なんなんだ、この漫画は。これまで出会ったことのない衝撃。言葉を連ねなくても伝えられることがこんなにあったんだ。

早速近所の本屋に行き、スラムダンクを探した。あるある、単行本が出てる。

月3000円の小遣いをやりくりし、単行本を1巻からコツコツ買い揃えた。発行分を揃えた後は学校近くのコンビニの漫画コーナーをさりげなく毎日チェックするようになった。週刊誌の漫画がどう単行本になるのか知らなかった私は新刊の出る日もわからなかったのだ。

新刊の出た日は帰りが待ち遠しかった。部活を終え、帰りの電車の片隅でサブバックからそっと真新しいそれを取り出し、時に乗り過ごしそうになりながら夢中で読んだ。

地元でも有名な不良だった桜木花道がバスケに目覚め、真摯に自分と向き合い成長していく過程は時に胸が痛くなるような切ない展開でページをめくった瞬間に目頭が熱くなることもしばしば。そんな中、昔馴染みのやんちゃな仲間達とやらかして笑わせられたり。

そして最後は涙が止まらなかった。

当時の私は真面目なだけで取り柄もやりたい事も目標もなく、何となく高校生活を送っていた。そんな私にはバスケを通じてどんどん成長し変わっていく姿がものすごく新鮮で、衝撃的で、カッコ良すぎて眩しかった。

スラムダンクに夢中になった日々は私の青春の記憶として、今でも色鮮やかに残っている。

おまけ

うちの息子達は揃って漫画好き。表紙が日に焼けて色褪せてしまった私のスラムダンクも夢中になって読んでいたが、読み終えた後「バスケ部もいいな」と二人とも言い出したのには驚いた。

野球少年の気持ちすら奪ってしまうスラムダンクの素晴らしさ。

安西先生の「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」は、40を過ぎた今でも、挫けそうなときに私を励ましてくれる名言だ。

そして、以前の真面目な私だったら、読書感想文と聞いた瞬間、課題図書のような優等生的作品を選んでいたと思うが、「スラムダンクのことを書きたい!」と思わせたこの漫画は、やっぱり私の読書人生史上、最高傑作なのだ。


野球好きな母が日々感じたことを綴ってます。何かのお役に立てたら幸いです。