日射しがいちばんあたたかな昼過ぎ、湖のほとりは散歩の折り返し地点。 泡立つ炭酸水と新書を包んだスカーフを広げ道草読書タイム。 新涼の一冊 【野蛮な読書】 ああ、これはまたなんとエレガントかつ野蛮なエッセイ。 言葉による手引きに読み込むほどに誘発されてページをめくる手を止められない。止まらない。 読む事に真剣、なのではない。この著者の冷静さと野蛮さを交ぜあわせた良質な言葉の緩急が生む歪み、ワタシはそれにすっかりハマってしまったのだ。それも第一章の数ページで。 し
夏は黄昏の幻想 夏は真っ新な純情 ひかりが生む暗がりに キミとワタシ キミの体温で 蘇るノスタルジー 溶けるアイスキャンディー 流れ流され惚けている間にふたり 忍びごとささやく虫の声 はにかむ逢瀬に 隠した下心 今夜棘さして 伝わる微熱がはがゆい 悩ましいヒト 一糸も纏わないで野暮はなし 小指が結ぶ 適切な体温だけを たぐり寄せたいの 朱き唇褪せぬ間に 夏よ 夏よ 蟬時雨ながれせし間に 仮初めは流され 如何しようも無い まぶしく揺らぐ 君といた
雨の音に感動する 洗濯機の音はキライ でも、雨の音と混ざると悪くない。
川面に散るそれはまだ柔らかで痛みのないうつくしい花びら 波も立たない静けさに満ちた水面 一葩一葩、ひとときのためらいもなく花びらは落ちていく 重なり合い膨らんだ塊を追いかける子ども 石を投げてみたり、小枝でかき回してみたり ほんのちょっとのいたずらにも乱れることなく ふたたび花びらはゆるやかな流れに巻き込まれていく ゆらゆらと互いに重なりあい 連なって 川の流れはいつもよりゆっくりした速さで動き 花の塊はその淡さを一層深め
7/7 七夕 天の川を背景にこの夜、男と女が、もしくはそれさえも越えた言葉による問いが介入しない尊い逢瀬が、数えきれないほどに交わされたことだろう。 織姫は彦星と。 ワタシは歌の女神と。 お七は左兵衛さんと。 sexはloveと **星空のライブⅨ ** 人間の声ってこんなにも精巧に弦楽器のように響くんですね。大袈裟でなく、なにか音楽と言葉に対する大切な印象を得た気がしました、勝手に。MISIAやばい。 90s' のR&Bクラシック。まさに音楽の黄金
『大人の絵本』 を買った。 読む前にこれから年月をかけて爪跡を刻み、食べてしまいたくなるほど甘やかに香っていくことだろう古書へのはじまりを祝して。 歓迎の証に本を開きプロローグに顔を埋め、新しい紙の香りとまだキズひとつついていない硬くざらりとした紙の感触を愉しむ。 下記はそんな酔いどれオンナが満月の夜に勢い余って書いた戯言である。 昔から本棚にあったの、と鼻に掛けて言いたくなる古書のような大人の絶妙な仕業の香る洒落た装丁とタイトル。翻訳家ふあんであ
一秒ごとに暗闇が深まる 溶け落ちてしまいそうに麗しく爛れた月が 怪物の瞳のように胡乱に輝く夜 乱れたシーツに肌を隠して 舌で上あごに文字を書く 誰にも見つからない 私の唾液と秘密 煌々と燃える星 喪に服す獣 エナメルの爪を尖らせ 暗闇の歪みに愛の言葉を囁く 満月がすぎるまで
まだ雨も降っていないのに建物の壁や街路樹の葉の震え、交差点にあふれる人々の顔、すべてがどこか潤んで見える。 所々光の筋の混じる灰色の雲がゆっくりと街を 覆いはじめた。 「雨の匂いがする。」 隣を歩く君が前触れもなく立ち止まり空を見上げ、二人の距離でしか聞こえないくらいの小さな声で呟いた。 しばらく夜を超えて、また日が昇ると君は街を出た。 暗い雲は街の影を吸いとり少しずつ膨れ上がった。ゆっくりと息を深く吸い込めば水の匂いがした。 いつかどこかで雨に打