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「あなたの話したいことは?」という話

ラジオDJの勉強をしているとき、よく言われたのがこの言葉。
「あなたの話したいことは?」その度に、うぐっと答えに詰まった。
話すことを生業としたい、マイクに自分の声を乗せたいと願っているのに、話したいことは?と聞かれて詰まるとは何ごとだ。と、我ながら思う。

しかし、こんな風に反発心を持っていた。「話したいことがあるのではなくて、目の前のゲストなど話し手の話を引き出すのがDJの役割であって、何の専門家でもない自分が自分語りをするのは聞き手にとっては面白くもなんともなく、失礼なのでは」。
けれど、仮にも公共の電波で言葉を発する機会を頂いていて(小さなコミュニティFM放送であっても)それはいかにも怠慢ではないか。そんなことを長年考え続けているのだけど、昨日、ほんの少し明かりが差すことがあった。

とある映画のプロデューサーと、監督兼主演を務める方とお会いする機会を頂いた。映画はまだ公開前で予告編や告知の類もこれから製作されるということで詳細は控えるが、日比共同制作でボクシングを題材にした物語。本当に公開が待ち遠しいことを記しておきたい。コロナ禍で、ラストシーンの撮影を現地で撮る時期を待っているそうで、ここにもコロナの影響を感じる。

さてそのプロデューサー氏は、映画関係ではない企業の社長さんなのだが、まあ実にその方の熱量がすばらしく、トークの内容も面白かった。映画の話からご自身が楽しまれる剣道の話、果ては娘さんの彼氏の話。今日会ったばかりなのに、そのひとつひとつは面白く。私は一生懸命うまい相槌を探りながら、時折自分の話も挟まなければと心の目をうようよさせながら、一生懸命そこにいた。
結局私は今も昔も、誰かの話を引き出すことなんか出来ていなくて、その人の力を借りてそこに居させてもらっているだけであり、話し手の話を引き出すどころか、話し手に話してもらって安心しているだけだ。
だけど、少し明かりが見えたこと。それは、誰かが情熱を持って話す話は、それはもう聞く価値が大いにあるということ。

あと余談ですが、TBSの安住紳一郎アナのラジオ「日曜天国」の冒頭のフリートークが面白いという話は有名な話ですが。安住さんの、話題をちょっとずらして毒を盛る感じとか、あるある感を出して言い換える言い方とか、あれは真似したいトークスキルです。気になる方は、本当に毎回面白いので、是非聞いてみてください。



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