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FC東京を振り返る(2021年第6節vs仙台)

FC東京サポーターである。

2021年3月21日に行われたJ1第6節vsベガルタ仙台を振り返る。


●試合前

低気圧であった。
前日から曇り空が広がっており、試合開始1時間前には強風と雨で台風のようになっていた。
ここ2週間は週末の悪天候が目立つ。腑に落ちない。

青赤パークでビールとフライドポテトを食べようと前夜から画策していたが、傘も満足にさせない状況に心が折れた。
南側スタンドだったので、座席までの途中でC&Cカレーを買った。
ありがとうC&C。久々だけどおいしかった。

次こそは、青空の下でビールを飲みたい。


●先発出場選手

悪天候でのピッチコンディションを加味したのか、先発は次のようになっていた。

田川、アダイウトン、ディエゴと重馬場に強いよりタフな前線。
ディフェンスラインはアンカー森重を含め、いわゆる現状のベストメンバー。
中盤に安部ではなく、三田を起用。
GKは波多野ではなく児玉剛を起用。今シーズンのリーグ戦初出場となるベテランは、おそらく失点の続く状況へのカンフル剤だろうか。

ベンチメンバーには、GKの野澤が入った。
その風貌と立ち姿は、東京の中で誰よりも「欧州CL感」を醸し出している男だ。
そしてレアンドロが完全に休養となった。


相手選手を含めた注目は、やはりディエゴvsシマオ・マテだろう。

フィジカルを前回に押し出してぶつかってくるマテは、ディエゴが正面から競り合って負けている唯一の選手である。
背負って勝負することは得策でなく、前を向いた状況で仕掛けたい。
今シーズンはディエゴとアダイウトンの関係が非常に良いので、三田や田川と絡んで攻略できるかどうか。

そして、左SBの蜂須賀が先発している。
昨シーズンは怪我だったのか、あまり名前を見ることがなかった。
神出鬼没のオーバーラップで、予想できないタイミングで前線に居る選手だ。そして点を良く取る。
個人的にも好きなタイプの選手である。
対面の中村帆高は、その攻め上がりに引くのではなく逆に押し込めるか。

※波多野と安部が先発でなかったのは、連戦を考慮したターンオーバーか、または相手の戦術的な噛み合わせで違う選手を起用したか、はたまた児玉や三田のコンディションが単純に良かったかだと思っていたが、試合後にとある事実が判明する。これについては別の記事にまとめた。



●前半

序盤の入りは気合十分だった。
1分に中盤での奪取から流れるように展開、田川が裏へ抜けてボールを呼び込む。

3分には小川がオーバーラップしCKを獲得。
この日は小川が積極的にアダイウトンを追い越す動きが非常に多く、対面した相手右SBの真瀬を押し込み続けていた。
これも日本代表に選ばれた効果か。それとも長谷川監督に「諒也のアシストをもっと期待している」と公言されたことに発奮したか。
小川の心情の分からないが、前への推進力を高めていたのは間違いない。


5分では、左サイドの田川が素早い切り替えからのプレスを見せ、そこから数人が連動してボールを奪取。ゴール近くでのFKを獲得した。

17分、カウンターからディエゴが左サイドを突破する。今日のディエゴもキレキレだった。

この日の仙台は一貫してサイドに素早く展開、プレッシャーを受ける前に即クロス。クリアのこぼれ球を狙ってペナルティアーク付近に選手を多く配置し、回収して二次攻撃につなげる狙いが見えた。

21分、決定機を迎える。

2019年の頼もしかった東が戻ってきたかのような印象を受けた今日のプレー。
正確なフィードに、右サイドで高い位置取りをしていた中村帆高が折り返し、三田が合わせたシーンだった。
両SBの位置取りが本当に高い。攻撃への意識が伺える。

先制点まであと少しかと思われた23分、セットプレーから失点する。

渡辺剛がマークを外され、蜂須賀がダイビングヘッドを叩き込んだ。
この選手は、こういう得点感覚をどこで学んだのだろうか。
バックボーンが気になる。

先制点を取られたとしても、今シーズンの東京は全く意に介さない。
むしろ失点がゲームプランにあったかのように、25分にあっさりと同点に追いつく。

今シーズン公式戦で3得点目となる田川の弾丸ミドルが炸裂した。
ドリブルで持ち込んだが、シュートを打つことに何のためらいも感じていない様子。後ろ向きにボールを受けた後にパスを出し直し、動きを止めずパスをもらい直して前を向いた一連の流れも素晴らしかった。
将来を嘱望されてきた未完の大器がようやく覚醒しつつある。

27分には守備での好プレーがあった。
アダイウトンが裏に抜けようとし並走していた相手選手を倒
ボールをアダと小川で取り切る。

28分、アダイウトンがサイドで三人をドリブルで突破する。

37分にはスローインのボールを受けた森重がトラップ際のフェイントで相手選手を剥がす。

攻勢を続け、押し込んでいた42分に勝ち越し点が生まれる。

左サイド深めでの相手ボールのスローインからのルーズボールをディエゴが落とし、それに反応した東がダイレクトでボールを戻す。
ワンツーの格好となったディエゴは、胸で前向きにトラップ。素早く寄せてきたシマオ・マテを股抜きで抜き去ると、そのままフリーでファーサイドに低いシュートを流し込み、ゴールが決まる。

ちなみに、一見するとよく分からない今回のシュートパフォーマンスは「FPSゲームで手榴弾を投げた後の兵士の動き」だそうだ。
ディエゴのことだから、きっと即着神グレネードだったことだろう。



●後半

後半は、終盤へ向けて我慢の時間帯が長く続いた。
8分に相手守備陣のパスミスからアダイウトンの絶好機があったので、ここを決めきれていれば楽になっていたかもしれない。
ここもディエゴやアダイウトンの激しいプレスの賜物だった。


14分は、小川のシュートブロックが決まる。当初はCKの判定だった。
その後VARオンフィールド・レビュー(主審によるモニターでの映像確認)が行われたが、判定はCKを維持。珍しい事例となった。


右サイドから大外のファークロスに対して、小川がしっかりと体を張ってブロックした好プレーだけに、PK献上とならず良かった。

この直前には、GKの児玉が「プレス緩くなるなよ!」と大きな声でコーチング。檄を飛ばすベテランの安定感は頼もしい。


28分には、内田の前線でのボール奪取から渡邊凌磨のシュート。
フリーだっただけに決めたかった。


そしてアディショナルタイムには、セットプレーによって訪れた窮地をディエゴが救う。

千両役者であるディエゴの大活躍も相まって、2連勝を達成した。


●試合終了後

セットプレーより先制点を奪われたものの、それを意に介することなく直後に同点とし、そのままの勢いで逆転した。
2019年や2020年の「先制点を取ると強いが、取られると滅法弱い」とされた長谷川トーキョーはどこへ行ってしまったのだろう。

それでも、東京の持ち味である「リードした時の守備の固さ」は戻りつつある。
前半で逆転しリードを奪うと、後半中盤以降は押し込まれる時間が続きつつも我慢強く守ることができていた。

観客が声を出せない環境では選手の声が聞こえてきたが、GKの児玉が発する「プレス緩めるなよ!!」というコーチングが2階席まで響いていた。
後半の体力がキツいタイミングで、仙台のボール保持が続く押し込まれた時間帯でのコーチングに、ダマさんの真骨頂を感じた。

東京の守備での固さ、プレスの強さ、そして今シーズンから見られる「攻撃の爆発力」、この全てを完全に身に付けたら怖いものはない。
独走状態に入りつつある川崎と、それに追いすがる名古屋に対して、なんとか引き離されないでほしい。

次節は、その名古屋グランパスとの直接対決。
目下6連勝中で絶好調のマッシモ相手に、東京の攻撃が通用するか否か。
4月3日は、川崎への挑戦権を奪い合う大一番となる。





たまにサポートをいただけるのですが、あまりにも申し訳ないのでお題のリクエストなどを併せていただけるとありがたいです。もちろんなくても大丈夫です!読んで頂きありがとうございます。