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"今"と"過去"をつなぐ世界史のまとめ

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#中国

【ニッポンの世界史】#25 越境する中国史:陳舜臣のユーラシア的想像力

 この評伝で紹介されているのは、1970年代の大衆歴史ブームを土壌として、日本を超える視点から、イスラムと中国を繋ぐ立場を果たした作家、陳舜臣(1924〜2008)です。  この陳舜臣という人が、「ニッポンの世界史」の再定義に、どのようなかかわりをもったか、今回はこれをみていくことにしましょう。 中国史の案内人  陳の魅力をひとことでいえば、まるで見てきたかのように中国の歴史を解き明かし、現代世界とのつながりを意識させるところにあります。    本籍は台湾にありましたが

鄭成功とは、何者か? "今"と"過去"をつなぐ世界史 Vol.14

"今"と"過去"をつなぐ世界史(14) 1500〜1650年  台湾に「開山王廟」という廟がある。  鄭成功(ていせいこう)という人物が、オランダを台湾から駆逐したのを記念して、死去した1662年に創建された祠だ。  その後、1875年には清朝の大臣によって新しい祠が建てられ、1895年に台湾が下関条約によって日本の統治下に入ると、その翌年には鄭成功を祭神とする神社に改変、その名も「開山神社」と変更された。  さらに第二次世界大戦後、ほかの神社と同様、取り壊しの対象となり

鄭和(ていわ)は、なぜ何度もよみがえるのか? "今"と"過去"をつなぐ世界史(13)

"今"と"過去"をつなぐ世界史(13) 1200年〜1500年の世界 死せる孔明、生ける仲達を走らすというように、英雄は何度もよみがえる。明代の宦官にして武将として知られる鄭和(ていわ)もその一人だが、よみがえりの形は、かならずしも生前のすがたそのものとは限らない。 史上の鄭和は、時の皇帝・永楽帝に見出され、大船団を率いて東南アジア、インド、セイロン島からアラビア半島、アフリカにまで7度にもわたり航海を成し遂げた人物である。 ムスリム(イスラム教徒)であった彼ならば、イ

中国のルーツは漢か唐か? "今"と"過去"をつなぐ世界史(7)

"今"と"過去"をつなぐ世界史(7) 前200年〜紀元前後の世界 中国人の「国服」とは?高校生に「中国人の服といえば?」といって真っ先に挙がるのは「チャイナドレス」だろう。世代があがれば、人民服も出てくる。 でも、中国政府が中国国民の服として推進しようとしているのは、そのいずれでもなく、「唐服」と呼ばれる服装だ。TikTokで「唐服」と検索してみると、さまざまな動画が発信されていることがわかる。その多くが女性によるものだ。 唐服のルーツは、2001年に上海でひらかれたA

【いまどきの世界史教科書?】増えた用語 消えた用語

3月も残りわずかとなりましたが、新年度の授業準備をあれこれとしています。 あたらしい教科書が届くと、前の版との違いをなんとなく確認するのが習わし。とくに今回は新しく設定された「世界史探究」という科目があるため、わけがちがいます。気合を入れて異同をチェックしてみると、これが結構変わっている。 たとえば、 といった具合です。 今回は索引をベースにし、山川出版社の『詳説世界史B』の最新の版と『詳説世界史探究』を比べ、消えた用語と増えた用語を確認しました。 デジタルで全文検