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SDGs 世界史

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国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)に挙げられた課題に対して、人類はどのように向き合ってきたのか―。SDGsと「世界史」の関わりを解説した史上初の試み。全文無料。
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#歴史総合

新科目「歴史総合」入門(4)グローバル化

■3つ目のしくみ「グローバル化」 いよいよ最後、3つ目のしくみは「グローバル化」があらわれる20世紀半ばの時代をみていきましょう。 前回みたように、戦争が終わると、今度はアメリカとソ連の2つの世界に引き裂かれましたが、2度の世界大戦を通して縮小していた貿易や交流は、以前と比べれば回復に向かいます。 ソ連とアメリカは、それぞれの掲げるイデオロギーのもとで、世界をひとつにまとめようとします。 人々は、生活水準を高める憧れを抱き、どちらかの陣営に参加し、よりよい人生をおくる

歴史の扉④ 石けんの世界史

 コロナ禍により、以前にも増して奨励されるようになった手洗い。  今回は、それに欠かせない「石けん」の世界史をふりかえってみることにしましょう。 石鹸の製法の発展  石鹸にあたるものは、天然の素材によって、古来世界各地でつくられていました。地中海沿岸では、中世の頃、海藻の灰とオリーブ油を原料とした石鹸が製造されていましたが、17世紀にフランスの科学者ルブランが、化学的に炭酸ソーダ(アルカリ剤)を合成する方法を開発すると、石鹸の大量生産への道が開けます。  1861年にはベル

問いと「歴史総合」 :5つの観点+1に注目して

 この2ヶ月の間、私なりに、新科目「歴史総合」の素材集めをしてみました。この新科目について、ある程度知られるようにはなってきました。これを来春以降実施するとなると、なかなか大変なところもあるだろうなと思ったりもします(とくに教員研修や、学校・生徒や多様な実態を踏まえた文字資料の扱いについて)。近代化、大衆化、グローバル化を時期区分のように扱うことにも、正直抵抗があります。  巷では「歴史総合は日本史と世界史の融合だ(現代の課題との関わりを考察する)」とか「歴史総合は世界史だ(