ニッポンの世界史【第3回】世界史の「氾濫」
「教科世界史」は、なぜ暗記地獄化したか?
前回みたように、「科目」としての世界史は、戦後まもなくの混乱期に、学問的に深い議論が交わされることなく誕生したものでした。
そもそも学問としての世界史自体、未確立だったこともありますが、その輪郭が不確かであったからこそ、文部省の教科書調査官や歴史学者、教員、予備校講師、それに作家に至るまで、さまざまな人々の手が加わり変化し続ける余地ができた面というもあるでしょう(注1)。
とくに戦後まもなくは、教員がみずから世界史という科目