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モネが見た光

「モネが見た光」をそのままに 「モネ―光のなかに」展(ポーラ美術館) 会場構成の中山英之さんに聞く

■概要
「会場全体を自然光に限りなく近い質の光で満たされた空間に置く」というコンセプトに基づき、会場構成を担当した気鋭の建築家、中山英之さんにリモートでお話を伺った。

■ 足元に影がない
 展示会場に入ると足元に影がなくて、足音もほとんどしない。どこからともなくふんわりとした光に包まれている不思議な空間に魅了される。
 天井全体を幕で覆い、間接照明で空間全体を柔らかい光で満たしました。足元の絨毯は毛足や色味を探し求めて見つけたドイツ製のもので、ほとんど足音がしません。

■ 柔らかく光を反射
「天井を曇り空にする。絵に光を直接当てない」
裏が透けない遮光性が求められ、ピカピカ光らず、柔らかく光を反射することが重要。屋内なので防炎性も必須、と条件がいくつもありました。

■ トタン板は「相性がいい」
 作品が掛かっているのは、工事現場や農地などでよく見かけるトタン板です。
普通の展覧会では「経師貼り」といって、壁にクロスをはり、つなぎ目をテープで合わせて作品を掛けるのですが、今回のように曲線が連続する壁だと、どうしてもつなぎ目が目立ってしまう。そうなると、狙いとしていた「連続する空間」ではなくなってしまいます。
つなぎ目をネジで止めるだけで済む波打ったトタン板を使うことにしました。既製品のカタログにあったままの、おそらく日本の風景色からとられたグリーンのトタンにしました。

■自身として
 美術館と展示会は似ていると思いピックアップ。
 美術館がここまで顧客主語になっていた事を初めて知って驚いた。お客さんは絵を見に来るが、その絵を飾る美術館の空間からここまで試行錯誤が繰り返されている事に感動した。
 展示会で例えるとお客さんがみにくる製品をどのように配置してどのような空間を作るか。  デザイナーさんの重要性を再確認しました。

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