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「#世界はジャズを求めてる」2021.9月4週(9/23)『映画"Summer Of Soul"のラテン』eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM

『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。ジャズ評論家の油井正一さん「ジャズはカリブ音楽の一種」と喝破されたように成り立ちから一つのラテンとジャズは、垣根を意識することなくお互いに溶け合ってきています。そんな関係のカッコいい曲をお届できればと。番組をお聴きになってラテンに興味がでた方、ラテンがお好きな方はラテン音楽Web マガジン「エル・ポップ(eLPop)」など覗いて頂けたら幸いです。(URL=http://elpop.jp)

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1. Ruben Blades “Mambo Gil " from “Salswing” (2021)

以前ご紹介したことのあるルベン・ブラデスの今年のアルバム“Salswing”の演奏を務めているのはパナマのロベルト・デルガドのオルケスタです。彼らがルベンのアルバムの中で演奏しているマンボのインスト・ナンバーを最初にお届けします。

RUBÉN BLADES  (vo),ROBERTO DELGADO (b), ADEMÍR BERROCAL (congas,ds), JUAN BERNA (p), RAÚL RIVERA (bongo), CARLOS PÉREZ BIDÓ (timb, ds), JUAN CARLOS “WICHY” LÓPEZ (tp), ALEJANDRO “CHICHISÍN” CASTILLO (tp, tb, bs), FRANCISCO DELVECCHIO (tb), AVENICIO NÚÑEZ (tb), CARLOS UBARTE (fl,ss,as,ts,bs), CARLOS AGRAZAL (as), IVAN NAVARRO (ts), LUIS CARLOS PÉREZ (ts)

https://youtu.be/CJFpZ2cqoMo


2. Ralph Irizarry "Timbleria" from “Timbalaye” (2015)

 
ルベン・ブラデスのバックを長く務めてきたのは「SEIS Del SOLAR」というニューヨークのラテン/ラテン・ジャズの腕っこきが集まるグループ。そのグループでティンバレスを務めてきたNY・ブルックリン生まれのラルフ・イリサリーが今年9月5日に惜しくも亡くなってしまいました。彼の活動20周年の記念アルバムからラテンジャズとフラメンコを融合したこの曲で追悼したいと思います。

Ralph Irizarry (timb)
Alex Apollo Ayala(b), Roberto Quintero (congas, guiro), Christian Nieves (cuatro), Ernesto Briceño (palmas), Gonzalo Grau (palmas), Roberto Castillo (palmas), Adan Perez (p), Anibal Rojas (ts), Hommy Ramos (tb), Dennis Hernández (tp)

https://youtu.be/rBpyPKzobQ0


[Summer of Soul/1969特集]


今月の話題の音楽映画と言えば1969年にNY・ハーレムとスパニッシュ・ハーレムの間の公園で6日間にわたって行われ、延べ30万人を動員したコンサート映画『サマー・オブ・ソウル』。当時のブラック・ミュージックを網羅する様々な世代とジャンルからの出演者に加え、レイ・バレット、モンゴ・サンタマリア、ハービー・マンと言ったラテン側、ラテンと交差するミュージシャンの映像もしっかり含まれています。当時のNYで様々な音が併存・混在し、特にブラック・ミュージック側のハーレムとラテンのスパニッシュ・ハーレムが隣同志の地区でありライブもその間の場所で行われているなどお互いに混在した影響を受け合っている事が伝わる映画です。そんな音からお届けします。

3. Herbie Mann "Soul Montuno" from “The Beat Goes On” (1967)

 
タイトルの通り、ブラック・ミュージック側の「ソウル」とラテン側の「モントゥーノ」が溶け合ったようなハービー・マンの1967年、丁度「サマー・オブ・ソウル」の2年前のナンバー。ジャズ側からクラーク・テリー(tp)、ジョー・ザヴィヌル(p)、レジー・ワークマン(b)と言った顔が参加する一方、ウイリー・ボボ(timbales)、カルロス・”パタート”・バルデス(congas)がラテン側からリズムをプッシュする音が聴けます。

Herbie Mann (fl),
Clark Terry (tp), King Curtis(ts), Roy Ayers(vib), Dave Pike(vib), Don Friedman (p), Jimmy Wisner(p), Joe Zawinul(p), Attila Zoller(g), Jack Six(b), Reggie Workman(b), Bruno Carr(ds), Bobby Thomas(ds), Willie Bobo(timb), Carlos "Patato" Valdes(congas), Tamiko Jones(vo)

https://youtu.be/PGyhhYxepGs

4. Mongo Santamaria "Cloud Nine" from “Stone Soul” (1969)

映画と同じ1969年の作品。映画にも登場していたフリート・コジャソ(perc)、スティーブ・ベリオス(timb)、ルイス・ガスカ(tp)といったラテン側とソニー・フォーチュン(as)、バーナード・パーディ(ds)、ヒューバート・ロウズ(ts)と言ったジャズ側とがグルーブする音が聴きどころです。

Ramon "Mongo" Santamaria (congas)
Julito Collazo (perc), Osualdo Martinez (perc), Sonny Fortune (as)
Art Kaplan (bs), William Allen (b), Bernard Purdie (ds)
Rodgers Grant (p), Hadley Caliman (ts), Hubert Laws(ts),
Steve Berrios (timb), Louis Gasca (tp), Marty Sheller (arr)

https://youtu.be/zmxemz8iWnQ

5. Mongo Santamaria "Windjammer" from “Mongo 70” (1970)

 
こちらもフリート・コジャソ(perc)やオスバルド・マルティネス(perc)などラテン側と、エリック・ゲイル(g)やトレバー・ローレンス(bs)などブラック側が一体となったナンバー。

Mongo Santamaria (congas, bongos)
Charles Williamson (cornet), Trevor Lawrence (bs), Jon Hart (b)
Eric Gale (g), Sonny Henry (g), Julio Collazo (perc)
Osvaldo Martinez (perc), Pelayo Diaz (perc), Neal Creque (p)
Grant Reed (ts, fl), Angel Allende (timb), Israel Gonzalez (tp)
Roger Glenn (vib, fl)

https://youtu.be/zmxemz8iWnQ

6. Ray Barretto “Hard Hands” from “Hard Hands”(1969)

 
映画でのラテン側の一番のハイライトはレイ・バレットかと思います。
ラテンとブラック・ミュージック、そしてアフロまでが混在した『サマー・オブ・ソウル』ですが同年のアルバム『ハード・ハンズ』から1曲目のタイトル曲、そして2曲目の西アフリカのコート・ジボワールの都市の名前からの「アビジャン」をどうぞ。

Ray Barretto (congas)
Mr. Soul (b), Tony Fuentes (bongos), Louis Cruz (p)
Orestes Vilato (timb), Papy Roman (tp), Roberto Rodriguez (tp on 2)
Adalberto Santiago (vo)

https://youtu.be/vYe-cjTwq5I

7, Ray Barretto "Abidjan" from “Hard Hands” (1969)

 
As above

https://youtu.be/1sTjI30ViOw

8. Ray Barrretto "Together" from “Together” (1969)

 
レイ・バレットは同年にもう一枚アルバムを発表し絶好調でした。この作品のメンバーは映画とほぼ同じ。若きアンディ・ゴンサレス(b)も参加です。ファニアの1967年録音で68年リリースの「ライブ・アット・ザ・・レッド・ガーター」のように、サルサがまだはっきり形になっていない、混在したかっこよさが魅力の音です。

Ray Barretto (congas)
Andy Gonzalez (b), Tony Fuentes (bongos), Louis Cruz (p), Orestes Vilato (timb), Papy" Roman(tp), Roberto Rodriguez (tp)Adalberto Santiago (vo)

https://youtu.be/8Ze4xTXI-xU

9. Harlem River Drive "Harlem River Drive (Theme)"from “Harlem River Drive (1971)

 
  この『サマー・オブ・ソウル』の後もブラック・ミュージック、ジャズ、ラテンの間の様々な試みは続きます。代表的なものはやはりこの『ハーレム・リバー・ドライブ』でしょう。エディ・パルミエリ(p)、チャーリー・パルミエリ(p/org)、マニー・オケンド(timb)、ニッキー・マレーロ(timb)などラテン/ラテン・ジャズ側と、コーネル・デュプリー(g)、バーナード・パーディ(ds)、ロニー・クーバ(bs,ss)、ランディ・ブレッカー(tp)などが四つに組んだナンバーが聴けます。

Charlie Palmieri (organ), Nick Marrero (timb), Victor Venegas (b), Eladio Perez (congas), Reggie Ferguson (ds), Bob Bianco (g)

https://youtu.be/BbhXlDgJX4Q

他の曲: Andy Gonzalez (b), Bernard Purdy (ds), Ronnie Cuber(bs, ss)
Cornell Dupree (g), Bob Mann (g), Dick Meza (ts), Manny Oquendo (timb)
Barry Rogers (tb), Randy Brecker (tp)

10. Humberto Ramirez “Fiesta Mood” from “Focus” (2021)

 
  最後の曲はプエルトリコを中心に80年代後半以来、トニー・ベガ(vo)のオルケスタなどでのサルサのアレンジで活躍し、同時に自己のジャズのユニットでマイルス・デイヴィス・トリビュートなど数多くの作品を発表してきたトランペッター、ウンベルト・ラミレスの新譜からお聴きください。

Humberto Ramírez (tp, flh), Frankie Pérez (ts), Julio Boria (p), Giovanni Ortíz (b), Francisco Alcalá (ds), William “Kachiro”Thompson (congas), Angel D. Mattos (p), Junior Irizarry (b), Raúl Rosario (timb, bongos), Eddie Montalvo (congas), Julito Alvarado (tp), Norberto “Tiko” Ortíz (ts), Reynaldo Jorge (tb), Edgardo Rivera (p), Fernando Marcano (tp)and many more.

https://youtu.be/aRTEkvpT3FU

9月は以上です。ありがとうございました!気に入った方は「スキ」をお願いします!

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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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