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「世界はジャズを求めてる」2021年7月第1週(7月1日)放送分スクリプト(出演 村井康司)#鎌倉FM


テーマ曲:What A World Needs Now Is Love/Stan Getz


*こんばんは、毎週木曜午後8時からお送りしている「世界はジャズを求めてる」、第一週は音楽評論家の村井康司がお届けします。
番組の感想、リクエストなどは、鎌倉FMホームページの送信フォームや、ツイッター、フェイスブックなどでどしどしお寄せください。ツイッターでは、ハッシュタグ「#世界はジャズを求めてる」を付けていただければ助かります。また、noteにもこの番組のページがありまして、番組の選曲リストや概要などをご紹介しています。Noteで、「世界はジャズを求めてる」で検索していただければ、私たちのページをご覧になることができます。そちらもよろしくお願いします!

*さて、今日から7月ですね。今日はまず、7月生まれのミュージシャンの曲を1曲ご紹介して、そこから数珠つなぎというか、連想ゲームみたいにどんどん曲をかけていこうと思っています。というわけで7月7日生まれの偉大なミュージシャン、キーボードのジョー・ザヴィヌルの作った曲です。ザヴィヌルが長く在籍していたバンド、ウェザー・リポートのアルバム『ブラック・マーケット』から、「Cannon Ball」をお聴きください。

M1 Cannon Ball/ Weather Report



*ウェザー・リポート「Cannon Ball」でした。キャノンボールは、ジョー・ザヴィヌルがサイドマンをつとめていたアルト・サックス奏者、ジュリアン・キャノンボール・アダレイのこと。75年に亡くなったキャノンボールを追悼した曲です。
では次に、キャノンボール・アダレイの晩年の演奏をご紹介します。74年のアルバム『Pyramid』のタイトル曲「Pyramid」です。

M2  Pyramid / Cannonball Adderley



*キャノンボール・アダレイの「Pyramid」でした。このアルバムでエレクトリック・ピアノを弾いているのは、ハル・ギャルパーというピアニスト。ブレッカー兄弟や日本の日野皓正などとの共演で知られるミュージシャンです。ハル・ギャルパーの『リーチアウト』というアルバムから、ピアノ・ソロの演奏「I Can’t Get Started」です。

M3 I Can’t Get Started / Hal Galper



*ハル・ギャルパーのピアノ・ソロ「I Can’t Get Started」でした。
今おかけした「I Can’t Get Started」は、ヴァーノン・デュークという作曲家によるスタンダード・ソングです。ヴァーノン・デュークはその他にもよく知られたスタンダードを作っていまして、次の曲も彼のペンになるもの。メル・トーメのヴォーカルで「Autumn in New York」をお聴きください。

M4 Autumn in New York /Mel Torme



*メル・トーメのヴォーカルで「Autumn in New York」でした。メル・トーメは「ヴェルヴェット・フォグ」、ベルベットの霧、と呼ばれた声の素晴らしいヴォーカリストですが、実は若い頃は、ドラマーとしても一流だったんです。仲のいいドラマーのバディ・リッチは歌も上手くて、ある時メルとバディが談合して、「メルはヴォーカル、バディはドラムでいこう」となったそうですが、ほんとなんでしょうかねえ。
では、バディ・リッチ・ビッグバンドの演奏で、フレディ・ハバードの曲「Up Jumped Spring」です。

M5 Up Jumped Spring / Buddy Rich Big Band



*バディ・リッチ・ビッグバンドの「Up Jumped Spring」をお送りしました。リッチは1987年4月に亡くなりましたが、この演奏は86年11月に録音されたもので、リッチの最晩年の演奏です。ちなみにリード・トランペットは、現在日本で活躍している日系トランペッター、エリック・ミヤシロです。
さて、次は「Up Jumped Spring」の作曲者、フレディ・ハバードの演奏を。アルバム『レッド・クレイ』より「The Intrepid Fox」です。

M6 The Intrepid Fox / Freddie Hubbard



*フレディ・ハバードの「The Intrepid Fox」でした。「勇敢な狐」というおもしろいタイトルの曲ですね。メンバーは、フレディ・ハバードのトランペット、ジョー・ヘンダーソンのテナー・サックス、ハービー・ハンコックのエレクトリック・ピアノ、ロン・カーターのベース、そしてレニー・ホワイトのドラムスです。
次は、今の演奏に参加していたサックス奏者、ジョー・ヘンダーソンを聴きましょう。アルバム『インナー・アージ』から、コール・ポーターの曲で「Night And Day」です。

M7 Night And Day / Joe Henderson



*ジョー・ヘンダーソンのアルバム『インナー・アージ』から「Night And Day」でした。64年の録音で、当時の最も新しいジャズのスタイルでの演奏だと言っていいと思います。リズムがポリリズムの、ジャズの世界では「アフロ・ビート」と呼ばれるパターンとフォービートが交互に出てくるところがかっこいいですね。で、実はこれはお手本がありまして、それはジョン・コルトレーンが60年に録音した「The Night Has A Thousand Eyes」「夜は千の眼を持つ」という曲なんです。こちらもアフロ・ビートとフォービートが交互に出てきて、しかもドラムスがエルヴィン・ジョーンズでピアノがマッコイ・タイナーというところまで一緒です。今日はかけませんが、やはり64年にウェイン・ショーターが「Yes or No」という曲で同じパターンを使ってまして、なんとそれもドラムスがエルヴィン・ジョーンズでピアノがマッコイ・タイナーなんですよ。
というわけで、ジョン・コルトレーンの「The Night Has A Thousand Eyes」「夜は千の眼を持つ」をおかけしましょう。

M8 The Night Has A Thousand Eyes / John Coltrane

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*ジョン・コルトレーンの「The Night Has A Thousand Eyes」「夜は千の眼を持つ」でした。

M9 God Bless The Child / Keith Jarrett



*ジョン・コルトレーンは1967年7月17日に40歳で亡くなりましたが、もうひとり、7月17日が命日の大物ジャズ・ミュージシャンがいます。1959年7月17日に44歳で亡くなった歌手、ビリー・ホリデイです。
今うしろで流れているのは、ホリデイの作った「God Bless The Child」、演奏はキース・ジャレットのスタンダーズ・トリオです。
今日はこの曲をバックに、「ビリー」という映画のご紹介をしましょう。「ビリー」はビリー・ホリデイの生涯を、今まで未発表だった動画をふんだんに使って辿ったドキュメンタリー映画なんですが、ちょっと変わった趣向になっています。ビリー・ホリデイの伝記を書こうとして膨大な時間を費やして関係者や家族たちにインタビューしたけれど、志半ばで謎の死を遂げたリンダという女性ジャーナリストが遺したインタビューのテープが映画の中で流れ、そしてビリー・ホリデイの生涯とリンダの謎の死がオーバーラップして語られる、という仕組みになっています。ちなみに、ドナルド・クラークという人が書いたビリー・ホリデイの伝記『月に願いを ビリー・ホリデイの生涯とその時代』という本がありまして、クラーク氏はリンダ本人がテープから起こしたメモを参考にしてその伝記を書いたのですが、テープそのものは聴いたことがなかったんですね。ですので、テープが公開されたのはこの「ビリー」という映画が初めて、みたいです。
この「ビリー」、7月2日から15日まで東京の角川シネマ有楽町で開催される「ピーター・バラカンズ・ミュージック・フィルム・フェスティヴァル」で公開されます。ビリー・ホリデイに興味のある方にお勧めします。詳細は角川シネマ有楽町のウェブサイトなどをご覧ください。

さて、今日のお別れはビリー・ホリデイの「Don’t Explain」です。

M10 Don’t Explain / Billie Holiday


*「世界はジャズを求めてる」、 7月第一週のお相手は、音楽評論家の村井康司でした。7月生まれに始まって、7月に亡くなったミュージシャンで終わる1時間、いかがでしたでしょうか。来週の進行役は、音楽書籍編集者の池上信次さんです。
では来週も木曜午後8時から、鎌倉FMにチューンインを! またお会いしましょう!

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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。

進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。

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