【後編】”商店街は子供たちにとっての学びの広場になる” 〜子育てをしながら働くとは〜
前編に引き続き、三ツ矢蒲鉾本舗・美鈴さん(以下、美鈴)と、Kitchen friend 怜・ゆかりさん(以下、ゆかり)に子育てをしながら商店街で働く、魅力や苦労など、リアルな日常に迫ってみました。
前編はこちら▼
ー実際に働きながら子育てをしてみてどうですか?
美鈴:大変です。やはり仕事をしながら子育てをしているので、子供と接する時間を長くとってあげられなくて。商売していく中で「手伝うよ〜」と言ってくれるようになり、ちゃんと見てくれているんだなと思える場面が増えてきました。
子供の少しの変化に気づけるという面に関しては、職場に子供を連れてきているからこそなのかなとも思います。
ゆかり:私も美鈴さんと同じで子供の成長を仕事場で感じられることです。
子供が幼稚園と小学校から帰ってきたら仕事場に居るのですが、「ママ〜!」と呼ばれてもなかなか一緒に居られないんですよね。
だけどコロナで幼稚園や小学校が休校になった時は私が一日仕事場にいたので「一緒にお手伝いする〜」という声が増えてきて、一生懸命に働いている私達の姿を見てくれているんだなと感じることができて、とても感動しました。
ーそんな多忙な中でも、”商店街で子育てをする魅力”はなんだと思いますか?
美鈴:商店街って人が行き来する場所でもあり、日々異なる人たちが通る場所でもあります。
なので親が教える以上に、周りの人たちが教えてくれるという場面も多い。子供にとっては「あのおばちゃんとしゃべってきた〜」という日々の繰り返しこそ洞察力やコミュニケーション力に繋がっているのではないかなと思います。
ゆかり:商店街って学びの広場ですよね。例えば常連さんが来られた際、「あいさつをしなさい」と言ってもなかなかしないときがあって。でも必ず常連さんは待ってくれたり、優しく何度も「こんにちは」と言ってくれたり。
子供たちにとっては毎日が学びに繋がっているのではないかなと感じています。
ー それぞれお忙しい中で子育てをしていると思うのですが、“これだけは必ずする”というお子さんとの決まり事はありますか?
ゆかり:どれだけ忙しくてもしんどくても腹が立っても子供と喧嘩をしていても子供が寝る前の少しの時間、”ギュー(ハグ)タイム”をつくることですね。子供とギューをしながら「今日どうだった?」「給食何食べたん?」などの話をするようにしています。
美鈴:子育てをしながら働くということ関して、忙しいのは目に見えていたのですが、当時から”絵本の読み聞かせ”は必ずしたいと考えていました。
絵本を読むときは膝の上でだっこをしながら読むんですけど、それって子供にとっては一つのリラックス効果にも繋がるかなと思っています。お母さんの匂いや鼓動からくる安心感とか。
あと声もとても大切で、イライラしているときってどうしても声が低くなると思うんですが、本を読んでるときは優しくリラックスして読むことを心掛けています。そうすると自然と子供もリラックスして眠りにつくんですよ。
ーこれからの目標を教えてください。
美鈴:子供に「ママきれいでいてね」とか「大人になってもずっと一緒にいてね」と言われることが増えてきたので、とにかく健康体でいたいなと思っています。
あとは最近、「これなに?」「あれなに?」と聞くようになってきたんですけど、なかなか答えられなくて。独身のときは子供がいる前提で物事を考えていなかったので、今思えばもっと知識を蓄えておくべきだったなと思います(笑)。
ゆかり:商売人のまちなのでとにかく商売繁盛して、自分の時間と心に余裕を持ちたいと思っています。
本来であれば、おばあちゃん家に泊まりに行くとなったら、寂しいという気持ちになるのかもしれませんが、現状では正直ホッとすることもあるくらい自分の余裕がなくて。
なのでまずは商売繁盛。
ー最後に共働きや子育てをしている方、またこれから子育てを控えている方々へ向けて何かアドバイスやエールがあればお願いします!
ゆかり:“我慢の先には幸せがある!”
子育てって本当に大変。でもそんな中でも仕事をして子育てをしている人しか味わえない、些細な幸せがいっぱい詰まっています。
幸せの形って様々なんですけど、子供の成長を目の当たりにした瞬間って本当に子育てしてきて良かったなと感じます。とくに子供の行事に足を運ぶと毎回号泣ものですね。
不安に思うかもしれないけど、やっぱり理想と現実は全く違う。でもそれ以上に、転がっている幸せを受け取ることができるからこそ、子育てを続けられているんだと思います。
毎日ご飯作るのがしんどいなと思っていても「おいしかったからまた作って〜」と言ってくれたり、髪の毛を結んでもらっていた立場だったけど気づいたらお姉ちゃんが妹の髪を結ぼうとしていたり。うまく言えないけど、こういう些細な幸せがたくさん味わえます。
美鈴:不安なこともあると思いますが、決して一人では考え込まずに、気軽な気持ちで頑張ってほしいなと思います。
私も出産時、不安な気持ちでいっぱいでしたが、子供が出てきた瞬間「何がなんでも守ってあげたい」という強い覚悟のようなものが芽生えました。
ゆかり:初めて親になった時に「大人だからできて当たり前ではなくて、子供が生まれた瞬間からまだ一日目。一緒に成長していけばいいやん!子供が生まれて母と子のスタート地点。だから誕生日も子供だけではなく、ママもおめでとうなんだよ!」と友人からメッセージをもらい、スッと心が軽くなりました。
美鈴:初めてのことなんだから失敗をして当たり前ですよね!その失敗すら楽しみながらも子育てをしてほしいなって思います。
あとは、自分なりのやり方が見つかる日が必ずくるから焦らず、周りを気にせず、楽しく子育てを頑張ってほしいですね!
辛いこともあるけれど、きっとその子が教えてくれます。
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笑いあり涙ありの2時間の対談。お二方の話を聞いて様々な葛藤がある中でも、お子さんへの愛情がひしひしと伝わってきました。また、一つ一つの言葉の背景に”強い意志”を感じ、私もお二方のようなカッコいい女性になりたい!と強く思いました。
これからもSEKAI HOTELは地域で働く方々を応援します!
店舗情報
【三ツ矢蒲鉾本舗布施店】
住所:大阪府東大阪市足代1-20-17
営業時間:10:00-19:00
TEL:06-6723-0722
【Kitchen friend 怜】
住所:大阪府東大阪市足代新町3-17
営業時間:9:00-19:00(定休日:土・日曜日)
TEL:070-4313-1505
取材 / 執筆:林 美咲
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