日本における子どもの貧困問題を解決したい! by 田中凜香 / 五ヶ瀬中等教育学校(宮崎)#貧困をなくそう

私の将来の夢は「国際社会で子どもたちに学習支援だけでなく、進路支援やキャリア支援ができる人になる」ということです。この夢を叶えるためには、物事を多角的に見る力や思考力・熟考力が必要です。
私は中高一貫の全寮制の学校に通っているため、自分とは異なる考え方を持つ人とたくさん考えたり、ときには衝突したりしてこのような力を身につけてきました。そして今回、自分が持つ力をさらにレベルアップさせたり磨いたりするため、「# せかい部×SDGs 探究プロジェクト」に参加しました。

<SDGsとは>
 国際連合が定めた2015年から2030年までに世界のあらゆる人々が幸せな生活を送れるようにする持続可能な開発目標のことです。加盟国193ヶ国すべてが「誰一人取り残さない」という趣旨のもと採択しました。

<SDGs達成に向け大切なこと>
 世代間公正、世代内公正、種の間の公正など、すべての人や動物が公正であったり、ジェンダー主流化にもなってくるため、多種多様な人と理解しあえる力も必要になったりします。そのため、自分の暮らし方の意思決定やひとりひとりの政策決定などがSDGsを解決する鍵になります。

そして、キックオフミーティングを経て、本格的に「貧困をなくそう」についての学びがスタートしました。

<日本の子どもの貧困とは>
 日本での子どもの貧困率は13.5パーセントで、7人に1人の割合です。
「絶対的貧困」と「相対的貧困」というものがあります。絶対的貧困は、1日約200円以下で生活している人々の貧困形態のことです。その一方、相対的貧困とはある地域の所得の50パーセント未満の所得の人々のことです。日本での相対的貧困は7人に1人の割合です。
また、1人親家庭の48.1パーセントが貧困で、その子どもが相対的貧困になっていることが多いことや母子家庭が多く占めていることも課題です。
子どもの貧困をこのまま放置してしまうと教育を十分に受けることができずに大人になってしまい、貧困の連鎖がおこってしまうだけでなく、雇用状態が安定しないので将来の国の財政にも影響を及ぼしてしまいます。

<政府の取り組み>
 そこで日本政府は「子供の未来応援国民運動」というものを実施しています。家庭を支援、就労支援、経済的支援のために子供の貧困対策に協力・寄付したい団体と受け取りたい団体をマッチングさせ、子供食堂の食材や服、文具などを提供する活動のことです。企業も参加し顧客や消費者も巻き込むことで、支援の輪を広げています。また、個人レベルでの参加によりつながりを構築することができます。

<民間団体の取り組み>  NPO法人 キッズドア
NPO法人キッズドアとは、貧困世帯の子どもたちを中心に学習支援や体験活動、居場所提供などを行っている団体です。子どもたちに寄り添い、指導ではなく誘導をしながら一緒に勉強することで、学習環境の獲得や相談できる相手づくり、人生相談などで将来の夢づくりをしたり、抱いた夢の可能性を広げたりすることができます。
 新型コロナウイルスの影響でダメージを受け高校に進学できない子どもを助けるために、受験勉強サポート進学金を開始し、学び続けるために多くの貧困世帯が利用しています。

<教育先進国 フィンランドの取り組み>
○フィンランドとは
現職の首相が34歳のサンナ・マリンさんでレインボーファミリー(LGBTQAIの家庭)出身です。政権での女性比率が58パーセントで、女性も男性も対等に活躍している社会といえます。また、高税ですがその分国民に返す高福祉国家で、教育や福祉がとても充実しています。ちなみに、世界の幸福度ランキング1位を獲得しています。特別支援教育にも力を注いでおり、ジェンダー平等だけでなく、教育の面でも先進国です。その一方で所得格差、移民難民問題、家庭内教育問題などという貧困問題が存在します。

○フィンランドの取り組み
フィンランドでは、社会の要は教育と考え、小さいときからどの子供に対しても教育の機会を提供しており、大学院まで無償で受けることがでます。学校では話し合いながら考えるワークショップ型の授業が盛んで生徒は受け身ではなく、積極的に自分で考えたりほかの人と対話したりしながら勉強しています。また、教師が社会の一員としてサポートすることで子どもたちの学びたい欲や主体性を磨いています。このような教育を通して、主体的に学ぶ人材を育て、就労機会の向上を目指し、経済的・社会的に自立した国民への成長を図っています。

<発展途上国 タンザニアでの取り組み>一般社団法人 キリマンジャロの会
○タンザニアとは
 いまだ、学歴社会の風潮が根強く残っており、収入が高く良い職に就けるのはレベルの高い教育を受けた富裕層です。その一方、低収入で就職が制限されてしまうのは教育を受けられなかったり、質の悪い教育を受けてきたりした貧困層になります。つまり、富裕層は富裕の連鎖が、貧困層は貧困の連鎖がおき、格差が起きているという現状があります。

また、家事や畑仕事のために適切な教育機会が与えられない女子が多く、親は息子には学校に行かせ、娘には家で労働をさせたり早く結婚させたりするなど理解を示していないことが多いです。仮に学校に行けたとしても多数を占める男子生徒から身体的暴力や性的暴力を受け、学校を辞めざるを得ない状況があります。

教育制度やジェンダー平等の習慣・仕組みが整っていないため、貧困が拡大しています。

○タンザニアでの取り組み
  一般社団法人キリマンジャロの会は、女子に安全な環境で教育を提供したいという思いから、外務省、JICA、民間企業の出資も受けて「さくら女子中学」という女子のための学校を運営しています。

普通の公立校がただ授業を聞くだけの授業なのに対し、さくら女子中学ではディベートやディスカッション、スピーチなどの対話を行う授業を展開しています。また、そのほかにもパソコンなどのICT環境の整備、理科の実験の充実、実際にサファリに行き動物や自然を観察する校外学習、日本の文化体験、スポーツ活動、日本から講師をお招きしてジェンダーを学ぶ機会の提供などを行い、全人教育を充実させています。さらに、教師への研修を頻繁に行い、教育の仕組みや目的、目標について理解してもらっています。

生徒は、医師、子供や女性たちの権利を守る仕事に就く夢を熱く語ってくれました。

<まとめ>

 日本における子供の貧困は、ひとり親家庭の子どもや母子家庭の子どもが多く占めています。この問題を放置してしまうと将来の国の財政にも影響を及ぼしてしまうという現実があります。
 日本政府の取り組みは子どもの貧困対策として「子供の未来応援国民運動」を実施し、子ども食堂の食材や服、文具などを提供しています。
 教育先進国のフィンランドでは高税ですがその分、小さい時から教育を誰でも受けることのできるチャンスがあり、主体的に学べるシステムがあります。
 発展途上国のタンザニアをはじめ、その他の途上国では、子どもは労働力とみなされ、教育を受けることのできないことが多いです。また、18歳以下の女性に対し暴力や性的暴力が起っていて、安全に学べる環境ではありません。
 
 私の将来の夢は「国際社会で子どもたちに学習支援だけでなく、進路支援やキャリア支援ができる人になる」ということです。ですが、今回様々な視点から「貧困」を見ていくと、日本の子どもたちの貧困を解決したいと思うようになりました。
 今の日本社会の風潮は、子どもの貧困に対して、どこか無関心・無認識・無知識だったり、目先の利益や金銭的なものに固執しすぎたりして、貧困世帯の子どもたちを心から救ってあげようという思いが薄いように感じます。また、新型コロナウイルスの影響で人々に余裕が生まれず、公的資金の奪い合いのようになり、本当に困っている子どもたちの存在が埋もれてしまっているようにも感じます。
そんな社会の風潮を少しでも改善するため、日頃私ができることは、「子どもの貧困」について学び、考えたことを伝えていくことだと思いました。私が感じた社会の風潮は現実を知らないがために、起こってしまうことだと感じたからです。また、自分ひとりの考えだけでなく、友人や先生たちと深く話し合ったことも積極的に今後伝えていきたいと思います。

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五ヶ瀬中等教育学校(宮崎)田中凜香 
# せかい部×SDGs 探究PJ 高校生レポーター( 貧困をなくそう )


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