ジェンダー平等って誰のもの? by 日永 侑利 / 長久手高校(愛知)#ジェンダー平等を実現しよう

・ジェンダー平等は女性だけのものではない

日本においてのジェンダー平等というと「女性」が主語になるイメージが強いと考えられています。そこで、他の性別の人の協力がいかに不可欠であるということについて考察していきます。


・日本の現状

はじめに日本のジェンダー平等について現状について考えていきます。下のグラフは日本のSDGs達成目標の達成率を可視化したものです。このグラフからわかるように、「ジェンダー平等を実現しよう」だけ目標に程遠いです。 

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・世界から見た日本

この状況は世界的に見ても非常に深刻です。内閣府男女共同参画局
暴力対策推進室長の吉田真晃さんによると、日本のジェンダーギャップ指数は153か国中121位でした。また、衆議院における女性の参加率は9.9%で190か国中167位という結果だったそうです。この結果から、女性の政治・経済参画がジェンダー平等の足枷になっていると考えられます。

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・身の回りのジェンダー不平等
私は上記の結果から自分の身の回りでもジェンダー平等が実現されていないと推測し、10代から50代の30人を対象にアンケートを行い、「今までに身の回りでジェンダー平等ではないと感じたことはありますか。」という問いに回答をしてもらいました。すると、83.3%の人が身の回りでジェンダー平等ではないと感じたことがあると回答しました。そして、具体的にどんな場面でそう感じるのかという質問についての回答には


「将来政治家になりたいと思ったが、なっている人があまりにも少ないため。」

「政界における女性の少なさを筆頭とした、女性活躍の場の少ないから。」

「男女間の所得や待遇の差を感じるから。」


といった回答が世代・性別問わずありました。このことから長年男性が中心に社会が進んでいった結果、私たちの世代までその慣習が引き継がれてしまっているとかんがえられます。


・女性の経済参画

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2つのグラフから、家事・育児の負担が女性に偏っているため、女性の就業継続率が低いと考えられます。なぜ日本は家事・育児関連時間が男女で約6倍も差があり、就業継続率が低いのでしょうか。


・一人では子育てはできない

男性の家事・育児関連時間が低い原因は2つ考えられます。

1つ目は男性の育児休暇の取得率が低いことに関係あると推測できます。厚生労働省によると平成30年度時点で女性が約80%に対し、男性は約6%で10倍以上の差があります。また、2週間以上育児休暇を取得している割合は30%にとどまったままです。そのため厚生労働省は様々な政策をここ数年間行っています。パパ休暇やパパ育休プラスなど男性の育児休暇を推奨するものや、イクメン推進企業を支援し、好事例等を周知・広報するプロジェクトなどがあります。しかし、大きな結果は出ていません。

2つ目は「男性は仕事、女性は家事」というステレオタイプの押し付けがまだ存在しているということでしょう。私がとったアンケートの中に

「家事、育児の分担がいまだに女性中心で考えられていることが多いと感じる。」

「男性で育児休暇や時短勤務を希望することが奇異にみられる。」

といった意見があり、社会に育児に対してのアンコンシャスバイアス根強く残っていることがわかります。


・女性の政治参画

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このグラフから日本の女性の政治参画が進んでいないことがわかります。ニュージーランド大使館エデュケーション・ニュージーランド駐日代表の北岡美佐子さんによると現在のニュージーランドの女性の議員は50%近く議席を占めているそうです。また、三権の長(首相・総督・主席判事)はすべて女性が務めています。


・過去からひも解く女性の政治参画

女性の政治参画が進まない大きな原因に「政治は男のものだ」というアンコンシャスバイアスが有権者を中心にあるということだと推測します。
現在女性の政治参画が盛んなニュージーランドも以前は「政治は男のものだ」という考えがありました。約120年前ケイトシェパードという女性が立ち上がり女性の参政権を1893年に世界で初めて獲得しました。権利獲得のために集めた署名の人数は3万2000人で、当時のニュージーランドの人口の5%にあたります。これほどの署名を集めるには女性だけでなく男性の協力があったからだといわれています。


・ジェンダー平等を目指すために
以上の日本の女性の経済・政治参画が進まないことから、ジェンダー平等は女性だけのものであるというアンコンシャスバイアスやステレオタイプの押し付けを少しでもなくす必要があると考えました。例えば

「育休は男性が取得するものではない。」

「女だから力仕事をしなくていい。」

一般的に、このような発言や考えがアンコンシャスバイアスだといわれています。しかし、このような発言をしたとしても誰も声をあげません。なぜなら、社会全体の価値観や思考は長い間時間をかけて形成されたもので、一朝一夕で変えることはできません。しかし、私たち高校生は違います。私たちの年齢は、今まで培ってきた価値観をもとに社会に適応していく時期と言われています。なので、少しでも違和感を覚えたときに、自分の意見を様々な人に共有したり、吸収したりすることで価値観を刷新することができます。さまざまな性別や年齢の人と意見を交わすという小さな積み重ねが、やがて社会の風潮を改善することにつながります。私たちの手で社会を変えていきましょう。
引用資料:1枚目 国立女性教育会館(NWEC)情報課専門職員(併)研究国際室専門職員 佐野敦子さん
2~5枚目 内閣府男女共同参画局暴力対策推進室長 吉田真晃さん


長久手高校(愛知) 日永 侑利
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(ジェンダー平等を実現しよう)


#せかい部 #ジェンダー平等を実現しよう #アンコンシャスバイアス #ステレオタイプ

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