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一からわかる福島原発事故 第1回 13mの津波が襲った福島原発 全電源が喪失

東日本大震災から今年で11年震災の風化が懸念されています。
東日本大震災を、過去のことのようにメディアは扱いますが、現在進行中の問題もあります。それは福島原発の廃炉についてです。
現在でも福島県の一部地域は帰宅困難区に指定されています。1000年以上放射線を出し続けると言われている、核燃料デブリ

福島原発について、3回にわけて解説を行います。

第1回 15mの津波が襲った福島原発 全電源が喪失
第2回 爆発で屋根が消えた福島原発 放射能が放出された
第3回 元に戻るのは千年後 燃料デブリの廃炉に向けて

第1回の今日は「15mの津波が襲った福島原発 全電源が喪失」です。

①原子力発電の仕組み

原子力発電は高温になった燃料集合体(放射性物質)により、水が蒸発し、蒸気がタービンを回すことで発電を行います。
蒸気は海水によって冷やされ、再び水となり、原子炉に戻ります。燃料棒に触れた水と海水は直接触れません
燃料棒から放出される放射線が隣の燃料棒の原子とぶつかり、核分裂反応を起こします。そして、燃料棒が徐々に高温になっていきます

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次に、地震発生時の対応を説明します。
まず地震が発生すると、燃料棒と燃料棒の間に、制御棒を差し込みます。この制御棒は放射線を吸収する働きがあります。この制御棒を差し込むと、核分裂反応のスピードを緩やかにし、燃料棒が高温になりにくくなります。次に、大量の水を圧力容器にいれます。いくら制御棒があるからとはいえ、完全に分裂反応を停止することはできません。そのため、時間がたつと燃料棒が再び高温になってしまいます。大量の水をいれることで、燃料棒が高温になり、燃料棒自身が溶けてしまうことを防ぐことができます。

②東日本大震災発生時

2011年3月11日当時は、1号機~3号機までが稼働していました。
14:46に巨大な地震が発生しました。巨大な揺れが原発を襲う中で、制御棒を挿入に成功。その直後、全電源が喪失したため、非常用の発電機を起動しました。ここまで成功したら、通常だったら、何の問題もありません。完璧な対応でした。
15:00頃、1号機2号機の原子炉の冷却が開始原子炉の温度は安定しました。当時の原子炉は200度以下まで下がっていました。
ここまでの緊急時の対応は完璧だったと言えます。

③想定の2倍 巨大津波

福島原発は海沿いにあるため、もちろん津波の対策もしていました
防波堤を設置したうえで、最大6.1mの津波を想定していました。ところが、福島原発に襲った津波の高さはその2倍以上の13mでした。
非常用ディーゼル発電機は、地震や竜巻などが発生しても壊れないように、地下にありました。発電機は2つありましたが、その2つとも地下にありました。もし、片方を高いところに設置しておけば、津波による浸水は免れました。

津波によりタービン建屋は浸水、発電機が浸水したことで、原発の電源が喪失
資料によると15:41に原発の全交流電源が喪失しました。
NHKのサイトにはこのように書かれています。

何重もの防護システムで守られ、過酷事故は起きないと国と原子力関係者が言い続けてきた、日本の原子力発電所の”安全神話”はもろくも崩れた  NHKのサイトより

当時の関係者は、まさか電源が喪失するとは考えていませんでした。そのため、マニュアルに対応法は書かれておらず、上層部も対応方法がわかりませんでした

これは、地震発生から1時間の出来事でした

明日は、その後の原発爆発について解説をします。

全ての漢字にフリガナを付けている記事もあります。
一からわかる福島原発事故 第1回 13mの津波が襲った福島原発 全電源が喪失 全漢字フリガナ付き


写真の引用 中国電力ホームページ
参考サイト 東京電力ホームページ NHKホームページ

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