一からわかる中国と台湾
今月上旬、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問しました。中国はこれに対して猛反発。中国周辺で軍需演習を行い、台湾を威嚇しました。
そもそも、なぜ台湾と中国の関係は悪いのか。なぜここまで中国は反発をしたのかなどを解説します
1 もとは台湾が中国
まず現在の政権を見てみましょう。
中国本土・・・中国共産党の一党支配
台湾半島・・・民進党や中国国民党などの多党政治
実はもともとは中国共産党が台湾半島で、中国本土を支配していたのは国民党だったのです。
1911年当時、中国本土を支配していたのは清王朝でした。しかし列強による植民地支配をうける政府に対する怒りなどから孫文を中心とした革命軍が、武漢で辛亥革命を起こしました。
これにより清は滅び、新しく中華民国という共和党の国家が誕生しました。孫文といえば「革命いまだ成らず」という言葉が有名ですね。
孫文は死去し、後を継いだのは蒋介石でした。そのころ中国ではソビエトから輸入された社会主義という考え方のもの中国共産党が結党されました。
ところが中国国民党との仲は悪く、中国国民党は中国共産党の党員を弾圧し始めます。その一部が台湾半島などへも非難していたのです。
中国共産党は都市部から追いやられ西の農村地帯への影響力拡大をします。
ちなみに、当時の毛沢東は農民の意見をよく聞いていたそうです。
当時の中国国民の大多数をしめる農民からの支持を得た中国共産党は、徐々に影響力を高めていきます。
影響力を奪われた中国国民党は台湾半島に移動しました。
そして1949年10月1日、中国共産党の毛沢東は天安門で中華人民共和国の建国を宣言したのです。
そのため今でも中国国民党などの人たちが暮らす台湾と、中国共産党の人たちが暮らす中国本土では対立が起きているのです。
2 メンツをつぶされた⁉習近平国家主席
実は習近平氏は
Ⅰ中国共産党中央委員会総書記(党のトップ)
Ⅱ中国中央軍事委員会主席(軍のトップ)
Ⅲ国家主席(国のトップ)
という3つの役所についてりるので、習近平氏を正式に呼ぶと、「習近平中国共産党中央委員会総書記中華人民共和国中央軍事委員会主席ちゅか人民共和国出席」となります。ただこれでは長すぎるので、一般的にメディアで使用されている「習近平国家主席(習主席)」とここでは書きます。
では習主席はなぜ、ここまで激怒をしているのでしょうか。毎年中国では北戴河会議というものが行われています。これは習主席と現役を引退した長老らによる話し合いです。
そして今回の話し合いは異例の国家主席3期目を目指す習主席にとっては非常に重要なのです。国家主席は全国人民代表体格(全人代)という日本でいうところの国会が開催され、そこで選出されます。
もともとは2期10年で、2013年就任した習主席は来春には引退の予定でしたが、憲法を改正し国家主席の期限をなくしたのです。
これは習主席が3期目を狙っているからです。
現在、ほぼ確実に習主席が続投すると思われますが、国家主席候補は実際にいるので、習主席が国家主席にならない可能性もあります。習主席は影響力を持つ長老らとの話し合いで自信の影響力拡大を図る狙いがあります。
影響力を高めるために習主席は色々なことをしてきました。例えばゼロコロナ政策。各国がウィズコロナに切り替える中で中国だけはコロナを完全に撲滅させるという政策を続けています。
これは習主席がゼロコロナ政策を意地でも成功させ、自信の功績にするためです。
2020年コロナウイルスの感染拡大で東京五輪が一年延期になりました。2021年夏も感染が再び拡大し、もう一年延期になるのではと言われていましたが、中国の習主席は日本の五輪開催を応援していたのです。
もし2021年の東京五輪も延期になれば2022年の北京五輪開催も危うくなります。秋に全人代を控える習主席にとって北京五輪開催は大きな功績となります。絶対に北京五輪を開催するためにも、2021年の東京五輪開催は必須だったのです。
そんな時期に、ペロシ下院議長が台湾を訪問しました。これは中国も台湾も同じ国であるという一つの中国という共産党の考え方に反してしまいます。
なので習主席はペロシ氏の訪問を阻止するために軍用機で撃ち落とすかもしれない挑発をかけたのです。しかしそれは失敗しました。
このまま何もしなければ、中国政府はアメリカに屈したことになってしまうと習主席は考えたのでしょう。
対抗策として台湾周辺で軍事演習を行った上に、ペロシ氏に制裁を課したのです。
これはポストペロシを防ぐ目的があります。
※ポストペロシとはペロシ氏のように台湾を訪問する政治家のことです。
どちらにせよ今回のことで米中関係は悪化しました。ですが今回のことがなくても米中関係は悪化していたと思いますし、もしペロシ氏が訪問しなかったらより台湾の中国化を進めることになっていたと思います。
次回は台湾侵攻について書く予定です。
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