見出し画像

2022年仕事納め

弊社、せいざん株式会社も今日で2022年の仕事納め。
(代表だけ明日まで寺院のお手伝いのため出社してくださり、感謝)

2011年に新卒で入社した古巣のアクトインディ株式会社から2017年にシニアマーケティング事業部を事業譲受し、役員に就任して今年で5年。

通期黒字で年を越せることに、メンバーとメンバーの家族、取引先、お客様に感謝。

せいざん株式会社はアクトインディ株式会社の創業時に最初に立ち上げられた事業部である、シニアマーケティング事業部を事業譲受し、メンバーが移籍して運営。

アクトインディ時代から弊社メンバーに共通している「先達に感謝し、次世代にとって価値ある事業を運営する」という信念を大切に、メンバーみんなで考えた理念が「敬う心をひろげ、次世代につなぐ」。

私達が次世代に残したい価値とは?

結局は社会は「人」で良くも悪くもなる。人の心のありようが幸福度が高く、他者に感謝し、人や環境から奪うのではなく、与えることができる人が多い社会のほうが社会の幸せの総量が高い。

他方、人といても感じる「孤独」は人の心を蝕む。

これだけ個人化して選択の自由が与えられた恵まれた国で、政府が今年初めて行った「孤独・孤立の実態調査」では日本人の約40%、3人に1人が「孤独」であることがわかった。

孤独担当大臣が新設されたイギリスの20%に比べるとおよそ倍。今後この調査が定期的に行われた場合、より「孤独」を感じる人の割合が増えると予測されている。

生きてるだけでは満足感が得られない現代におけるある意味心の病、「孤独」。

「孤独」は物理的に孤立しているだけで本人が生きやすいなら何も問題ないが、付き合い方を気をつけないと「妬み嫉み」「疑心暗鬼」「理由のない不安」など、心をマイナスの感情が支配して人を生きにくくする。

現代は、他者との比較や他者からの評価軸で成り立っている学校や会社、SNSが社会の多くを構成していて、他者と自分を比較しやすい。

更に、個人化したが故に選択したことへの自己責任風潮が横たわっている歪さがある。

この社会構造が、ますます孤独に拍車をかけ、生きにくさを増長する。

生きにくくなった人は「ありがとう、ごめんなさい、おかげさま、おたがいさま」といった価値観よりも「あたりまえ、人のせい、自分さえよければ、自分のおかげ」といった価値観に思考が侵されていく状態に陥りやすく、自分や他者を慈しんだり、愛することができにくいのでは?私は考えている。

そうなると、私達が目指す幸せの総量が多い社会から程遠くなってしまう。

では孤独はどうすれば解消されるのか。

私の仮説では、「生かされている」と思える体験が必要だと考えている。

私たちは生きてるという事実だけでは感謝しにくいほど、歪な社会に生きている。

ウクライナを筆頭に戦争や内紛や差別に虐殺、餓死といった理不尽に命や尊厳を奪われる社会が世界にはたくさんあるのは知っていても多くの人にとってリアリティがない。

生きてるだけでありがたいのだと言われても、頭で理解していても心でそう思えないのだから、孤独を感じる人は増えている。

自分が自分であるだけでいい、生きてるだけでありがたいと思いにくい社会構造が故に孤独が生まれている中で、「生きてるのではなく、生かされている」と思える機会を1人1人がどうやって体験するのか。

その1つの可能性が弔いの体験だと思う。

葬儀・お墓参りを始めとした供養の際に、祖先(先祖に限らず、人類の先達、お世話になった人、愛した人など)が生きた結果に自分の命があって、なにか1つでも違っていたら自分は生まれていないし、生きてこれなかった。

「あなたがいるから私がいる」。

そう思える機会があると人が頭ではなく心で「生かされている」と感じる場面を供養の現場で、私は幾度も見てきた。

「生きてる」のではなく、「生かされている」と心から思えると価値観に変化が現れる。

「ありがとう、ごめんなさい、おかげさま、おたがいさま」の心、つまり「敬う心」が生まれ、謙虚さや慈しみの心を持つことができる。

「敬う心」が私達が考える「次世代に残したい価値」だ。

日本社会が形を変えながらも連綿と大切に続けてきた弔いの機会を現代の人の心に向き合った形で体験する人が増えることを願って、日本中の寺院支援を行っている。

簡単ではないと分かっていても、絶対に自分たちが必要と思えることに出会ったことは幸運なことだと私は思っている。

ずるをせず、成果を急がず、誠実に。

心あるお寺に出会って、共感していただける寺院支援を精一杯行うことで、愚直に事業を進めた先に何年かかっても自分たちが信じる社会になっていくことを祈って運営してきたし、これからもそうでありたいと思っている。

もちろん綺麗事だけでは通用しない。

現に、2020年にコロナ禍へ突入し、気がつけば経営をさせていただいてる年月の半分以上が社会が緊急事態だったここ数年は本当に厳しかった。

経営者として黒字は絶対。万が一、赤字だったとしても戦略的赤字であるべき。と思って役員として会社を任せていただいてきて、コロナ禍で予定していたシニア支援の新規事業は断念せざるを得ず、人の動きも経済も抑制されて、既存事業も先が見えない状態が続いた。

後悔しても自分を責めても全ては結果が伴わなければすべて言い訳。絶対になんとしてでもこのメンバーでこの会社を続けて社会に「敬う心」をひろげてみせる。

その一心で、以前から開発機会を伺っていた「クラウド管理寺務台帳」の事業企画を立ち上げ、役員と会社メンバーにプレゼンさせてもらって、事業開発の合意を得て、企画立ち上げからおよそ5ヶ月で弊社の敏腕エンジニアのおかげでプロトタイプが完成。

開発過程では、応援してくださる寺院が意見や資料提供、モニター寺院を請け負ってくださり、本当にありがたかった。

そこから正式サービス提供開始後も寺院のみなさまと意見交換を重ねて、100以上の機能改善・追加を行い、今も常によりよくするために進化し続けている。

おかげさまで今年はほぼ毎月お寺さまからお問い合わせがあり、「クラウド管理寺務台帳」の価値を感じてくださった僧侶や寺族、時には檀家総代さんが導入を希望してくださった。

「いろんな檀信徒管理サービスがあるけどせいざんさんのサービスが1番お寺のことを考えてくれていてよかった」
「これからのお寺に絶対に必要。もっと多くのお寺に知ってもらうべき」
など、励ましの声もたくさんいただけた。

サービス提供者と利用者の垣根を超えた関係性で寺院を通して檀信徒・地域のためになにができるのか?を僧侶や寺族のみなさまと議論できる機会も多くあり、嬉しいことこのうえない。

寺院は「孤独」対策と向き合ううえで、可能性の塊であり、まだまだできることがあると私たちは確信している。そこに共感してくださるお寺から寺院運営について相談いただく機会も提供できることや場も増えてとてもやりがいを感じている。

今後も心あるお寺と出会い、心ある供養関連事業者のみなさんと共にこの輪を広げていきたい。

コロナ禍に突入してすぐ、本当に会社が潰れるんじゃないか?という場面があって当時はこんなにはっきりビジョンをもって未来を語れる日が来るとは想像できなかった。

でも、会社存続を望んでくれた会社のメンバーと支えてくださっているみなさま、既存事業を支えてくださった取引先のおかげでなんとか乗り越え、コロナ禍でも昨年は無事に黒字着地。

未曾有の事態の中、次世代に価値を残すためにふんばって、誠実に自分の仕事をしてくれたメンバーに本当に感謝。

そして、私に人間としての正しさ、仕事のあり方を教えてくださり、2003年の事業創設から理念をど真ん中において、楽な道を決して選ばず、常に価値あることを目指して事業を繋いできてくださったアクトインディ時代からの諸先輩たち、応援してくださってきた取引先のみなさまに心からの感謝を。

来年も約20年に渡って繋いでくださったもの、託されたものを愛でもって大切に育み、先達に恥じない仕事をしたい。

大きくなることを目指すのではなく、確実な価値を提供する事業を磨き、混迷している供養界隈の蟻の一穴になれるような会社にしていきたい。

そのためにも自分自身の足らずを認識しつつ、得意とするところを磨いてメンバーとその家族、取引先のお寺さまや事業者さまに1つでも多くの幸を提供できる人であれるよう着実な1歩を進めて精進するのみ。

2022年12月28日
せいざん株式会社
池邊文香







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?