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Artizon Museum 「空間と作品」展

久しぶりにブリヂストンの美術館Artizon Museumに行ってきました。現在、開催中の企画展は、所蔵する作品を、美術館に展示される以前にあった元の状態、つまり個人の邸宅などに飾ってあったであろう状況を想像し、その場を再現するという面白い試みです。アーティゾン美術館になる前のブリヂストン美術館の時代から、印象派など西洋絵画の一級品が気軽に見られる場所として、昔からとても人気の高い場所でしたが、この企画展で展示された作品の中で、私がとても驚いたのが、日本の優れた作品が数多くあるということでした。普段は西洋絵画がメインのためか、日本画の優れた作品はほとんど展示されてこなかったと思います。インバウンドの来場者向けにも、日本の優れた美術品をどんどん展示して欲しいなと思いました。そして展覧会タイトルの副題、「作品が見てきた景色を探る」という表現はなかなか良いと思いました。品川にあった原美術館が閉館していらい、都内で私の心の拠り所になるような本当に楽しめる美術館がなくなって寂しい状況がまだ続いていますが、少しずつアーティゾン美術館がそんな気分を変えてくれるような気がしてきました。

この手前の椅子に座って鑑賞することができる。テーブルの向こう側に行こうとすると監視員に止められた。作品の手前によくあるような白線を引かずに、リビングの雰囲気を壊さないように意図されているのだろうが、ただ私のように作品を見たいので、知らずに前に行こうとすると監視員に静止されるのはどうなんでしょうか。
三岸節子(左)の額縁が作品と合っていない気がする。山口長男(右)はサイズは小さいがとても良い。手前に置かれた家具と合っている。
一見、大手家具販売店のような感じもする。
佐伯祐三の作品が、スタイリッシュな空間で大人しくなっている。
壁にある小品はセザンヌだ。
イランの19世紀の陶板(左)とドローネー(右)が掛っている。作品前のおしゃれな椅子などの 説明書きは一切ない。なぜ? 結構、高価そうなヴィンテージ家具のような気がするが。
畳敷きにしている空間で、中に入って座ることができる。しかし右側からの光が強すぎだ。こんな明るい場所で襖絵を見ることはないだろうに。右側の光源パネルは、実はアート作品なのか??
円山応挙18世紀の襖絵。ここでも作品に近づこうとすると、監視員の鋭い目が光り、臨戦態勢になった。そういえば今回の監視員は全員男性だった。もっと 近づきすぎるとブザーが鳴るそうだ。
ここからは美術館のガラスケースの展示になる。なんとも優雅な軸装だ。軸装もアートだ。
豊臣秀吉の書だそうだ。安土桃山時代16世紀。ホンモノか?鑑定は誰がしたのか気になる。
この軸も品がある。教科書によく載ってる場面。鳥獣戯画。平安時代12世紀の紙に墨の傑作。
中国の元時代、因陀羅の作品。なんと国宝です。風格が違う。福岡の黒田家に伝わった作品。
横山大観1930年作。石橋正二郎が大観に発注。大観がブリヂストン美術館にあったとは驚きだ。
岸田劉生「麗子像」1922年作。 いつ見みても額縁の外に出てきそうで怖い。霊的なものが…。
今回の企画展は、作品を展示する壁がとてもよく考えて設置されていた。
美術館が誇るピカソ1923年作。ブリヂストンが購入したのは1980年。その間、この絵の所有者は転々とした。この絵は、世界的に著名なピアニストのホロヴィッツが所有していた。優雅だ。
ブリヂストンは免震技術ではトップメーカー。もちろん美術館の床下にこの免震ゴム装置がある。
この建築は数々の建築賞や空間デザイン賞を受賞している。設計:日建設計
美術デザイン:TONERICO 施工:戸田建設 竣工:2019年

「空間と作品」作品が見てきた景色をさぐる
2024年7月27日~10月14日 ARTIZON MUSEUM https://www.artizon.museum/


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