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チームで目標を達成するアベンジャーズ

 マネージャーは、チームの目標達成を自分ごと化し、高い視座からメンバー全員のWill Can Mustと向き合う存在です。今回は、そんなマネージャーの役割について、チーム目標達成のためにメンバーと向き合う具体的な方法を考えてみたいと思います。


定量的なポートフォリオマネジメント

 例えば、3人のメンバーで月間3,000万円の売上目標を持つチームがあるとします。このとき個人の売上目標はどのように設定されるのが適切でしょうか?単純にチーム目標3,000万を3人で割って、一人1,000万の目標というのがわかりやすいし、何より平等に感じますよね。

 しかし、前月実績が3人それぞれ1,000万(Aさん)・900万(Bさん)・600万(Cさん)だったとしたらどうでしょう?3人はどのように仕事を頑張ると思いますか?

 Aさんは前月同等水準なので、問題ないかもしれません。Bさんは前月差100万なので、少し頑張らないといけないですね。しかし、Cさんはどうでしょう?1,000万という目標は前月比1.6倍で、どう考えても難しい水準です。
 もしかしたら目標設定自体を理不尽に感じてるかもしれません。AさんやBさんと比較して大手の顧客を担当していないのかもしれません。そうした中でCさんはなんとしても1,000万の目標を達成しようと頑張るでしょうか?前月よりも数字を伸ばして700万でも十分頑張ったと自分に言い聞かせるかもしれません。そんな中、未達成をとがめられるようなことがあれば、チームにいづらくなることさえあるでしょう。

 このような3人の状況は、果たしてチームとして最大パフォーマンスを発揮している状況だと言えるでしょうか?Aさんは余力を残しているし、Cさんは諦めているかもしれません。

 では、どうするのが最適なのか?3人の置かれている状況はそれぞれ異なりますが、同じ頑張り幅に設定するべきです。例えば、前月実績に対して一律120%ラインを設定して、Aさん1,200万、Bさん980万、Cさん720万という目標にします。
 AさんはCさんよりも500万も多い目標に対して不満を言うかもしれません。そこはもちろん評価で報いるポイントですが、何よりチーム目標達成のために納得してもらうのがマネージャーの仕事です。
 要は、各人のポテンシャルに対して一律の難易度で定量目標を設定し、その目標を納得して、全員が達成に向けて頑張る状況をつくる。これがチームで最大のパフォーマンスを発揮する方法です。


定性的なポートフォリオマネジメント

 今度は別の角度でチームパフォーマンスについて考えてみたいと思います。例えば、大きな売上をつくるAさんタイプが3人いたら、最強チームになるでしょうか?短期的にはそうかもしれません。しかし、Aさんが突進型の営業力が強いタイプだとしたら、市場の変化に気づけないかもしれませんし、負けず嫌いの1番になりたいタイプだと、チーム内が競争環境化してしまい協力関係を引き出せなくなるかもしれません。

 継続的に成果を出し続けるチームは、実行力ある人が活躍する一方で、戦略性を持って中期的観点でものを考える人も必要です。また、組織を支え、仲間の自己重要感を満たす存在がいるとチームのコンディションはとても安定します。
 例えば、AさんのようにチームNo.1の売上を創出し、牽引するタイプは、自身の活躍を他人に認めてもらい、賞賛して欲しかったりするものです。一方で、Cさんの売上はAさんに劣るように見えるかも知れませんが、売上創出以外の業務でもチームを支え、仲間の活躍を心から賞賛しているかもしれません。
 チームマネジメントの観点では、そんなCさんの賞賛をAさんの自己重要感に繋げていくことができます。また、AさんがCさんのサポートに感謝することがCさんの自己重要感にもなります。こうしてチームの関係の質を高めることが、メンバーの主体性を引き出し、活動量へと繋がっていくのです。


目標達成アベンジャーズ

 チームのメンバーはそれぞれに強みを持ち、個性的な存在です。マネージャーは、そんなメンバーひとりひとりとしっかり向き合い、Will Can Mustを考え抜くことで、個別最適な目標を設定し、成長の道筋をつくっていくことができます。そうすることで、メンバーは目標を自分ごと化して、全員が精一杯の努力ができる環境を手にすることができるのです。

 そして、メンバーの異なる個性を、お互いに生かし合う関係へと紡いでいきます。組織で事業を推進していくことは定量的な側面だけではありません。結果を生み出すプロセスに起こる様々な事態をチームで乗り越えていくためには、いろいろな強みが必要であり、人は自分の強みが生かされることで自己重要感を得るものです。そうした状況をお互いに認め合い、関係の質を高めることで、チームの中にひとりひとりの居場所をつくることが重要です。

 それぞれの強みを持ったヒーローが集まって、更に大きな活躍をしていく、そんなアベンジャーズのようなチームを目指していきましょう。


新人マネージャー竜野が思うこと
同じメンバーでもマネジメント次第で異なる成果を生み出せると考えると、チームマネジメントは創造的な仕事なんだと思います。希望を持てる一方で、成果を最大化できるかどうか、マネージャーの力量が試される怖さもあります。

個々人のWill Can Mustと置かれている状況を理解し、チーム内のどんな関わり合いが関係性の質にポジティブに作用するかを正しく見極めることが重要。頭ではわかっていても、体感をもって理解するにはなかなか時間がかかりそうです。

初めのうちはメンバーに負担をかけてしまうかもしれませんが、だからこそマネージャーとメンバーの1対1のコミュニケーションにおいて、メンバーがチームにとって欠かせない存在であることを伝え続けなければならないと思いました。

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