アイデンティティのつくりかた

どんな人も一度は、「アイデンティティ」という言葉を聞いたことがあるのではないだろうか。本当によく聴く言葉だと思う。目でも耳でも。

基本的に、「私らしさ」みたいなニュアンスで使用されることが多いが、その実際の意味と、その作り方を書いておきたいと思う。

◆アイデンティティとはなにか

アイデンティティ(正確にはエゴ・アイデンティティ)とは、臨床心理学者であるE.エリクソンが提唱した概念であり、青年期に達成されるべき大事な要素として自我同一性という日本語が当てられる。これは、素直に直訳すると「自我(主観的な私)が同じなものであるということ」という意味である。(つまりもともとの意味には私らしさ、という意味はない。)

では、「同一である」というのは、どれとどれが同じなのだろうか。

エリクソン曰く、このアイデンティティには、連続性と斉一性という側面があり、連続性というのは、過去と今、そして未来の自分も同じ自分であるという自信。斉一性というのは、自分が思う自己が、社会からも認められているという自信のこととしている。

つまり、過去から現在・未来といった①時間的な同一性(連続性)と、自分の思う自分が他者から見た自分と同じという②社会的な同一性(斉一性)があるということである。

①連続性のアイデンティティ

時間的な連続性のアイデンティティを獲得するには、過去から今までの自分を連続的に語れる必要があるといえるだろう。これはつまり、自分史という形で自分を語ることで見いだされると考えられる。

これに有効な省察の順番としては、①現在②過去③未来がよいだろう。

多くの人は、自分史を作る際、幼いほうから考えていく。しかし、自分についての記憶は、今の自分を形づくっているものベースで思い出されるため、「今私はどんな人か」→「それはどの経験から形づくられたか」→「そんな私は今後どうしていきたいか」という流れで考えるのが最も効率がよい。

②斉一性のアイデンティティ

斉一性のアイデンティティを獲得するには、自己だけではなく他者の存在が必要不可欠である。それは、斉一性のアイデンティティが、社会という他者から見たものを基準とするからである。

この場合、まず2つの自己認識が必要となる。①自分から見た自分②他者から見た自分。この二つをより近いものとしていくことが斉一性のアイデンティティの獲得に重要である。

まず、「①自分はどんな人でありたいのか」→「②自分はどんな人としてみられたいのか」→「③自分はどんな人として見られているのか」といった順番で考えていくのがよい。

この際③の際に、有効なワークとしては「ジョハリの窓」が挙げられる。

◆まとめ

以上2つのアイデンティティ。連続性と斉一性のアイデンティティを獲得することがアイデンティティを獲得するうえでは重要である。

連続性では、自分史を語ることで、現在過去未来を一連に説明すること。斉一性では、自分の在り方と他者から見た自己像を、ジョハリの窓によって近づけることが有効であるといえる。

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