Purified Blueの軌跡を振り返る

水川青天です。
ここでずっと創作活動についての話をしなさすぎて私が創作者であることを忘れられてそうですが、私は本来創作者なのでPurified Blueができるまでのことについてでもお話しようかと思います。

きっかけはbennyさんの提案だった

ある日のこと、創作者仲間であるbennyさんからDMでこんな提案をされます。(筆者要約)

私がボーカルラインを書いて、水川さんが伴奏を書いた曲を作ってみたい。

その提案を受けたのはちょうど12月25日に向けた私の誕生日記念曲の制作が行き詰まっていた頃だったと記憶しています。
この提案のあと、誕生日記念曲は1ヶ月経っても進展がなく。
4月16日の"レイチェル・フィアンクス誕生日記念曲"もあめさんとの合作であったこともあり、私はこの誕生日記念曲をbennyさんとの合作にするプランを発案し、実行に移されることになります。
この時点で黒音子さんが歌パートのCV(通常のCVは七瀬真結さん)を務める"レイチェル版"とbennyさんがボカロで歌わせる"ボカロ版"を作ることは確定していました。

プロトタイプ

まず、私はボーカルラインを考えるうえで最も重要となる伴奏の制作に着手しました。
曲の構想はすでにあり、ピアノとギター、そしてシンセサウンドと4つ打ちが特徴的ないつもの私らしい音楽ゲームのボス曲のような構想です。
しかし、ピアノとギターとドラムを乗せたところで行き詰まってしまい、このままではbennyさんからボーカルラインが届く日が遅れてしまいます。
そこで私はこのピアノとギターとドラムだけ乗せた"プロトタイプ"をbennyさんに送り、ボーカルライン制作と伴奏制作を並行させることにしました。
この行動が後にこの曲の運命を変えることになろうと私は知るよしもありませんでした。

試作品は完成品へと

プロトタイプを渡した後も、私は伴奏を書き続けていました。
ここからさらに音を乗せて磨きをかける。そのつもりで進めました。
そしてある程度形にし、その音源を渡した時にそれは起こりました。
bennyさんが新しい音源を聴いての感想。

トラック数と音数が多すぎてフレーズを考えられない。"プロトタイプ"で制作していかないか。

恐らく当時の私は、この"プロトタイプ"を未完成品であると強く感じており、新しい音源で制作を進めたいと主張したと思います。
実は"プロトタイプ"の時点でbennyさんから"特にピアノの音数が多い"というフィードバックを受けており、新しい音源はそのピアノのフレーズを音数を少なくする方向で変更していました。
しかし、それと引き換えにSuperSawとストリングスを足したため、結果的に"プロトタイプ"より音数が増えたのだと思っています。

"Purified Blue"は2つの道を歩む

その後も議論は続きましたが、結果的に私があるプランを発案し、このプランで進めていくことで決着することになります。

水川が進めた"新音源"を"レイチェル版"、最初にbennyさんに渡した"プロトタイプ"を"ボカロ版"の伴奏として使用する。

このため、"レイチェル版"と"ボカロ版"では同じボーカルラインながら異なる伴奏となっています。

そして完成へと

音源をどうするか決着してからはかなり早かったです。
作詞は上月琴葉さんにアドバイスをもらいつつもスムーズに進み、あとこちらがすべきは黒音子さんにボーカルの依頼、amemiaさんにアートワークの依頼、Emotional Soundsさんにミックス・マスタリングを依頼すること、"vj Blaustein"としてムービーを制作すること、bennyさんに"プロトタイプ"のパラデータを渡すことでした。
プレッシャーを全く感じなかったわけではないのですが、依頼することについては何度も依頼している相手だったので重圧は特にありませんでした。
そして運命の12月25日。"2つのPurified Blue"は世に放たれることとなります。

全てが終わってからの話

楽曲の合作自体はこれで6度目となり、楽曲の合作で私はどう立ち回るか。どの程度曲の中で自分を主張していくか。相手を引き立てるか。ということはある程度わかってきたように思います。
私はCubase Proを使って作曲していますが、基本的にmidiをもらうのではなく相手方の環境で鳴らした音源をもらってそれを私がCubase上にアレンジして打ち込むという手法が主でした。
今回合作したbennyさんもCubaseではないですがDAWを使って作曲しているため、midiファイルをもらって自身のプロジェクトファイルに入れ込む手法を使えています。
本来はそれが通常の楽曲合作なのだと思いますが……
また、bennyさんは"音数を稼ぐ"手法の私と真逆の"音数を削っていく"という手法を使う方で、bennyさん自身はその自身の手法を"絵を描くような、色を作るような手法"と表現していました。
お互いに相手の作曲の手法を知っていたので強く衝突することはなく、むしろ2人のよさを存分に発揮できた作品に仕上がったという自負があります。
私の作曲の手法は"マリオの終盤の面の地形を考えるような作曲手法"と自称していますが、この話はまた別の機会に。
最後に……この楽曲に関わってくださった皆様、この楽曲を聴いてくださった皆様に神の御加護があらんことを。