第5話『見つめる、目』

学園戦記ムリョウ

第五話『見つめる、目』(第一稿)

脚本・佐藤竜雄

登場人物
統原無量(スバル・ムリョウ)
村田 始(ムラタ・ハジメ) ※ナレーション
統原瀬津名(スバル・セツナ)
守山那由多(モリヤマ・ナユタ)

津守八葉(ツモリ・ハチヨウ)
守口京一(モリグチ・キョウイチ)
守機瞬(モリハタ・シュン)
成田ジロウ(ナリタ・ジロウ)
川森アツシ(カワモリ・アツシ)
三上トシオ(ミカミ・トシオ)

真守モモエ(サネモリ・モモエ) ※少女バージョン
山本忠一(ヤマモト・タダカズ)
磯崎公美(イソザキ・ヒロミ)

村田今日子(ムラタ・キョウコ)
村田双葉(ムラタ・フタバ)

ヴェルン星人
ザイグル星人
ソパル星人
ツィフォフ星人
他の宇宙人達
「よっちゃん」店長
放送委員
女子A
女子B
女子C
生徒達

○イメージ
宇宙空間。
星が流れる。
それを背景にハジメとモモエの会話。
モモエ(少女)「はるかはるか大昔の話……銀河連邦の民にとってここ、太陽系は未知の世界でした。各惑星は、新たなる恒星間航路、
スターロードの発見を目指して船を飛ばしたのです。そして地球が確認された……」

手前から奥へと、沢山の宇宙船が飛んでいく。
その先に光る緑の地球——

ハジメ「確認って、コロンブスのアメリカ大陸みたいだな」

真守家のモモエの部屋。
向かい合うハジメとモモエ。モモエは前話ラスト同様に少女の姿。

モモエ(少女)「銀河連邦の取り決めが一つ……未知なる恒星に於いて生命体が確認された場合の観察並びに審査について……」
ハジメ「審査?」
モモエ(少女)「連邦と対等なる外交関係をなし得るに足る、知性並びに精神の成熟度の審査……地球は残念ながら、最初の審査によっ
て未成熟とされました。しかし——」
ハジメ「しかし?しかしどうしたんですか? 母さん、メシ!」

脈絡のない、場違いなフレーズにギョッとするハジメ。

ハジメ「あれ?何でこんな時にこんなセリフが出るんだよ……おかわり!(焦りまくって) あれ?」

二人のいる空間ねじ曲がりグルグルと回り出す。

ハジメ「あれ?あれ?」

○村田家・食堂
朝食。
ボーっとした顔で茶碗を差し出しているハジメ。その周囲には唖然としているフタバとキョウコ。

ハジメ「(寝ぼけ声で)あれ?」

食卓には朝食。目玉焼きに味噌汁。
目の前の目玉焼きを凝視するハジメ。

NR「宇宙を抜けると、そこは…目玉焼きだった——」

○オープニング

○天網市内

(サブタイトル『見つめる、目』)

登校風景。
ハジメとフタバ歩いている。

フタバ「お兄ちゃん、しっかりして。朝ご飯食べながら居眠りなんて信じらんないよ」
ハジメ「ああ、そうだね……ファ~」
フタバ「…お兄ちゃん、最近変だよ。何か隠してるでしょ」
ハジメ「うーん、そうかもな。気にするな」
フタバ「……」

ブスッとするフタバ。
ハジメ、微笑みながら

ハジメ「はは、妹に何でも話す兄貴ってのも気持ち悪いぞ。安心しろよ、大丈夫だから」
フタバ「でもさ……」
ムリョウ「お早う、委員長」

二人の目の前に立っているムリョウ。
フタバ「?! 」
ハジメ「やあ、お早うムリョウ君」

フタバは目をパチクリ。

フタバ「この人?」
ハジメ「ああ、こちら、統原無量君。ウチのクラスの転校生」
フタバ「え?あの家庭の事情で出戻りな人?」
ムリョウ「でもどり?」
ハジメ「違う、それはもう解決したの」
フタバ「だって説明してくんないじゃん」
ハジメ「それはそれとして……どうしたの?こっちまで来るなんて珍しいね」
ムリョウ「いやあ、昨日の今日だろ。どうなったか一応心配でね」
ハジメ「そりゃどうもあり……ファ~」

三人並んで歩いている(フタバ、ハジメ、ムリョウの順)。
初夏の緑が鮮やか。
フタバ、ムリョウを盗み見している。

ハジメ「そういえばセツナさんは?」
ムリョウ「昨日終電で帰ったよ。今日は講義が昼かららしいから」
ハジメ「はー、いいねえ大学生は……」

何気なくフタバの方を見やるハジメ。
フタバ、あわててそっぽ向く。顔赤い。

ハジメ「?」

立ち止まる三人。
キッとムリョウの方を向くフタバ。すかさずムリョウの前に回り込む。

フタバ「すばる…さン!! 」
ムリョウ「はい?」
フタバ「先日はウチの兄がお宅にお邪魔してご迷惑をおかけしたそうで本当に申し訳ありませんでした!」

一気呵成にまくし立てるフタバ。

フタバ「つきましては、如何でしょうか?お返しといっては何なのですが我が家にて!」
ムリョウ「?」
ハジメ「何だよウチで?」

赤面しつつ固い笑顔のフタバ。

フタバ「我が家に遊びに来てください!是非! 絶対!よろしく!」

ちょうど三叉路の一方にフタバの友達が待ち合わせ。

ミカ「ふーちゃーん!」
フタバ「はーーい!」

ペコリとムリョウにお辞儀のフタバ。

フタバ「それでは!」

タタタと駆けていくフタバ。

ムリョウ「……」
ハジメ「あいつ、惚れたな……」
ムリョウ「え?」

○御統中学・二年C組
始業前。
窓際でしゃべっているハジメ達。

アツシ「へー、フタバちゃん、今度はムリョウ君か」
ムリョウ「今度は、って?」
ハジメ「ウチの妹は、年上趣味の気まぐれ惚れっぽしの面食いなんだ。ちなみにムリョウ君の前の被害者は……」

一同、トシオの方を向く。

トシオ「(淡々と)ま、年下は趣味じゃないんでね。丁重にお断りしたよ」
ジロウ「お前の方が振られたんだろ」
トシオ「見解の相違だな」

言葉と裏腹に少し悔しそうなトシオ。

ハジメ「どうする?ムリョウ君。別に無理しなくてもいいんだよ」
ムリョウ「いや、面白そうだからね、行くよ」

ふと、校庭に目をやるムリョウ。
ハードルを並べている女生徒達。
那由多、赤ジャージ姿。
ムリョウと目が合い、プイとそっぽ。
その様子を見ていた一同。

ジロウ、アツシ「おお~~」
ハジメ「モテる男はつらいねえ」
ムリョウ「それはお互い様さ」
ハジメ「?」

○同・全景
始業のチャイム。

○同・二年C組
授業風景。
ウトウトしているハジメ。

○同・校庭
スターティングブロックに足を掛けて
いる女子達。その中には那由多もいる。
ピストルを構える磯崎。

磯崎「レディ!」

腰を上げる那由多達。
きっと前を見据える那由多。
白煙。
ピストルの乾いた音が響く。

○天網市・ザイグル星人のアジト
廃材置き場の片隅に古びたプレハブ。その中でうずくまるようにして通信しているザイグル星人。相変わらずのトレンチコートにサングラス姿。モールス信号よろしく暗号を送っている。そこへ爽やかな声。

ヴェルン星人「なんだいコソコソと……それじゃまるでスパイじゃないか」
ザイグル星人「?! 」

ギョッとして振り向くザイグル星人。
戸口に立っているヴェルン星人。相変わらずのアロハ姿。

ヴェルン星人「よっ、相変わらずせせこましいねえ♪」
ザイグル星人「……」
ヴェルン星人「無愛想なのも相変わらずか。まぁいいや、ちょいとお誘いに来たんだ」
ザイグル星人「オサソイ?」

○御統中学・放送室
京一「じゃんけん——」

ジャンケンをするムリョウと京一。
立会人には八葉と瞬。

ムリョウ、京一「ぽん!! 」

勝利する京一、ニヤッと笑う。

八葉「よし、どっちを取る?」
京一「体育館だ」
八葉「(放送委員に)紅組は体育館。白は大ホールで——」

マイクの前に控える放送委員軽くうなずいてスイッチを入れる。

○同・点景
昼休み。
様々な休息の風景。
そこに校内放送が流れる。

放送委員「午後の、体育祭紅組白組結団式は、紅——体育館、白——大ホールにて行います。五時間目の授業が終わったら、皆速や
かに移動して下さい。繰り返します——」

○同・二年C組
弁当を食べているアツシとトシオ(ハジメの姿はない)。
校内放送を聞きながら

アツシ「おおー、ついにムリョウ団長の初お目見えかァ。盛り上がるなあ」
トシオ「ついこないだ転校してきたのにね。妙に馴染んじゃってるとこがスゴイというか何というか……(モグモグ)」

そこへ調理パンと紙パックドリンクを抱えたジロウ、ヒイコラと入ってくる。

ジロウ「ハァ、お待たせェ!」
アツシ「あれ、ハッちゃんは?」
ジロウ「眠たいから寝て来るってさ」
アツシ「え、どこで?」

顔を見合わせるトシオとアツシ。

○同・屋上
給水タンク付近。
ハジメ、横になっている。
かたわらには調理パンの袋。

ハジメ「……」

足音。ハジメの顔に人の影がかかる。
影、そのまま動かない。

ハジメ「?」

気配を察したハジメ、薄目を開ける。

那由多「……」

のぞき込んでいた那由多。

ハジメ「うわわっ?! 」

あわてて上体を起こすハジメ。

那由多「あ、ごめんなさい」
ハジメ「な、何の用?また、念力かい?」
那由多「違うわよ。様子伺い」
ハジメ「うかがい?ハァ、それは御丁寧に」
那由多「茶化さないでよ。まぁ、そのなあに? ……一応心配だったから」
ハジメ「あ、そう……ありがとう」

那由多、ハジメの隣に腰をおろす。

那由多「……大丈夫?朝、ちょっとつらそうに見えたから……」
ハジメ「まぁね。昨日はおばあちゃんに色々見せられちゃったからね……夜中、眠ろうと目をつぶるたびに宇宙がグルグル回っちゃっ
て大変だったから……寝不足……フワァ」

大あくびのハジメ。那由多、キョトンとそれを見つめる。

那由多「……それだけ?」
ハジメ「それだけとは失礼だな。考えてごらんよ——」

     *   *   *

(イメージ・ハジメの部屋)
ベットの中のハジメ。

ハジメ(声)「サー、今日も一日ご苦労さん、寝るぞーってなときに……」

幸せそうに目をつぶるハジメ。
めまぐるしい星の流れ——
飛び交う宇宙船群——
その果てに見える緑の星——
地球——
ハッと目覚めるハジメ。

     *   *   *

ハジメ「目をつぶるとまぶたの裏には星がビュンビュン、宇宙船がゴーって……あ、宇宙には空気がないから音は聞こえないのか……ま、それはそれとしてだ!」
那由多「……」

キョトンとしてハジメを見る那由多。

ハジメ「目をつぶるとまぶたの裏には星がビュンビュン、宇宙船が……その繰り返しだぜ! まぁ、ようやく眠気が星ビュンビュンに勝ってきたと見えてさ……いまふぁへふくふぇへふくふぇ(今は眠くて眠くて、の意)」

大あくびのハジメ。

ハジメ「ふぁああ~~!! 」
那由多「プッ!」

思わず吹き出す那由多。

ハジメ「?」
那由多「あははははははははははは!! 」

那由多大爆笑。憮然とするハジメ。

ハジメ「ム…なんふぁよほォ」

その声を聞いて更に笑う那由多。

那由多「はははははははははははははは——」

○同・給水タンク下の教室
窓際で談笑中だった女生徒達。

女子A「ねえ、今誰か笑った?」
女子B「見ればわかるでしょ。ないじゃん」
女子A「そりゃそうだ。空耳かぁ」
女子C「何それ、おっかしー」

一同笑い。

○同・屋上
青空。雲が流れる。
沈黙する二人。

那由多「君って意外と凄いんだね」
ハジメ「え?」
那由多「私たちはね、五歳になったらあのおまじないを受けるの。それで選別されるの」
ハジメ「せんべつ?」
那由多「チカラを使える人間、使えない人間」
ハジメ「チカラって、あの念力?」
那由多「あのおまじないを受けたらね、大抵は三日は寝込んじゃうのよ」
ハジメ「なんで?」
那由多「自分の知らないイメージが流れ込ん
でくるのよ……宇宙、銀河連邦、宇宙人……見てはいけないものっていうことは子供でもわかるわ。だって常識外の事だもの。学校
で勉強をすればするほど、頭がいいって言われている人ほどあのおまじないを受けたら大変なことになる、ってお父さんが言ってた……」
ハジメ「まぁ、世間的な常識からするとあまりにも懸け離れてるよね。自我が崩壊したりして……いくら宇宙人が攻めてきてる最近
とはいえねえ……ン?」

しゃべっていて矛盾に気付くハジメ。
コクリと頷く那由多。

那由多「あなたは、何で平気なの?」

真剣にハジメを見つめる那由多。

○同・体育館
ずらりと体育館座りの生徒達。
その前に立つ守口京一。
その両脇には選抜された臨時の応援団。

京一「これより!紅組の結団式を行う!」
一同「押忍!! 」

○同・大ホール
同様に生徒達を前にしたムリョウ。

ムリョウ「白組を結成します!」

○甘味茶屋「こなや」
ヴェルン星人「かんぱーい!! 」

コーラで乾杯するヴェルン星人とザイグル星人。店内には二人きり。
店主は奥座敷で妻とTVを見ている。

ザイグル星人「……」

仏頂面のザイグル星人に構わずはしゃぐヴェルン星人。

ヴェルン星人「いやー、銀河連邦最後の楽園、地球にようこそ!はっはァ」
ザイグル星人「どういうツモリダ?」
ヴェルン星人「歓迎さ」
ザイグル星人「フザケルナ!」

ウィンクするヴェルン星人。

ヴェルン星人「まあカリカリしなさんな。君のために宴会要員を沢山用意してるから」
ザイグル星人「ナニ?」

自動ドアの開く音。

ソパル星人「こんちわーっす!」

勢いよく入ってくるソパル星人。ゴルフシャツにスラックスの出で立ち。元気のいい四十親父といった雰囲気。

ヴェルン星人「遅いよソーさん」
ソパル星人「へへへ、でも遅刻者は俺だけじゃないから勘弁ね」

ひょっこり開いたままの入り口から顔をのぞかせる他の宇宙人達。

宇宙人達「ちわーーっす!! 」
ザイグル星人「コイツラハ?」

ニヤリと笑うヴェルン星人。

ヴェルン星人「僕と同じく、外交官さ。銀河連邦のね」
ザイグル星人「……」

愕然とするザイグル星人。

○御統中学・体育館
檄を飛ばす京一。

京一「行くぞ、紅組!」

○同・大ホール
同様にムリョウ。

ムリョウ「白組ファイト!」
一同「オオーーッ!! 」

○同・職員室
生徒達の盛り上がる声が遠くからも大きく聞こえてくる。
お茶を飲んでいる山本先生、ニヤニヤ。

山本「うんうん、新茶は美味いねえ……」

○アイキャッチ

○村田家・食堂
料理の支度をしているキョウコ。
ひょっこり顔をのぞかせるフタバ。

フタバ「ねえねえ、そろそろだよ!準備できたァ?」

キョウコの脇にやって来るフタバ。

キョウコ「ふーちゃん、あなたがお客さん呼んだんだからお手伝いしてよ」
フタバ「わかってるって。取りあえず宿題を全部済ませといたの!夜は長いから——」
キョウコ「あなた、パパの飲み会じゃないんだから……」
フタバ「ウソウソ。心構えだよ、心構え!」
ハジメ(声)「ただいまーーっ!」
フタバ「あ、来たっ♪」

顔輝かせるフタバ。

○同・玄関
フタバ「お帰りお帰りお帰りーーっ!」

いそいそと駆けてくるフタバ。
玄関先には、ハジメを先頭にムリョウとジロウ、アツシが立っている。

ムリョウ「やあ」
ジロウ、アツシ「ちわーーっす」
ハジメ「何だかなぁ……」
フタバに呆れ気味なハジメ。

○居間
お茶を飲んでる一同。
ムリョウにべったりのフタバ。

フタバ「へえー、ムリョウさんはおじいちゃんっ子だったんですか」
ムリョウ「うん、じいちゃんからは色々教わったよ。勉強も運動も」
フタバ「運動は何をなさるんですか?」
ムリョウ「いやあ、ホントに色々」
フタバ「やだぁ、面白ーーい!」

その横でシラけているハジメ。

ハジメ「何だかなぁ……」
アツシ「まあまあ…」
ジロウ「いいんじゃないの」
NR「いつの間にか眠気も失せ、思いは遙か宇宙の真理..といきたかったのだがそうもいかず……」

ハジメ、カメラ目線でポツリ。

ハジメ「ま、理屈っぽい考え事は僕には似合いません」
フタバ「お兄ちゃん、何やってんの?」
ハジメ「いや、別に」
フタバ「ほらやるよ、対抗戦!」
ハジメ「はいはい」

TVゲームの準備をする一同。
そこへドアホンの音。

キョウコ(声)「はーーい」

玄関へ行くキョウコ。

フタバ「えー、組み合わせを発表します。私
とムリョウさんのペアとォ……」
キョウコ「ハジメぇ」

ひょっこり居間に顔を出すキョウコ。

ハジメ「なあに」
キョウコ「お客さん」
ハジメ「え?」

     *   *   *

人数が増えてにぎやかな居間。
ハジメ、フタバにムリョウ、ジロウ、
アツシに加えてセツナと瞬に那由多。
更にはキョウコもいる。

セツナ「ムリョウの姉のセツナでーーす!」

ニコニコ笑って挨拶するセツナ。その後ろに控える那由多と瞬。

瞬「通りすがりだったけど引っ張られてきた守機瞬でーーす!」
那由多「(気まずそうに)……どうも」

呆然のハジメ。渋い顔のムリョウ。
フタバはムリョウに見とれている。
ジロウ達はセツナに見とれている。

キョウコ「まー、キレイなお姉さんねぇ。後ろの二人も可愛いわァ」

嬉しそうなキョウコ。
サッカー最中をさっと取り出すセツナ。

セツナ「これ、埼玉のおいしいお菓子です」
キョウコ「まぁ、ありがとう」
ムリョウ「姉ちゃん、授業はどうしたんだよ」
セツナ「出たよ。終わったから来たの」
ムリョウ「ったく、足だけは速いんだから……」
キョウコ「まあまあ、お姉さんもムリョウ君を心配してわざわざ来てくれたんだから。ね、みんなで楽しみましょう」
セツナ達「おーー!」

盛り上がっているのはセツナ、瞬、フタバ、ジロウ、アツシ達。ムリョウはゲンナリ。

那由多「……」

すごく気まずそうな那由多。

ハジメ「?」

そんな那由多を見つめるハジメ。

○居酒屋「よっちゃん」
カウンターがメインで奥に小さな座敷が一つあるこじんまりした店。客は座敷の宇宙人達のみ。カウンター裏の台所では、半天を着た店長が黙々と料理を作っている。
大盛り上がりの宇宙人達。

ソパル星人「かんぱーーい!」
ツイフォフ星人「ノリノリだね、ソーさん」
ザイグル星人「……」
ヴェルン星人「いやー、楽しいねえ。どうだい、壮観だろ。君を歓迎するために並み居る連邦の星々の外交官が勢揃いだよ」

どう見ても唯の酔っぱらいな一同。

ザイグル星人「…ドウイウツモリナノダ」
ヴェルン星人「何がだい?」
ザイグル星人「お前に会う前、母国トノ通信デワカッタ…ギンガレンポウナル団体もヴェルン星人ナル他天体生命体もイナイトイウ事ダ!」

○村田家・居間
ゲームの対抗戦をしているハジメ達。
格闘ゲームのペア対抗戦。

※組み合わせ
ムリョウ・フタバ組
ハジメ・那由多組
キョウコ・瞬組
セツナ・ジロウ・アツシ組

半立体に投影されたキャラクターが必殺技を駆使して戦う。コントローラーは四人がそれぞれ持って持ちキャラを自在に操作する。
ムリョウ、フタバ組とキョウコ、瞬組が対戦している。
ムリョウの連続技がヒット。

瞬「あちゃーー」
フタバ「スゴーイ、ムリョウさん!」
キョウコ「そうはイカの——」
セツナ「おおー、ママさんもスゴイ!」

セツナ達も画面を見て声援を送る。
一人呆れて見ているハジメ。

ハジメ「?」

那由多の姿がないのに気付く。

○同・庭先
星空。
小さな庭だが手入れが行き届いている。
縁側に座っている那由多。

那由多「……」
ハジメ「ここにいたの?」
那由多「え、うん……」

那由多の隣に座るハジメ。
どこか元気がない那由多。

ハジメ「大丈夫?」
那由多「……私、人が多いところ苦手なの。手持ちぶさたになるっていうか……どうしていいかわかんなくなっちゃうから」
ハジメ「え?じゃ、何で来たの?」

バッと顔を上げて目をむいて那由多。

那由多「そう!私も何で来たのかわからないの!私がこの辺うろうろしてたら瞬がニヤニヤして近寄って『何やってんだ』って付きまとうからうるさいなあと思ってたら、あのお姉さんが現れて無理矢理——」
ハジメ「何だ。うろうろって結局、来るつもりだったんじゃない」
那由多「?! 」

赤面し、うつむく那由多。

ハジメ「どうしたの?」
那由多「確かめようと思って……あなたの事」
ハジメ「え?」
那由多「私、信じらんないのよ。あなたが……あのイメージを受け入れて、ヘラヘラ出来てるって事が!! 」

○居酒屋「よっちゃん」
立ち上がり、激高するザイグル星人。

ザイグル星人「貴様ラハ何者ダ?アノ地球人共ノ仲間ダナ!! 」
店長「ちょっと、もめ事はやめとくれよ!」

カウンターから怒鳴る店長。

ザイグル星人「ああ、すいません」
ニヤニヤと笑っている一同。

ザイグル星人「クッ」
トレンチコートを広げるザイグル星人、

体には触手状の兵器が収納されていた(二話で使用したもの)。

ソパル星人「フフ」

目が光るソパル星人。
使う間も無く収縮する兵器。

ザイグル星人「?! 」

くしゃくしゃにしたアルミホイルのようになって畳に落ちる兵器。

ザイグル星人「ウ……」

後ずさるザイグル星人。
その手を掴むヴェルン星人。

ザイグル星人「?! 」
ヴェルン星人「わかってないなあ……君は騙されているんだよ」
ソパル星人「僕らは本物の、銀河連邦所属惑星の外交官さ」
ザイグル星人「ウソダ」

無理矢理座らされるザイグル星人。

ツイフォフ星人「君の星…ザイグル星は銀河連邦に加入した後、二つに分かれて戦争をしてるでしょ。もうどれ位やってんの?銀河連邦のこと知らない世代になっちゃったんだね」
ザイグル星人「ウソダ!」
ソパル星人「君は…というか君の親玉はあれだね、強力な武器を求めて地球に目を付けた、というわけだ」
ザイグル星人「我らの総統ハ偉大ダ!」
ヴェルン星人「偉い人なら銀河連邦に伝わる太陽系の伝説をご存じだろうからね。いいよ、教えてあげよう……銀河連邦の成り立ち。
君らの歴史を大きく包む、銀河連邦の大いなる歴史を——」

右手を軽く突き出すヴェルン星人。手のひらに浮かび上がる銀河連邦の印。

ザイグル星人「私ハ栄光有るザイグル帝国ノ軍人ダ!拷問には決シテ屈しないゾ!」

恐怖におびえるザイグル星人、自動翻訳機をオフにする。

ザイグル星人「ΥΦΧΨΘ 」
ヴェルン星人「翻訳機を切ってもムダだよ」

ザイグル星人の頭に自分の手を押し当てるヴェルン星人。
恐怖するザイグル星人。
イメージが流れ込む。
サングラスが取れ、大きく見開く目。

○村田家・庭先
那由多とハジメ、話し込んでいる。

那由多「……お父さん達は嫌がる私に無理矢理おまじないをしたの。何か嫌な予感がしたのよね……で、見たわ流れる星、ビュンビュ
ン飛んでる宇宙船、それから……」

     *   *   *

(イメージ)
光に包まれる連邦評議会の面々。

     *   *   *

ハジメ「要するに君は…僕があれを見たのが我慢できないんだね。余所者の僕がさ」
那由多「……」
ハジメ「だけど、当の村田始君はイイ奴そうなので彼に怒りをぶつけることも出来ずに何だかわからなくなっちゃったので……困っ
てる最中だってこと?」
那由多「あなた、自分で言ってて恥ずかしくない?自分がイイ奴だって……」
ハジメ「じゃ、何で来たの?ここに?」
那由多「……わかんない」

再びうつむく那由多。

ハジメ「あのさ、あのおまじない受けた人……他にもいるんだよね。君達みたいな人達、どれくらいいるの?」
那由多「天網の民はみんな……あなたの知ってる人も沢山いるわ」

○天網市・なかよし横丁
ザイグル星人「εναΩ!」

店から飛び出すザイグル星人。
半狂乱。

○居酒屋「よっちゃん」
出口にて見送る一同。
ザイグル星人が大暴れしたらしくメチャメチャな店内。

ソパル星人「あーあ、行っちゃった」
ツイフォム星人「どうするのヴェーやん?いきなりあんなもン見せて、無茶だったんじゃない?」
ヴェルン星人「そうだねぇ……いやー、ちょっとムキになっちゃったね」

全然悪びれていないヴェルン星人。振り返って店長にヘラヘラと

ヴェルン星人「と、いうわけでスイマセン」
店長「しょうがないですねえ、今度からこんな事の無いようにして下さいよ」
ヴェルン星人「あ、弁償の請求書はヴェルン星に……」
他の宇宙人達「せっこーーい」

○天網市・商店街
夜のアーケード。通る人はまばら。
必死に走るザイグル星人。
変装が半分取れ、目の複眼が光る。

ザイグル星人「?! 」

何かを察知し、立ち止まる。
その前に男が三人..
後ろに男が一人、女が一人——
挟み打ち状態のザイグル星人。

ザイグル星人「Φγβ 」

取り囲むのは商店街の人々。
無言でザイグル星人を見つめる。

ザイグル星人「ΠΩΟΞΝΜΔΓΛΤγβα αλνものだ!…な、何ダ?! 」

突然しゃべる言葉が日本語になり驚くザイグル星人。あわてて翻訳機を確認。

神楽面「君らの言葉は面倒くさいんでね、勝手に翻訳機をオンにさせてもらったよ」

ふらーっと現れる神楽面の男。

ザイグル星人「何ッ?」
神楽面「ここの取り決めを君は破った。郷に入っては郷に従え!」
ザイグル星人「みんなで…お前らみんなで何をたくらんでる!! 」
神楽面「?」

シャッターに寄りかかるザイグル星人。歪む顔。複眼が黄色から赤に。

ザイグル星人「わかってるぞ…お前ら共和国の連中だな……クソ!地球にまで勢力を……」

体内に格納していた武器を取り出し、身構える。

神楽面「共和国?何だそれは?」

不意にジャンプするザイグル星人。囲みを破る。
後を追おうとする商店街の人々。
ザイグル星人、振り向きざま光弾発射。
神楽面、フィールドを展開。勢いを殺され、消滅する光弾。

ザイグル星人「ヒイッ!」

あわてて逃げ出すザイグル星人。
アーケードを抜け、御輿坂へ。

○同・御輿坂
おびえながら必死に走るザイグル星人。
それを見つめる多数の目。
二階の窓から..
引き戸の隙間から..
後ろから物凄い速さで迫る神楽面。
ザイグル星人「うわああーーーーっ!! 」

○天網海岸
砂浜を駆けるザイグル星人。
倒れ込む。
振り返ると神楽面立っている。

ザイグル星人「ヒイッ」
神楽面「待て、さっきから君は何言ってるんだ?銀河連邦の法規に従って君を拘束するだけだ。安心しろ」

おびえながら光弾発射のザイグル星人。
ことごとく無効化する神楽面。
うわ言のようにつぶやくザイグル星人。

ザイグル星人「この星は危険だ……共和国の奴らの陰謀だ!兄さん、僕の集めたデータ、受け取ってくれ!」
神楽面「?! 」

危険を察知して後方に飛び退く神楽面。
放電しながら消滅するザイグル星人。
同時に体内から飛び出す光点が一つ。
中空で少し静止後、高速で飛び去る。

神楽面「……」

見送る神楽面、背後に立つヴェルン星人につぶやくように

神楽面「あれはヴェルン製の緊急通信カプセルだな。どういうことだ?」
ヴェルン星人「いやー、お恥ずかしい。私のところの兄弟星が何やらもめてるようでね」
神楽面「(振り返って)地球を巻き込む気か?」
ヴェルン星人「悪いようにはしないよ。銀河連邦の名に懸けて——」

右手を上げるヴェルン星人。手のひらに銀河連邦の印。

神楽面「……」

面を取ると山本先生。

山本「ふぅ……毎度の事ながら息苦しいな」

○村田家・居間
ハジメ組対ムリョウ組の対戦。
夢中になっている一同。

フタバ「キャーッ、助けてムリョウさん!」
ムリョウ「ほい!」
那由多「てめえっ、このッ!」
ハジメ「こええ~~」
那由多「あんた、味方でしょ!」
セツナ、ジロウ、瞬「ヒューヒューッ!」

カウンターをはさんだ食堂では食事の支度をするアツシ、キョウコ。居間の方を見てニコニコ。

NR「自分がわからないところで何かが行われている……そんな不安は得体が知れないだけにどうしようもない。銀河連邦、宇宙人、
……いつもの世界に知らない世界が見え隠れ。何はともあれ、もうすぐ体育祭だ。がんばろう、オー!というわけで、次回——」

         (第五話・完)

☆二〇〇字詰七九枚換算

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読んで下さってありがとうございます。現在オリジナル新作の脚本をちょうど書いている最中なのでまた何か記事をアップするかもしれません。よろしく!(サポートも)

ありがとうございます!
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アニメ監督です。こちらでは過去に発表した原稿やら何やらを載せていきたいと思います。

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佐藤竜雄の原作脚本監督作品『学園戦記ムリョウ』全26話の脚本です。オリジナルアニメの脚本はあまり見る機会がないということで自作をここに公開します。無料無期限ですのでお気軽に!

コメント (1)
いろんな星の宇宙人が地球の暮らしに馴染んで飲み会やってるのがいい。
漫画『レベルE』と似た雰囲気を感じる。
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