合気道×発達障害③

 「自分の心をコントロールする」

 発達障害の方は、何かにこだわったり、とらわれたりして次へ進めなくなることが多いです。また、情報が多くなると頭がいっぱいになってパニック状態に陥りやすいということもあります。これは脳の特性なのである程度は仕方がないことかと思いますが、合気道的な考え方を訓練していくことで、緩和できるのかもしれない、と思いました。

 合気道では、とらわれは居つきは、技をかけるのに妨げになるので、なくしていくよう自分の意識をコントロールしています。また、前回書いたように、新たな体の使い方を獲得するために、「こうでなきゃいけない」「こうしたらきっとこうなるに違いない」というような頑固な思い込みを捨てるということを稽古の中で繰り返し行います。これが、こだわりから自分を解放する感覚と結びついてくると思います。

 合気道では、呼吸も重要です。息を止めて力をこめる、のではなく、動きに合わせて息を吸う、吐いて力を出す、といった具合です。意識を丹田に置き、自分自身の重みを感じて脱力することで、上がった気持ちが落ち着くのを手伝ってくれます。発達障害の方が情報過多でパニック状態になってしまうこと自体は防ぐことは難しいかもしれませんが、その後に気持ちをすうっと落ち着かせることは、合気道の意識の使い方が役立つかもしれません。

 合気道の良いところは、こういった役立つ方法を、難しい文章を読んで解釈するというやり方ではなく、実際に体を動かしながら、しかも一つ一つステップを踏んで体で覚えていくというところにあると思います。発達障害の方は特に、目に見えないことや、実感を伴わないものを想像することは苦手で、実際に自分がやってみたこと、体験したことは呑み込みやすい傾向にあるからです。

 次回は、コミュニケーション能力についてです。

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