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日本の男尊女卑についての考察㉒(古事記⑤出雲神話①因幡の白兎編)

今回のお話は、古事記に
記された物語の中でも
おそらくは日本最古のお伽話のような
物ではないかと思います。

因幡の白兎についてのお話です。

古事記では稲羽之素菟と表記されていますね。

まず、このウサギさん
なぜか隠岐島(淤岐嶋:おきのしま)にいます。
この島に住み着く種類のウサギなのかは
謎ですね。

ウサギさんは、とても大事な用事があり
海を渡って白兎海岸に向かいたいと思いましたが
海を渡る手段が無いので、
海辺で途方に暮れるウサギさん。

そこにサメ(和邇:ワニ)が通りがかりに
ウサギさんに尋ねました。
「やあ ウサギさん。こんなところで
奇遇だね。何をしてるんだい?」

ウサギさんは一つの策を思いつきました。

悟られないようにウサギさんは
サメに聞きました。
「やあ サメさん。この島に住む僕らウサギの仲間と
君たちサメさんの仲間はどちらの数が多いんだろう?」

サメは考えながら答えました。
「それは、僕たちの方が多いんじゃ無いかな?
数えたことはないけども
その島から動けないウサギさん達には負けないよ。」

ウサギさんは
しめしめ、これは上手くいきそうだ。
という気持ちを抑えて
サメに聞きました。
「本当にそうかな?僕たちウサギは
とても子供をたくさん産むんだ。
サメさん達には負けないよ。」
サメは、納得がいきませんでした。

すかさず、ウサギさんはサメに提案しました。
「だったらこうしようよ。
僕がサメさん達の数を数えてあげるから、
白兎海岸まで一直線にサメさんの仲間で
並んでみてよ。」

サメは嬉しそうに答えました。
「よおし!心得た!
きっと僕の仲間はあの海岸まで届くはずだ。
ちゃんと数を数えてくれよ!
ウサギさん頼んだよ!」

するとウサギさんは、白兎海岸に一直線に並んだ
サメの頭をぴょんぴょんと飛び移り
数を数える振りをしました。

ようやくのことで白兎海岸が近づいた頃
サメの仲間がウサギさんに尋ねました。
「もうすぐ白兎海岸に着くね。
それで、僕らの数は何匹?いや、
何十匹だったんだい?」

するとウサギさんは答えました。
「数なんて最初から数えてやしないよ。
僕は白兎海岸に来たかったんだ。」
とつい、本当のことを口走ってしまいました。

騙されたことに気づいたサメは
激怒しました。
「騙したな!ウサギさん!」

サメたちはウサギさんに襲いかかり
ウサギさんの生皮をすっかり剥いでしまいましたとさ。

という物語が古事記に描かれています。
この物語には続きがあるのですが
それはまた次回にするとして

ここまでのお話に対しての考察を
していこうと思います。

まず、因幡の白兎としてお伽話になっている
のは有名ですが、
実は、古事記にしかこの話の記載がありません。
地名として隠岐島(淤岐嶋)や白兎海岸は出てきますが
鳥取の因幡とは書かれておらず
稲羽之素菟(イナバノソウサギ)と表記されています。

おそらくは稲羽は稲を置く場所を指しているという説や
稲羽と書いて イナバと読ませるので
やはり鳥取の因幡を指しているとする説がありますが
定かではありません。

この話がなぜ古事記に記載されたのか?
それは生皮を剥がれたウサギが必要だったから
という見方がおそらく正しい。

サメは和邇と古事記には書かれている名残から
サメをワニと呼ぶ地方は日本各地で見られますね。

一説には隠岐島と淤岐嶋は別の島を指すのでは
というのが最も有力で
島根県隠岐島を指しているとも言われますが
古事記によると隠岐島は隠岐の島と表記されている。
ということから
淤岐嶋は単に沖にある島という見方をするのが
最も自然ではないかと思います。

白兎海岸から見えてはいるが ウサギの力では
決して渡れないであろう 少し沖合いにある島
という解釈が出来ます。

そうなればサメ(和邇)は、潮が引いた時に現れる
岩礁であったという説もまた考えられるでしょう。

つまり本当に苦労をして その沖合いにある島から
ウサギが怪我をすることも顧みず
白兎海岸まで、命辛々到着し気づけば生皮が剥がれていた。

つまりそうまでして白兎海岸に到着しなければ
いけない理由というものが、このウサギさんには
あったという事ですね。

次回、いよいよオホアナムヂ君
(オオクニヌシ)が登場します。
このウサギさんの役割とは?
果たしてどうなるのか?
どうぞ、お楽しみに!!

今回はあえて 絵本のように書いてみましたが
いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただければ
とても嬉しく思います。

これからも 是非 よろしくお願いします。


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