マガジンのカバー画像

『養生大意抄』- 江戸の養生書を読む 02

17
多紀元悳(1732~1801)著の養生書で、全2巻。内容は医家向けではなく一般向けで、心、飲食、起居動作、性、鍼灸薬餌などの養生の要点がまとめられている。著者の多紀元悳(もとのり… もっと読む
運営しているクリエイター

#食

疲れている時や、なんとなく調子が悪い時の食べ方 - 養生大意抄04

今回は食事の取り方と、食後にするとよいことについて。 1.忙しくせわしい心のまま食事をすると、身の養いにならない【原文】 食は細(こまか)に嚼(かみ)緩(しつか)に咽(のむ)を法とす。細にかめば化(こなれ)やすく緩(しづか)に咽(のめ)ば滞らず。よく食物胃府(いのふ)に落着て気血と成てよく身をやしなふ。心忙くせわしく食すれば滞り易く化(こなれ)がたくして身の養にならず。却て害あり。此故に凡食事は万事をやめて心静に食すべし。故に聖人も食するときは語(ものが)たりしたまわずと郷

胃腸炎後の食事の取り方 - 『養生大意抄』05

冬場に多い胃腸炎後の食事の取り方について、江戸後期の『養生大意抄』からご紹介。江戸の本草書に記載される、胃腸炎後におすすめのレシピもあり。 1.胃腸炎後の食事の取り方 【原文】 若(もし)食傷吐瀉(はきくだし)せし事ありし後、早く粒食(つぶのめし)を食すべからず。飢極りて米飯(おもゆ)をのみて少しく腸胃を潤すべし。其後消息(みはからい)て稀粥(うすきかゆ)を進め、又はるか程ありて少し輭(やわら)なる飯を白湯漬(さゆづけ)にして食し、漸々(だんだん)に食量を倍すべし。一時に粒

偏って同じ味のものばかり食べた時の害 - 養生大意抄07

1.偏って同じ味のものばかり食べた時の害【原文】 ○五味偏勝(かたよる)とは、五味の内にて唯(ただ)一味を常に多く食すれば、其一味の気偏にかつをいふ。假令(たとえば)甘物をつづけて多食すれば、中焦(ちゅうしょう)の気滞りて痞(つかえ)満(はり)腹痛等の病を発す。辛物をつづけて多く食すれば、気上逆して眼病瘡瘍(できもの)等の病を生ず。鹹物多ければ、血乾く。故に嗌かわき湯水多く飲て脾胃を傷る。苦物多ければ、脾胃の生気を損ず。酸物多ければ、気ちぢみてのびず。此故に内経に気を積て偏な