自己洞察力の鍛え方

気がついたときにはすごく調子が悪いということはないですか?

自己洞察力とは心身の状態を理解することで、それを鍛えることで、体調の悪化を防ぎ、調子のいい状態を維持することができます。心身のバランスを崩していないひとでもベストパフォーマンスになるためには自己洞察力は重要になると思います。

精神科の患者さんは外側のセンサーはよく働くけど、内側のセンサーはあまり働かない人が多い気がします。外側のセンサーとして、人の気持ちを汲むのは得意だったりかえって気を遣いすぎたりするけど、自分の気持ちを把握したり、優先することが苦手だったりします。個人的な印象ですが、精神科の患者さんはいい人が多いので、自分よりも周りの人を優先しすぎてしまうのでしょう。外側のセンサーばかりが働いた結果、心身の不調や不調をきたしかけていることに気が付かないのではないかと思います。

自己洞察力と内側のセンサーは関係していて、自分が嫌だということや心地よいと思うことを大切にすることで、心身の不調をキャッチし、またより良い状態になるための行動を起こすことができると思います。

私も前回の記事に書いたように、栄養療法や運動療法を実施して、脱薬が一瞬できたけど、また再開となってしまいました。いよいよ頓服などの薬が必要になるまで、調子が悪いことに気が付かなかったり、わからないところで無理をしすぎてしまったのかなと思います。

自己洞察力を鍛えるためのいくつかの方法についてまとめていきます。

1.体調管理ノート

・体調の悪いサイン(例:なんだかイライラする、家事がだるい)
・体調が悪いときの対処法(例:相談する、薬を飲む)
・体調が良いときのサイン(例:安定して穏やかな気持ち、頭がキレる感じ)
・良い状態をキープするために時々するといいこと(例:いつも話さない人と話す、お風呂に浸かる)
・良い状態をキープするためにいつもするといいこと(例:瞑想、筋トレ)

の5つを書き出してみます。
体調が悪いときの対処法として、お仕事を休む基準や学校を休む基準などをいれてみるのもいいかもしれません。私はお仕事いかなきゃいけないけど、今日無理をしてしまうと明日以降も響くかもしれない・・・と思い、それを悩むだけでもエネルギーを消費してしまい、体調がさらに悪くなってしまうことがあるので、これがあったらお休みする、という基準も決めています。

2.ごほうびリストを作る

TO DOリストを作ってやらないといけないことを書き出す習慣がある人は多いと思いますが、やらないといけないことばかりになっていないでしょうか?

内側のセンサーを鍛えるためにはやはり心地よい状態を作ることが大切です。なにをしたら心地よいだろうか、ということをできるだけたくさん書き出していきます。日々の生活の中でできること、頑張ったときのご褒美としてすることなどわけて書くとやりやすいのかなと思います。

毎日一つ、日々の生活のなかでできることを自分にしてあげる、という習慣をつけましょう。また、何か頑張っていることがあれば、成果に問わず、その頑張ったという過程に対して、頑張ったときのご褒美をあげましょう。頑張ったのに成果が出ないからご褒美をあげない、頑張りが足りないと蔑む、といった他人にしない意地悪を自分にしてはいけません。頑張るというのは非常ボタンを押しているような状態なので、なんのために、どんな方法で、どれくらいの期間、終わったあとにどういうケアを自分自身にするか、ということが大切だと思います。漫然と頑張ってはいけません。

3.心地良い状態を大切にする

1と2と重なるかもしれませんが、なにをすると心地よいか、気分がいいか、探してみましょう。例えば入浴剤を何種類かおいてみて、今日の気分に当てはまるものを当ててみる、今の気分の一番合う音楽を探してみる、などいいでしょう。なにをすると心地よいか考えてみて、実際にどうだったか試してみましょう。自分を大切にする、とは内側のセンサーのトレーニングであり、努力です。自分を大切にするというのは怠けているわけではないのです。

4.マインドフルネス(瞑想)

「今、ここ」に意識を集中させることで普段いろいろ考えている状態から頭を休め、考えや感情をクリアにし、調子の良い状態をつくることができます。

なんと一日の50%をマインドワンダリングという状態で過ごしているのです。いつもくよくよ迷ってしまって、そのためにエネルギーを消費し、仕事などでパフォーマンスを発揮できず、また、頭が疲れているのでポジティブな気持ちにもなれないのです。

私は前に一度きちんとしたマインドフルネスの本をしようとして挫折したことがあるので、簡易的に取り入れています。姿勢をただし、吸って、吐いて、と呼吸に集中し、途中いろんなことを考えてしまってもそれを否定せず、そういうことを考えている、と観察します。

おすすめの本:ずぼら瞑想(歯磨きなどかんたんに生活に取り入れることができる瞑想法が紹介されています。)

5.日記などの記録

今、どんなことを考えているのか、言葉にしていくことで自己洞察力を鍛えていきます。

やらなければいけないことや、やりたいことでも計画を立てたり、一歩踏み出すか悩むことがあり、その義務感や悩みのために頭がつかれてしまい、ネガティブな気持ちが増え心身のバランスを崩してしまい、また不調に気がつくことに出来なくなってしまいます。

また、やらなくてはいけないことについて、頭の中に留めるよりも紙に書き出すことで頭のスペースを空けることができます。不安などネガティブな気持ちについても紙に書き出すことで頭から追い払うことができ、客観的に考えることができるようになります。

決められた時間に思っていることや考えていることをすべて書き出していく、筆記開示などがおすすめです。

また、自己洞察力からは逸れますが、1日の終わりに3つ以上のできたことやよかったことなどを書く3行日記もおすすめです。これにより、うつ病の改善や健康な人の幸福度も上がったという研究もあります。脳は見ようと思ったことしか見れないので、良いことを意識的にみる習慣をつけることで日々の生活のなかで良いことを見つけることができ、結果としてポジティブになっていくのです。ポジティブ心理学や幸福について、また別の機会にまとめれたらいいなと思います。

おすすめの本:記録の力

6.まとめ

自己洞察力を鍛えることは、自分自身を大切にすることに繋がり、また、自分自身を大切にすることで誰かのために働くこともできるます。
私も含め、自分を大切にすることが不器用な人たちのために5つの方法を提案しました。日々の生活のなかに取り入れてみて、実際に気持ちが楽になったかどうかも意識的に感じてみましょう。やらなければいけないと負担になるのであれば別の方法がよいかもしれません。