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それでも人とつながって 番外 1

『もし普通があるとすれば』

思春期前後に出会った友達。当時はみんな元気が溢れ過ぎているところもあって、色々な方々や色々な場所に縁が出来た。出来てしまったとも。
周りから見た自分達は余り好意的には受け止められていなかったと思う。

今になって。今までにも何度か。
「え~。もしかして昔ワルかったんですか?」と聞かれたことがある。
いやいや全然そんなのと違う。今と同じだよ。普通普通。笑って答える。
特に誤魔化している訳でもない。隠している気にもならない。
その時々で自分は普通だと思っていたから。今も同じ。

『なるほどね。そういや俺もそういうことあるなぁ』
今ではとても大きくなったお友達が車を運転しながら答えている。
その車の助手席。夜中の車窓を眺めながら、やっぱりあるのかと思った。
そういえば。・・・この友達はそんな時なんと答えるのだろう。

聞こうと思う前に回答があった。
大体『貴方ほどじゃなかったハズですよ』みたいな感じに返すかなぁ。
あぁ。なんだか上手いね。意味は分からないけど。煙に巻く感じで。
『どっちだって良いからねぇ』ハンドルを切りながら適当に言う。
確かに。意識してどうこう思われようとかじゃなかったしね。
未だに普通にそうしていただけだったと心から思う。相手の問題。

話はここで終わった。そんな気がした時に大きなお友達が言った。
『もし普通があるとすれば』
それだ。その「普通」ってとても曲者な言葉である気がしてならない。
『皆それは自分のことだろ』『誰かと自分では違うんだよ』
んっ・・・おっ?なんか今とても良い事を言ったんじゃない?

この大きなお友達の言葉。たまに意味ありげに感じることがある。
待てよ、今の感覚は何だったんだろう。もう少しで・・・何か閃きそうだ。
待てよ待てよ。いま自分は何を感じたんだろう。えーと、と思っていると
『お前は普通だったよ。平凡だった。あっはっはっは。大丈夫だよ』
む。それはそれで何だか軽く頭にくるな。
大切な閃きが吹き飛んだ気がした。

帰宅して。
大きなお友達の言葉を思い出す。

『もし普通があるとすれば。皆それは自分のこと』

まだ何も分からないけど。
考えを深めて行こう。


これは番外の巻の一。この他の体験はまたの機会に。

お読み頂いたあなたに心からの御礼を。
文章を通しての出会いに心からの感謝を捧げます。
ありがとうございます。

しゅてん拝

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