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農の雇用事業(政策短信20201001号)

政策短信とは

地方議会議員向けに、国の政策の動向を紹介します。永田町・霞が関で決まった政策が生活にどう影響するのか、議会質問に向けたポイントなども発信します。

「農の雇用事業」第4回目の募集を開始

農林水産省が行っている「農の雇用事業」で第4回目の募集が開始されました。「農の雇用事業」とは、農業法人等が、就農希望者を新たに雇用して研修を実施した場合に、研修経費に対する支援を行うものです。

農の雇用事業

本事業は就農希望者を雇用する農業法人等に対する助成であり、農業法人等による就農希望者の雇用を推進するとともに、独立就農や起業を後押しするものになります。

毎年度、複数回の募集を行っており、今回の募集は令和2年度の4回目となります。

農の雇用事業は、農林水産省の補助を受けて一般社団法人全国農業会議所が実施するものであり、各都道府県の農業会議が申請の窓口となります。

都道府県の農業会議:各都道府県に設置されている市町村農業委員会の連絡調整を担う一般社団法人
全国農業会議所:農業委員会相互の連絡調整、情報提供等を行う全国組織

農の雇用事業の補助対象経費は

農の雇用事業は、大きくわけて2つの分類があります。

分類①:雇用就農者育成・独立支援タイプ、新法人設立支援タイプ
雇用就農者育成・独立支援タイプ、新法人設立支援タイプは、農業法人等が就農希望者を直接雇用し、就農に必要な技術・経営ノウハウ等を習得させるための実践的な研修を行うものになります。支援対象の経費は以下のとおりです。

(1) 新規就業者に対する研修費
・法人等の研修指導者が研修生に行った指導に要する経費
・就業上必要な資格取得にかかる講習費、テキスト購入費、受験料等
・研修実施及び資格取得に必要な交通・宿泊費等
(2) 指導者研修費
・研修生を指導する者又は経営者等が、農業法人等における人材育成や労務管理等の向上に必要な知識を習得するため、専門的な知識を有する者等から指導を受ける際の謝金やテキスト購入費、研修に必要な交通・宿泊費等
(3) 語学研修費
・研修生が定住外国人の場合、研修生が日本語研修を受けるために教育機関に支払った経費等について研修生1人当たり月額上限30,000円まで(最長6ヶ月)助成します。

(出典)農業を始める.JP

分類②:次世代経営者育成タイプ
次世代経営者育成タイプは、農業法人等の役職員を、次世代の経営者を育成するために国内外の先進的な経営を行う法人に派遣して研修を行う場合の費用を支援するものになります。支援対象経費は以下のとおりです。

(1) 代替職員人件費(派遣元農業法人等が、派遣する研修生の代替として、新たに雇用した職員の人件費(1人分に限る))
(2) 指導者研修費(研修を受ける際の転居に係る費用、住居費及び通勤に係る交通費、研修負担金)

(出典)農業を始める.JP

農の雇用事業の実績

令和元年度事業では、3,372経営体の農業法人等が農の雇用事業を活用し、5,319人が研修を受けています。特に20代、30代の研修受講者が多く、若手の就農者の確保につながっています。

R1年度の実績

一方で、農林水産省が令和元年度に行ったアンケートでは

・最低賃金が上がっているため、助成額を増額すること
・申請書等の事務手続きを簡素化すること
・支援期間を3年~5年程度に延長すること

といった、事業そのものの使い勝手や負担感に関する意見が上がっています。事業の立て付けは農林水産省の定めた要綱に従って行うものであるため、地方自治体や都道府県農業会議だけの力では改善が難しいですが、地方自治体の独自事業として側面から支援することは可能かもしれません。

実際にあった議会質問

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