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2022年6月の記事一覧

春を喰らう

春を喰らう

はらりはるはるちるちるらん
桜が舞い散る春日和
あなたは遠くにゆくのですね
私をおいていくのではなく
「ついてこい」と
言わんばかりのその手にひかれ
私は前へ進み出す
その日は曇っていたけれど光芒が地面を照らしていて
へたに晴れているよりもよっぽど素敵でした
濡れた蓮華の葉が輝いて
あなたの顔を照らしていました

(卒業を迎えた皆さんへ)

水素の花火

水素の花火

はめを外しててんとんたん
あめを降らしてとんとんてん

傘をさしましょ
あめが降る

さあさ
狐の嫁入りだ
粒を真っ赤に染め上げて
青白い水素の玉を
傘にあてましょ

手に当たっても音はしないのに
傘では音がなっている
ひゅーとんぱちぱち
ひゅーとんぱらぱら

小さな花火が傘をつく