口がネバつく…うつ病やストレスに影響!?「唾液力」を高める方法を医師が解説
皆さんのお口は、潤っていますか?
マスクをするようになって、知らず知らずのうちに、口呼吸になっているかもしれません。
唾液の重要性、なかなか自覚しにくいところですが、うつや認知症にも関係あるようですよ。
私たちにとって、大事な唾液について、専門家のお話を、ぜひ!
昨今、唾液に関するさまざまな知見が明らかになっています。良質な唾液を十分に保つことは、うつ病、認知症の予防にもつながり、ストレスにも強い脳を作るというのです。しかも更年期以降は唾液の質が低下するという事実も明らかに。
口が乾きやすい、ネバつくという人は要注意! 唾液の専門家であり「唾液健康法」を推奨する神奈川歯科大学の槻木恵一先生にそのメカニズムと、唾液をよくするの習慣を教えていただきました。
取材・文=増田美加(女性医療ジャーナリスト) 『婦人画報』2020年6月号より
唾液腺から出る成分“BDNF“がストレスから脳を守る!
BDNFという唾液腺が作り出す成分を増やすことが、脳の状態を健康に保つために大切だということがわかってきました。ほかにも驚くような病気や症状と、唾液の質量との関わりが明らかになっています。 「唾液腺から産出される成分BDNFは、脳の神経細胞をストレスなどのダメージから守り、脳神経細胞の栄養となっています。ストレス発生時には、唾液や血中でのBDNF濃度が上昇、脳のストレス耐性を回復、強化します。BDNFの産生量を増やせば、うつ病、認知症の予防効果も期待できるのです」と槻木恵一先生。
唾液の量と質の低下でリスクが高まる病気や症状は歯周病以外に、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病、がん、大腸炎、インフルエンザなどの感染症、視力低下、肌老化などがあります。 「唾液中にはウイルスや細菌の繁殖を防ぐIgA、細胞老化を防ぐラクトフェリン、粘膜保護成分ムチン、脳や体の細胞の栄養源となるグロースファクターなどの成分を含み、想像以上に機能性の高い液体です」(槻木先生) 最近、免疫力に重要な働きをしている抗菌物質IgAとBDNFがリンクしている可能性も明らかに。
「女性は、閉経後、エストロゲンの分泌が減少することで、唾液中のBDNFもリンクして低下することがわかっています。そのため、産後やPMS(月経前症候群)の時期、更年期にうつが多いと推測されています」と槻木先生。
良質な唾液を作る習慣1|よく噛みましょう
「よく噛むこと」は、免疫力を高めるIgAの分泌量を増やし、脳神経細胞の栄養であるBDNFの分泌も増やします。さらに、口の中を中性に戻し、菌が出す酸を抑制する重炭酸塩も増やします。重炭酸塩は、食後の口腔内のpH値が酸性に傾いて、虫歯になりやすくなっている環境を改善。よく噛むことのメリットは多くあります。
良質な唾液を作る習慣2|水分をたっぷり摂りましょう
ドライマウスや喉の渇きは、唾液力低下の危険信号。一日1~1.5リットルの水分補給が目安です。健康な成人の唾液量は、一日1~1.5リットル。人間が一日にかく汗の量が0.5~1.5リットルとされており、唾液は平常時でも、酷暑で汗だくになったときの汗と同じくらいの量が出ていることになります。それゆえ水分はこまめに摂ることが大切。
良質な唾液を作る習慣3|適度に運動しましょう
ストレッチやウォーキング、ヨガなどの軽い運動は脳のストレス耐性を作るBDNFや、免疫力に関わるIgAの増加につながります。同じ高齢者でも一日に3,000歩、歩く人より7,000歩、歩く人のほうが唾液中のIgAの増加率が高まったという結果が学術誌に報告*。逆にマラソンのような激しい運動はIgA濃度を下げる原因にもなるので要注意です。
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