見出し画像

ウイルス感染は「口」が大事!40代から低下する口腔内の免疫力を医師が解説

口腔ケアの重要性について、説得力のある記事です。
お口のトラブル、とくに歯周病は、進行していてもなかなか自覚できない感染症です。
日々の当り前の歯磨きに、ひと工夫。
フロスを追加するだけで、劇的にお口の細菌は減ってくると思います。
40代から注意とありますが、そのころから、お口の機能も低下していると聞きます。
私はとっても自覚しているのですが、あれ!?という信号があったらスルーしないでさっそく予防生活に磨きをかけましょう。


新型コロナウイルスをはじめとした感染症への意識が高まるいま、細菌やウイルスから体を守るために、オーラル(口腔)ケアに注目が集まっています。感染症だけでなく、糖尿病、動脈硬化、誤嚥性肺炎や認知症など…全身の健康、ひいては命を守ることにまで通じる、口腔ケアの最新知見を、日本大学歯学部の落合邦康先生に伺いました。 お話を伺ったのは… 落合邦康先生(日本大学歯学部特任教授)
●日本大学農獣医学部獣医学科卒業。米国アラバマ大学メディカルセンター留学後、歯学博士号取得。明海大学歯学部教授、日本大学歯学部教授ほかを経て現職。エイズやインフルエンザ、アルツハイマー病と歯周病菌の関係、口腔細菌と腸内細菌の関係の研究で話題。 取材・文=増田美加[女性医療ジャーナリスト] イラスト=きくちりえ[Softdesign LLP] 『婦人画報』2020年6月号より

ウイルスが侵入するかどうかは、“口“にかかっている!
新型コロナウイルスの流行によって感染症について考える機会も多くなりましたが、そもそも感染症には、どんな病気があるのでしょうか?  「感染症には、自分がもつ“常在菌”によって起こる内因性感染症―歯周病、誤嚥性肺炎、尿路感染、敗血症など―と、外から侵入した病原菌による外因性感染症―インフルエンザウイルス、赤痢菌、コレラ菌、そして新型コロナウイルスも―の2種類があります」と語るのは、日本大学歯学部の落合邦康先生。 内因性、外因性ともに感染症が発症するかどうかの大きなポイントとなるのが“口“。ウイルスも細菌も、おもに侵入する入り口だからです。

口のなかの免疫力低下は40代から!
「口腔は、外界と直接、接しているため、体の中でもさまざまな細菌、ウイルスとともにある“不潔な場所“という前提で、われわれは進化してきたと考えられます。そのため、さまざまな防御手段が口腔には備わっています。 口の近くには顎リンパ節が2つあり、口腔が細菌だらけの口腔のそばで免疫細胞を作り、援軍を送って、口腔内を守っているのです」(落合先生) しかし、その口腔内の免疫力は20代から低下し始め、40代から急激に低下します。体のほうが強ければ日常的に入ってくる菌も大事には至りません。ところが免疫力が低下すれば、なんでもないと思われる菌によっても重篤な感染症が起こり、しばしば死に至るのです。

免疫力が低下すると常在菌で死に至ることも

画像1


「感染症とは、病原菌などの微生物が寄生する宿主(人間)の免疫力と原因菌の力関係で成立しています。 人の死亡要因の多くは、がん、脳疾患、老衰(肺炎)、循環器疾患です。 しかし、人は直接的にがんで死ぬのではありません。最終的には自分がもつ常在菌で死ぬのです。高齢者の死亡原因に多い誤嚥性肺炎や褥瘡(じょくそう)、敗血症は常在菌が原因です。 免疫力が低下し、常在菌と共存できなくなったときが人間の寿命なのです」(落合先生)

歯だけじゃない!全身を巡って悪さをする歯周病菌

画像2


いま、歯周病が単に口の中だけでなく、全身の健康を脅かす病気であることがわかってきました。 「プラーク(歯垢)には善玉と悪玉があり、健康でも歯肉の溝1~2ミリに絶えず両方の常在菌が入り込んでいます。 1~2日は善玉菌がほかの菌から守っていますが、一週間たつと悪玉菌が増加。 悪玉菌が増えると炎症を起こし、炎症物質がどんどん出て、それが血液に乗って全身を巡ります。 そして、口腔内の悪玉菌である歯周病菌も、歯肉から末梢血管を通じてあっという間に全身に届いているのです」と落合先生。

まめなオーラルケアが全身疾患の予防につながる

画像3


全身を巡った歯周病菌は、動脈硬化や心疾患の原因となったり、歯周病によって誘導された炎症物質が、糖尿病や早産、認知症、インフルエンザほかを誘発することが多くの研究からわかってきました。 「この歯周病菌は、飲み込まれると胃酸と胆汁酸で殺されてしまうので、何がなんでも歯に密着しようとします。プラークが増えれば増えるほど酸素が減り、嫌気性菌である歯周病菌が増えます」と落合先生。 プラークをきれいに取り除くには、3カ月に1回、歯科の専門ケアが必要。 「歯周病は、かかってしまうと歯科医師だけでは治せません。患者さんの自覚と正しいケアで、自身で予防することが重要なのです」(落合先生)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?