大好きな、じいちゃん③毎月24日はコカ・コーラの日。

私が年間にコカ・コーラを飲む回数は12回だ。

じいちゃんの月命日の日に飲む。じいちゃんの最期を看取れなかった者の役目として月に一度じいちゃんに献杯する。

じいちゃんは、95歳を超える大往生だったのだが何度も危篤状態から復活していた強い男だった。ある日じいちゃんが危篤状態だと知らされ病院へ行くとコーラをゴクゴク飲んでいた。じいちゃんが。

じいちゃん?? 危篤? え?

となるが至って元気そうにゴクゴク飲んでいるのである。じいちゃんはコカ・コーラが大好きだった。いつもストックしていてどこからともなく取り出しては飲んでいた。じいちゃんはお菓子の類は一切食べず、酒もたばこもしない健康第一の人間だったのだが、唯一嗜好品の中で炭酸が好きだった。

その後じいちゃんは、栄養不足に陥った時もコーラをちょっとずつ口に入れてもらって栄養補給していた。すごく嬉しそうに飲んでいた。それでも歳には勝てない。じいちゃんは自分の誕生日をしっかり迎えてから数日後に亡くなった。じいちゃんなりの意地だった気もする。

90歳を超えていたこともあり、葬儀自体もしんみりとした空気というよりもじいちゃんの好きなものをたくさん持たせてあげようね。という感じだった。棺にはコーラと刺身が添えられていた。刺身入れてもすぐ焼き魚になるよ~なんて笑い話をしていた。最後に唇を水で湿らせるときはコーラもあげた。

私は危篤状態だから帰っておいでと言われてからすぐには帰らなかった。じいちゃん今回も復活するだろう。と思っていたので仕事を定時までやってから帰ったのだ。最寄り駅まで父が迎えに来てくれて、じいちゃん家にいるから。と言われたとき本当に最後なんだなぁ。と実感したのだ。なんて声をかけようかなぁと考えながら家まで歩いた。

でも、家に帰るとじいちゃんは亡くなった後だった。

電話貰ってすぐに帰っていれば間に合ったのに。じいちゃんに言いたかったこと一杯あったのに。という思いが今もまだ消えない。だから私は毎月24日にはコカ・コーラを飲んでじいちゃんと心の中で会話するのだ。



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