見出し画像

劇団四季 オペラ座の怪人

まず最初のシャンデリアの演出に感動した。
こちら側を巻き込んで全てをオペラ座にしてくれるんだな…となった
ファントムという無償(だと思っているだけだが)の愛で自分を包み込んでくれる闇に安らぎ、その寂しさを理解して惹かれつつもその愛のあまりの暴力性に怯え惑う様が非常に良かったですね
ラウルというどこまでも自分と共にあろうとし、守ってくれる愛と、愛するが故に突き放すことを選んだファントムの悲哀が綺麗な対比になっていて凄かった。
オペラ座の怪人は劇中で各登場人物がそれぞれのセリフを被せて歌うシーンが結構多いなと思ったんだけど、みんながみんなそれぞれの主張をしていてオペラ座の怪人における人間のエゴの強さみたいなのがよく表現されてると思った。
それぞれのエゴの物語だと思って見ていました。
最後にクリスティーヌが指輪を返すシーン、ファントムからしたらその指輪が彼とクリスティーヌを繋ぐ唯一のものになり得る可能性があったのに、それを返すことで完全に繋がりが絶たれてしまったところに深い絶望と物語の残酷さを感じた。
ファントムがクリスティーヌをラウルの所へ帰したシーン、最初は自分を音楽の天使と信じ無邪気についてきた女の子、そして自分から向けられた愛の重さや恐ろしさに怯えながらも目を逸らさずまっすぐに自分を理解し向き合ってくれた愛しい人を、はじめはずっと一緒にいたい、願わくば自分の側で永遠に生きてほしいと思っていたはずなのに最後は心から愛した人であるが故に自分と同じ暗闇の地獄へ落としたくはなかったのだろうな、と思いました。
幸せになってほしい、自分のような孤独な思いをしてほしくない、ただその光の中で生きていてほしい、ファントムの悲痛な叫びが無音の花嫁のヴェールから聞こえてくるようでした。
自分の醜さを理解しているからこそ、決して届くことのない美しいものに手を伸ばしたくなる気持ちとてもよくわかります。
でも手に入らないからこそ美しいんだと理解した瞬間に人は絶望し、ならばせめてその自分が愛した、手を伸ばした美しいものだけはいつまでも汚れずに、美しいままでいてほしいと祈るのだと思います。
いいですね、愛と絶望の物語。とてもよかったです。
個人的にマスカレードのシーンが好きです。賑やかで良い。
あとラストのシーンはレミゼラブルのエポニーヌがよぎりました。「悲しみこそ美しくあれ」だなと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?