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昔実家にいた猫、いや猫又疑惑のある猫の話

先日は現在実家にいる猫の話をしました。
今回は昔実家にいた猫の話を。いや、今思えば、ヤツがいた頃も猫又ではないのか?と疑った程のヤツの話を。

今回の主役の『チビタ』偉そうに電話横を陣取る

今回の主役のチビタ。名前の割にデカいじゃないかと突っ込まれそうだが昔からこんなにデカかったわけじゃない。

先住猫のゴロ(左)と一緒のチビタ。

ヤツがやってきたのは今から30年前。
私は自宅から離れ生活を始めた頃。久々に実家に戻ると見慣れない小さな猫がいた。
母の話によるとこの猫は自宅前で小学生の子供から保護したとのこと。

事の経緯は…
もともとチビタは実家付近の公園でダンボールの中に捨てられていたところを下校途中の小学生に抱きかかえられ歩いていたそうな。
しかしその猫を家に持って帰って飼えるのかと一緒にいた友達と話した途端お互いに飼えないと言うことになりヤツを手放した途端大声で鳴きだしたのだという。
偶然それが実家前で突然の猫の鳴き声で母が驚いて外に出てヤツを保護したとのこと。事情もその場にいた小学生から聞き『じゃあおばさんが飼うよ』と言って引き取った。
それがチビタが実家にやってきた経緯である。

実家には先住猫のゴロがいた。最初はチビタが突然実家にやってきたためゴロは代わりに自分が捨てられるのでは?!と誤解をしてしまったのかやってきて少しの間威嚇してきた。
しかし日が経つにつれ、俺がこの子の父親だと言わんばかりにチビタを可愛がり始めたのだという。
一緒になっておいかけっこして遊ぶのは良いが、その勢いで冷蔵庫の上からカーテンレールや室内の天井を走らせている煙突の上に乗り走り回る為カーテンレールが重みで落ちてしまったという話を母から聞かされたりして苦笑いしながらも心の中では微笑ましいなぁと思った。

しかし実家にたまに戻るとゴロとチビタが食事をしている最中…ゴロがご飯を食べているのにその皿をチビタは前足を使って自分のところに引き寄せているでないか!
この頃からチビタは猫又なのでは?と少し思った。
更にはヤツは『ニャー』と鳴かない。
『ケケケケ…』と鳴くのだ。保護した時に鳴いたのは『ギャーーー』という声だったらしい。
何をやってもケケケとしか鳴かない。これもまたこいつは絶対に猫又だという思いを強くさせた。

それから実家は引っ越して一軒家になった。
それから暫くして地元に戻ってきた私は実家で暮らすことになった。
そしてチビタは猫又としての本領を発揮することになる。

一軒家になった実家には2階に1部屋ある。私はそこで生活をしていた。
電話も買い替えて親子電話に。電話がかかってきた時わざわざ1階に行く必要もなくなった。
しかしある夜…

私が寝ているといきなり部屋の子機がなった。
下で寝ている両親に何かあったのかと子機を取って『もしもし』しかし返事はない、無言。
これは何かあったかと慌てて下に降りる、そこに広がっていた光景はドラマとかでよく見る悲惨な光景…なのではなく、真っ暗。
もしかして灯りをつけるとドラマのような光景が…と思いを茶の間の灯りをつける。
しかし茶の間はそのような光景など無縁なとても平和なもの。両親は寝ている。
そして茶の間の電話機に目を向けるが何もない。
あれは何だったんだ?と思いつつ茶の間の電気を消しまた寝た。

翌日両親にその夜の話をしたが特に夜中子機を鳴らしたりするような事はしなかったという。じゃあ誰が鳴らしたんだ??それとも電話機の故障??

そして真相が明かされることとなる。
ある日の夜、また子機がなった。電話に出ても無言。静かに下に降り茶の間のドアをそっと開けて素早く灯りをつけた、すると…
電話機の上にはチビタの姿が!
子機呼び出しボタンを押してたヤツはこいつだ!推測するに電話機の置いてある棚に登った際子機呼び出しボタンを何かの拍子で押してしまうらしい。
この時は偶然なんだろうと思ったがその後、何度も続いたので明らかに嫌がらせ?だろう。

更にチビタの人間に対する嫌がらせ?は多岐にわたる。ご飯を食べてたまに戻してしまうことがあるのだが、それを必ず人間の動線上にやらかす。当然知らないで歩く人は必ずそれを踏む。我が家では地雷と呼んでいた。

それだけではない、ヤツは洗面台にある床下への潜るための板を外す。母がたまに開ける。外に行けない代わりに床下の探検をさせてあげるらしいのだ。床下には危険なものはないのと行ける場所は限られているので思う存分探検してくると勝手に帰ってくる。
床板をしないと当然洗面台の前に立てないので普段は閉めておくのだが、それをヤツはいとも簡単に開けてしまう。

実家にある同じタイプの床板。丸で囲った鍵部分を簡単に解錠し開けてしまう。

まず丸で囲った鍵を爪で引っ掻いて回転させ開ける、それから床板の隙間に爪をうまく引っ掛けて板を外してしまうのだ。ゴロにはそんな事できないので床下に行きたい時はチビタに頼むような感じでチビタ付近に座って待機してたっぽい。
しかし一回で開くわけではなく当然失敗もする。そのため爪から床板が取れると大きな音がする。それを夜中にやられた場合寝ている人間は起こされる。
母はそれに懲りてしまい、床板を勝手に開けさせまいと床板の隙間の上にテープで目張りした。暫くは静かだったがある日爪で床板の隙間に目張りしていたテープを破いて突破してしまったのだ。またドッカン工事が始まってしまった。
目張りがやられたら強化して貼り直していたがその度に突破されてしまうので、諦めて夜間の間だけ床板の猫が出入りできる程度の隙間を開けて置くことにした。ドッカン工事はそれを機におさまった。
とにかく開け方を教えたわけではないのにこんなことをする猫だった。
ヤツは猫又だ!絶対に!

そんなヤツも当然歳はとる。
いい高齢になったチビタ。ゴロは先に虹の橋を渡ってしまったけどチビタは呑気にストーブの前で寝てばかりいた。冬薪ストーブをたくと凄く熱い場所を陣取っている、触ると熱くてあんた焼けるよ!と注意しても知らん顔。まぁ昔から夏のクソ暑い日でも直射日光の当たる窓際で昼寝をしていたヤツだったからなぁ。なので触るといつも『あつっ!』となってた。ゴロは涼しい場所で寝てたのに。多分ヤツの温度センサーがイカれてのかも知れない、何もかもイカれたヤツだったが。

ヤツもゴロと同じように家族に見守られて虹の橋渡るのかと思っていた。ある日ヤツは何を思ったか実家の家族がベランダの窓を開けた途端ものすごい速さで外に飛び出して行ったと。いつもだと窓を開けても知らん顔。なので家族も油断をしていつものように窓を開けてしまったらしい。
その後捜索したが何の手がかりもなくヤツも帰ってこなかった…
猫は死ぬ姿を見せたくなくて死期を悟るといなくなるというのを聞いたことがある。それなのだろうか?

けどヤツは死んでいない、猫又から更なるスーパー猫又にパワーアップして今も生きているかも知れない。そんな気がする。
そしてこっそりと今も見守ってるのかもしれない、いや、いたずらする機会を伺ってるのかも知れない。
頼むから虹の橋を渡ったゴロと一緒に仲良く遊んでいてくれ、イタズラはもういいから!
夜中に子機を鳴らされたらおちおち寝られない(笑)

オマケ ストーブ前で寝てるゴロ。舌が出っぱなし。背後にはチビタがいる


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