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『3クール目突入』

「死んじゃいますよ」
こんな一言を看護師から投げかけられた。10日余りの間『妖怪じゃーじゃー』と戯れていた私に対する痛烈な言葉だ。そんなに長い間、『ゲリラー』を放っておいてはいけないらしい。じつは短期間でも駄目らしいが。放っておくと「死んじゃうらしい」、私はこの言葉を本来なら重く受け止めなければならない。「死んじゃいますよ」と、ハッキリ言える看護師の職業意識の高さには、いつも頭が下がる。一方で私の患者意識は低い。

もって生まれた私の素養がなんでも軽く受け止めてしまう。生まれながらの『下痢っ子』である自負もある。繊細な性格であるにもかかわらず、ある一線を超えると、ぽわんとした綿菓子のように軽いところがある。風が吹けば上下左右何処へでも消えてなくなりそうな。そんな私だ。

『ゲリラー』にも慣れている。『妖怪じゃーじゃー』とは長い付き合いの、腐れ縁だ。ツラいけれど、耐えられない程でもない。何度も漏らしているのに。どうかしているのかもしれない。
素養とは恐ろしいもので、盲腸がんのときも軽く受け止めた。手術も、肝臓への転移もだ。『カールウケトメスキーせいの』である。うん、つまらない。つまらないから、書き残しておこう。
私が重く受け止めるのは、脳が正常に働いてくれない時だけだと思う。だから、『鬱鬱不安頭』の際はかなり堪えた。自ら、「私の頭がおかしいです」と言って、心療内科を受診するのは重くて正しい判断だった。

その、脳話のうばなしをひとつ。
今朝、歩いて病院へゆく道すがら、空の曇天と低気圧と腹の具合により、私の脳の電気信号が僅かに乱れていた。一歩進む毎に、脳に微弱な刺激が伝わっていた。ピリリとしていた。それを私なりに調理した言葉があったはずだった。それを私は、病院での長い点滴中に忘れてしまった。何だったのか思い出せない。『脳ピキ音』『脳キック音』『脳ジャンク音』『脳シャン音』『脳チキ音』『脳どよん音』『脳うつけ音』『脳ちんどん音』『脳乱恥気音』、何かしっくりこない、思い出せない。

書いている内に思い出すかも知れないので、続行しよう。
3クール目の初日だ。話題には事欠かない。素晴らしいことがある。今日の私の便意は一回だけだった(22時の段階では)。じゃーじゃーではあったが。そして、じゃーじゃーが『短期間に限り』3回続くようであれば、病院で処方された下痢止めを飲む事になった。2時間事に1錠を3回。それでも、じゃーじゃーが直らないようであれば、お祓いか、病院内の化学療法センターに連絡しなくてはならない。お祓いは当然、嘘だ。
1日1回か2回のじゃーじゃーなら、極楽気分で、へいちゃらなのだが。標準治療をリスペクトしようか。99%の標準治療と1%のプラスαが、『むずむずディストラクションスロウガンズ』だ。さて、どうしよう。
『短期間に限り』、は私の勝手なオリジナルルールなので、これを1%の内に入れて見よう。これくらいは私に委ねられている分だ。

そう、参考までに私の肝臓関係の主な血液検査の数値を、みなさんにお知らせしておこう。健康の参考に、不健康の戒めにしてください。
①癌転移が疑わしい。2024/02/13日
②肝臓に癌転移発覚後。抗がん剤治療開始前。2024/03/12日
③抗がん剤治療1クール終了後。2024/04/02日
④抗がん剤治療2クール終了後。2024/04/23日
⑤基準値(下限値~上限値)
AST(GOT) ①76 ②44 ③23 ➃20⑤13~30
ALT(GPT)  ①99 ②55 ③20 ➃19⑤9~41
LD(IFCC)   ①360 ②454 ③223➃170 ⑤124~222
ALP(IFCC)    ①95 ②91 ③68 ➃69⑤38~113
γ-GTP          ①343 ②216 ③81 ➃51⑤9~64

私は専門家ではない。この数値が示す意味もざっくりしかわからない。
取りあえず、基準値の範囲に血液を閉じ込めた。血液検査の結果の読解は多岐にわたる。医師がどの項目を重視しているのか私はしらない。52項目もあるのだ。総蛋白とアルビミンが僅かにLow。好酸球が僅かにhigh。書いていてもよくわからない。調べても忘れる。なんだそれは。それが私だ。

ああ、思い出した『脳鳴り』だ。今朝、私を悩ませた現象名だ。『脳鳴り』はよく出来たほうの私の新語だ(たぶん)。


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