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『4クール。100日目』

4クールの服薬期間最終日に鼻血が出た。
おしい。もうすこしだったのだが。4クール、100日目といっても、昨秋の、一度挫折した抗がん剤治療は入れていない。二度目の抗がん剤治療の100日目だ。キリはいい。祝福の鼻血も出た。なんだそれは。

最近は恐ろしくて体重を計っていない。『腹下り』を利用して体重を落とす予定が、喜ばしいほうに狂ったからだ。痛し痒しといったところか。明日から6日間は休薬期間に入る。場合によっては『ファスティングフェス』の開催を宣言しなくてはならない。
ヨーグルト800gは食べすぎなのだろうか。減らして『腹腹地獄下り』になるのもつらい。悩ましい。梅雨入りしてしまえば、散歩もできない。

思えば、5月6月7月、この季節に体調を崩す事が私は多い。蕁麻疹もこの季節に発症して12月まで治らなかった。身体中にまだ見ぬ世界地図が「ぞわり」とした瞬間に、ぷっくり浮かび上がっていた。それも毎日。
痔もこの季節から始まった。盲腸と盲腸癌の発見は7月だ。これは、ラッキーだった。盲腸になってくれたので、ついでに盲腸癌が見つかった。私はこれを『ラッキーガン』と名付けた。

キレ痔は治った。『ヘモリンド舌下錠』が効いたようだ。これは、舌下で溶かす痔薬だ。数年前に、この薬のコマーシャルを見たとき私は小躍りした。
ロングツーリングの必須薬で、舌下でじわりじわりと溶かしてゆくのだ。『痔かわいがり』と言っていい。ついでに赤ん坊用のおしりふきの『サニーナ』というスプレーも、ロングツーリングに持参してゆく。

私はシャワートイレがないと生きていけない。それでもキャンプ場に宿泊してしまう。シャワートイレ付キャンプ場は、まだまだ少ない。そんなときは「シュッシュッ」っとトイレットペーパーにサニーナをスプレーして、ペーパーに油分を与えてからお尻を拭く。「キレてなーい、ヒリヒリしなーい」だ。世の赤ん坊の中には、お尻がヒリヒリして泣いている者もいるだろう。私が赤ん坊だったら尻に油分が欲しいに違いない。私は赤ん坊の代弁者として、そう、訴えたい。「パウダーじゃないんだ。尻には油分なんだ」、と。「パウダーは親の自己満足にすぎないのだ。ありがとうサニーナ」、と。

さて、私は100日目になにを書いているのか。49歳の乾いた中年男が、『うるうるたっぷりん』の赤ん坊の代弁者であるはずがない。私の尻と赤ん坊の尻は随分違う事だろう。しかし、耳をすますと聴こえてくるのだ。「ゆぶん、ゆぶううん」と泣く幼気な赤ん坊の声なき声が。





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