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『4クール。89日目』

今日は、ゆったり散歩でもしようとおもっていた。
天気は下り坂らしい。アレクサは、そう言っている。アレクサは天気予報をよく外す。けれど、少々、私はふらふらしている。『ドクブスブドウ酒』のせいかも。量をふやしたからかな。それにくわえて眠剤もあるのだ。昨夜は眠剤を服用して、バタンキューであった。

私は気圧の変化にも弱い。いざという時の為に各種、頭痛薬を持っている。
今日は一日『シャン』とは程遠い、『ぐずんだらん』で過ごす事になるだろう。抗がん剤が効いてきたのかも知れない。がん細胞を、いじめしごいてくれているのだろう。ついでに、健康な細胞をも。『がんかわいがり』とはそいうものだ。

まだ、しゃっくりが止まらないので、公園が空いている平日に散歩がしたかった。「しゃっく、しゃっく、しゃっく」している中年男が昼から散歩していると、奇異に見られるだろう。「やや、危険だわ」と、若い、親子ずれに勘違いされたくはない。ただでさえ、バイクで乗り付けた者がひとりふらふらするのは人目に付くのだ。夏場の短坊主でチンピラ感は長坊主よりはマシにはなったが。ハットもあるが。

バイク乗りに爽やかさはあまりない。時期によっては全身黒ずくめの私がいる。しかし、私の人生はバイクに乗ることでかなり良いものになった。危険と隣合わせのこの乗り物のお陰で、困難な事柄を、バイクの後方に解きほぐしながら背中から「しゅるるるっ」とまき散らすことができた。私は「すうっ」とした気分になるのだ。これを、『難体走脱』と名付けよう。不思議な乗り物だ。離れられない。

天気予報はNHKを信じる派の私だ。それを見てから今日の予定を決めよう。ふらふらは、昼には脱するだろう。まだ9時だ。バナナとヨーグルトを食べよう。しじみの味噌汁も。それと、抗がん剤3錠だ。さらにその後に整腸剤をかみ砕いて食べる。49歳の隠居生活(余生)とはこんなものだ。


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