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赤っか

私は今朝6時30分にオートバイを走らせて18時に帰宅した。
昨日スキップした『紅葉狩り』ツーリングにようやく出かけたのだ。私の心の故郷ベストテン第7位。晩秋の南会津からの田子倉ダムだ。
正直に言えば、朝8時を過ぎるまでは何度も寒くてスキップ&ターンしようとした。ほんとに何度もだ。ぺらぺらのミリタリーコートに、使い捨てカイロ10枚貼り、ダウン2枚。それにくわえてインナーには発熱シャツ2枚でも、私のスキップ&ターンが発動しかけていた。極寒装備で来るべきだったのだ。

8時をすこし過ぎた頃。ようやく、日のひかりが背中越しに感じられるようになった。鬼怒川温泉郷あたりでやっと、スキップ&ターンを頭から棄てることができた。日のひかりは暖かさだけではない。紅葉の色艶にも、いのちを与えた。陰に隠れてくすんでいた木々が日のひかりひとつでこちらに赤黄緑色の手を伸ばして来るように迫り来る。

南会津の中頃で缶珈琲を飲む。しばらく走ればT字路になり、左へゆけば尾瀬、右へゆけば魚沼、只見方面になる。田子倉ダムの峠道は右だ。清流沿いの細い道を紅葉と落葉樹のアーチが架かっていた。カワサキW650は落葉を慎重にスキップしながら北へ向かう。昼過ぎには田子倉ダムに着いた。

「赤っか」「ま赤っか」、そう私は口走っていた。脳裏にうかぶ文字もこのとうりだった。「ま赤っかじゃん」。正しい送り仮名は紅葉の森に吸い込まれていった。私の目の前には、間違いが正しく存在していた。

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丁度、見頃でした。おすすめです。写真と文章では伝えきれません。是非ご自身の目で。所々、道路工事中で片側通行になってます。田子倉ダムの峠道は冬期は閉鎖されます。

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