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エッセイのほう

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野蛮で図々しくてくだらないことを書いています。400字~2000字くらいでしょうか。
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#肝臓がん

『ほう』

「ほう」と感心してみましょう。 何ごとも「ほう」から始めてみましょう。「ほう」には含みが持たせてあります。一例をあげましょう。「ほう」と言いながら、その間に脳をフル回転させて見ましょう。二の句が出てこない時の時間稼ぎの「ほう」です。そのわずかな時間で失言も防げるでしょう。 また、よりよい対人関係づくりの為の一歩だと思って、毎日トーンを変えて「ほう」の練習を心掛けてみましょう。リラックスして反響する風呂場がいいのではないでしょうか。そこから、メロディーが出てきたら儲けものです。

『ピリピリバンバン』

2クール目の初日。『ガンかわいがり』22日目を振り返ろう。 8時間と45分であった。軽いすったもんだもあり、7時45分~16時半まで病院に滞在していた(私は算数ができない、あってるかしらん)。 そして、MSI検査の結果は陰性であった。私の癌は遺伝性ではないという事が判明した。 不摂生だ‼。『フセッセイ』のせいだ。『フレッセイ』のせいではない。私、せいのほうの、せいなのだ。ああ、すっきりした。せいせいするではないか。犯人は私なのだから。 犯人は言う。 2クール目の『ガンかわい

『ブロッコリースプラウト』

健康食の乱れ食いは続行中だ。 ブロッコリースプラウトの水耕栽培を家の中ではじめてしまった。 Amazonでスプラウト用の種を買い。朝晩水やりをしている。 そのほうがお得なのでは?という理由から栽培しているのだが、近くのスーパーで1パック百円程度で売っているようだ。 東京あたりではもっと値段が高いのだろうか。正確な費用対効果は計算していないけれど。ここ、群馬ではスーパーで買い求めたほうがいいのかもしれない。 ただ、家の中での水耕栽培は新鮮だ。この、新鮮さの一点だけは負けていな

『ファスティング』

健康食の暴飲暴食に飽いた。 今日と明日は軽めのファスティングを入れることにした。 体調もいいので、週二でファスティングを入れる実験をしたいと思う。 バナナ。デコポン。ヨーグルト。ブルーベリー。野菜ジュース。野菜スープ。珈琲。こんなかんじでいこうと思う。腹が空いたら、黒糖を囓る。あとは、サプリだ。 そう、抗がん剤治療の副作用をもうひとつ。 味覚異常がでてきた。なにを食しても、すこし甘い。私の大好きなキリマンジャロもいつもより甘い。不思議な感覚だ。甘いデコポンは更に甘い。 こ

『鼻血がでた』

鼻血がでた。 これは事前に言われていた抗がん剤治療の副作用のひとつです。 しかし、たら~とたれるような鼻血ではなく、鼻クソ混じりの凝固した鼻血でした。鼻をかむとすこし赤いかな、程度のものです。『骨髄抑制』という副作用だそうです。血液を造る働きに抗がん剤のダメージが蓄積してきたのでしょう。 もうひとつの副作用についても教えましょう。 この副作用は実は抗がん剤治療の初日からありました。最初は半信半疑で様子を見ていたのですが、もう、副作用で間違いないでしょう。 抗がん剤治療をする

『嘘』

朝から頭痛だ。 これは、抗がん剤治療の副作用ではない。どちらかというと抗がん剤治療の副産物のせいになる。『マルガリッタ』のせいだ。 近頃のイタリアでは日本のアニメ文化の影響で、丸刈り頭の事を『マルガリッタ』と呼ぶそうだ。 私の頭痛は、寝ている間に『マルガリッタ』が冷えたのだろう。 今夜からしばらくニット帽を被って睡眠したいと思う。 抗がん剤治療の副作用は今日もほぼ、ない。「ない」と、すこし物足りなく思うのはなぜだ。副作用があるから、抗がん剤が効いているわけでもないのに。走れ

『アイウエオ』

私はデジタル庁の回し者ではない。 けれど、マイナンバーカードを保険証として使用している。その患者側の利点について書こうと思う。 『高額療養費制度』と『限度額適用認定証』の手続きが楽。 今のところ、患者側の利点はそれだけだ。けれど、『高額療養費制度』を申請して、『限度額適用認定証』を貰う手続きが、病んだ状態の者にとってどれだけ煩わしくて精神的な負担となるのか、私はそれを昨夏に経験している。私は無知な事に、癌になってはじめてその制度を知った。そして、かなり慌てた。やがてそれがマ

『ドミノ』

抗がん剤治療8日目。 身体はすこぶる調子がいい。副作用も僅かしかない。しかし、明日もすこぶる調子がいいとは限らない。この手の薬には波がある事を忘れてはならない。私は半年前にそれを学んだのだ。 抗がん剤治療とは、ひとつひとつドミノを慎重に並べていくようなものなのかも知れない。ちょっとした気の緩みでどどどどどどどっと、これまで積み重ねてきた治療効果がドミノ倒しのように悪い方へ崩れていくこともある。 いま、私はバイクで遠出に行きたくてうずうずしている。けれど、1,2週目の抗がん剤

『暴飲暴食』

私は、私の丸刈り頭の事を『マルガリッタ』と言うイタリア風のネーミングに定めた。いがぐり頭の事を『イガグリッタ』と言うように、だ。 どちらのイタリア風を選択するかで逡巡もあった。けれど、私の頭の像はすこやかに成長した丸型なので、『マルガリッタ』になったのだ。 話の舵を切ろう。 私はこの度から、暴飲暴食を始めた。ただの暴飲暴食ではない。健康食の暴飲暴食だ。理由がある、私は根っからの納豆好きだった。この十五年間欠かさずに納豆を食べていた。にも拘わらず私は昨夏『盲腸癌』になり、現在

『ダルいわぁ』

「世の中ダルいわぁ」、そんなことを言う若者で、あふれている日本だ。 私も同意しよう。「抗がん剤治療ダルいわぁ」、と。 ようやっと食生活の見直しに着手した私は、健康食の虜になっているところだ。健康食の虜になりながら、ソファーで横になりながら日がな一日ダルく過ごしていた。私なりに、健康と不健康のバランスをとろうとして、普通の日常を獲得しようとしている訳でもない。ただただ、身体がダルいのだ。 「ダルいわぁ」と、『トー横キッズ』と『ソファー上ダルいわぁ』の私が独りごちているところに

『しゃっくりが止まる』

抗がん剤治療五日目。しゃっくりが止まった。 それと引き換えにすこしだけ、食事後にむねやけと吐き気が起こる。昨日は吐き気があったので、今日から食事の取り方を見直した。 兎に角、消化のよいものを摂取しようと思う。半年前の抗がん剤と打って変わって私の頭は明瞭状態にある。「前回もこの抗がん剤なら続けられたのでは?」と思わなくもないが、「じゃ、違う抗がん剤でお願いします」の一言を私は言えなかった。半年前の私は『抗がん剤恐怖症』だったからだ。 「抗がん剤の世話には一生なるものか」そんな

『フォー』

「フォー」、元来内気な私がヘルメットの中で声をあげた。 自然に口から出ていた。人生二度目の「フォー」だった。一度目は初めての北海道ツーリングで、オロロンラインを北上する際の歓喜の「フォー」だ。 二度目の「フォー」は2024年3月5日の昼下がりの事だった。それは歓喜とは言えないものだ。「ほ~う」と感心するような不思議な落ち着きのある「フォー」だった。 勿論、レイザーラモン•HG(ホットガイ)とも違う「フォー」だ。 それは、肝臓癌ステージ4の「フォー」で、次いで出た言葉は「シーッ