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二重丸と丸と三角
「記号で表すってさ、すごいよね」
小学5年生の男の子が放った言葉。その話は突然に始まった。そして、その「すごいよね」の5文字には色々なものが詰め込まれているような気がした。
自分がもらっていた通知表のことを思い出してみる。彼が言うように、教科毎に課題となる項目がいくつか並べられていて、横に記号のスタンプが押されているか、よくできた・できた・がんばろうの当てはまる場所に◯がついている画が浮かんでくる。
◎ よくできた
◯ できた
△ がんばろう
彼との会話の中で、よくできたとできたの境目はどこなんだろうかと思った。私は教員ではないので、詳しいことはわからないし、〝評価の仕方〟のようなマニュアルがあってそれに準じて行われているのかもしれないけれど。この先生だと二重丸をつけるけど、この先生は丸をつけるなんてことも起こりえるのかもしれない。
そして彼はこんなことも言っていた。
「通知表ってさ、何がだめだったかって書いてくれてないよね」
よくできたの評価をもらえば、今の状態でオッケー‼︎ということがわかる。できたやがんばろうだった場合。どうすればよくできたに変わるのか。そこに自分で気付く力も必要かもしれないけれど、そこに気付けなかったりわからなかったりする子もいると思う。
ほんとうに大切なことを大人と呼ばれる私たちはちゃんと伝えたり、教えたりができているのだろうか。
子どもたちに問われ、わからない、正解が出せないこともある。そんな時は一緒に考えることができる存在で在りたいと思う。
「あとさ、何で□はないんだろうね」
彼と一緒に三角と四角、どちらを採用するか迷った結果、画数の少ない方にしたんじゃないかとか三角の方が何となくかわいいからじゃないかとか、あーでもないこーでもないと空想討論を繰り広げる。
子どもたちの着眼点や何気ない言葉にハッとさせられる毎日である。
そんな今日は広島に原爆が落とされた日。同じ過ちを繰り返さないように。忘れないように。
ほんとうに大切なことを子どもたちに。
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