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子供が美術館でスケッチをする際咎められた時、自分は親としてどうしていたかを思い出してみた


今の現状で出来ることから。だって子供って成長しちゃうんだよ!


今朝、このようなnoteが流れてきた。


正直、同じような体験を何度もしてきた人間として「日本の美術館の管理体制、まだ全然変わってないのかよ」ととても残念に感じた。と同時に「ここで大人だけが憤っても時間だけが過ぎていくのだ」というのを改めて実感することになった。


管理体制に関しては日本ならではの事情もあるので一概に「日本ダメ」論で終わる話ではないと東南アジアの美術館を体感してきた側として思っている。そして日本の美術館では一番過敏なのは作品でも係員でもなくその場に居合わせた他の鑑賞者であるから、ルールを厳しくする方向になるのも正直、わかる。


そしてこのnoteを書いた高広先生の思いが伝わっていない様にも非常に悲しい思いを感じている。まさに「違う、そうじゃない」。


そして、子供が15歳になった私は思う。ここで戦うことよりやることがある。


だって子供はどんどん成長していくから。


私は子供が8ヶ月の時から子供と一緒に美術作品をみるブログを続けている。

今子供は15歳なので、15歳にして鑑賞歴14年超えである。大ベテランである。


しかし、15年前は(私は数年日本に帰れていないので現在の状況を正確に把握できてないけど)今以上に「子供を美術館に連れてくるな」的な空気が強かった。

しかし、私は諦めなかった。だって、ほかに行きたい場所もなかったし、預け先もなかったから。詳しくはこちらにまとめてある。これ、リライトしたいねえ。



私はとにかく考えた。現状でどうやったら美術館で子連れで怒られないか。ここではスケッチに関してを思い出してみた。


スケッチ関係で咎められたのは横浜美術館の松井冬子さんの展覧会だった。誰もいない展示室でノートと鉛筆を出しただけで向こうから係員さんが飛んできた。その際に


1:子供の模写は展示作品の破損の原因になる
2:子供の模写は他の人の鑑賞の迷惑になる(今は誰もいなくてもそれは一緒)


という指摘を受けた納得はできなかったがここで喧嘩してもしゃあないと思い、ここでは引き下がった。そんな気持ちで鑑賞したか。松井冬子さんの妖麗な作風と共に「本当に怖いことをする人は怖い顔をしていない」という名言も飛び出していた。


帰宅後、私はもうこんな目に逢いたくない!と思い悲しみの中、状況を整理した。なぜ怒られたか。そこでは「作品の前で「模写してます!」と目立つのがあかんと係員が判断したから」という分析結果を得た。そうなると「作品の前で模写してます!と目立たなきゃ無問題」という事になる。


目立たないで模写するにはどうするか。ここを整理すれば問題ないはずだ。


子供の上着のポケットにも入るメモ帳を用意。そしてそのメモ帳に挟めるサイズの鉛筆と鉛筆サックを用意。そして鑑賞の際にはこの3ステップを実行することにした。


1:まず1回目は見るだけ、そしてスケッチしたい作品の側に椅子があることを確認してその椅子に座ってノートをポケットから出して手の上に広げて作品をメモする
2:もし近くに人が多い場合は展示室内にあるトイレの横のソファに座って書く
3:書きたい部分を忘れたら全てのものをポケットに入れて書きたい作品の前まで戻る


ちなみにこの方法の1で係員の人が何か言ってきたら「僕、書けない漢字もあるので絵でメモしてるですがそれもダメですか?」と聞かせていた。鉛筆でメモは基本禁止されていないはずなのでここで咎めることはできないはず(そもそもメモも禁止だったら親としてスケッチを許可しないし、ここで話が出来る子供に闇雲に書く機会を取り上げるのは権利の侵害になる。大人がメモっていいのに話のわかる子供が子供だからメモしてはいけないと言われるのはおかしい)。


もちろん目立たないように大混雑の時には実行しない。同時にガラガラの時にはマンツーマンディフェンスをされる可能性があるのである程度人がいるけど混んでいない環境を選ぶようにした。日程の設定には当時はまだ混雑状況の告知などはなかったので半分かけだったけど。


その後はほぼ模写に関してクレームを受けることはなくなった。ちなみにこんな感じ。模写が足りない場合は絵葉書を買った。絵葉書探しもまた楽しかった。

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このような子供が美術館のような公共の場で何々したい!という際、「ルールに従え」「他の人に迷惑だ」と指摘する声があるのは十分わかる。もちろん特例を認めろ!と言いたいわけではない。ただ同時に「大人が示すルールを守ればいい」ってこと。作品を傷つけないように、他の鑑賞者の邪魔にならないようにだったら子供の作品をメモしたい!という気持ちを親がルールを守って叶えたい!と思ってもいいはず、実行策を考えるのは特におかしくはないはず。


ルールが整う時を待ってるのでは遅い。なぜなら子供は本当にあっという間に成長するから。


ルールがどうだ、こうだと大人が議論する前に今ある状況で出来ることは何か、どうやったら出来るかを考えて実行していく。こうやって工夫して現状を切り開いていくしかないと当時は思っていた。


なんだ状況は全然変わっていないのかと思うと同時に、今ならカイゼンが出来る手段が増えてるのだから何かできるのでは???と思う。子供のポケットに入る子ども美術手帳とか。


当時の私には美術館に子供を連れていく親仲間が全くいなかった。なのでいつも一人で戦っていた感があった。でも今、このように子供を芸術を楽しみたい!と思う人が増えてきてるのなら、今の状況で子供が自分の感性を怒られずに記録できる媒体を大人が用意するっていう手段があるよね。


デザインしたいな。子ども美術手帳。絶対楽しいと思う。